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砂の栄冠 2巻感想
(2010年39号〜48号)
9話から18話までのまとめ
第9話「甲子園へ」
甲子園に行きたいが旅費がない。
七嶋は、悩んだ末にトクさんのお金を使うことに。
やってきた甲子園球場のバックネット裏で、滝本という中年男に席を譲られる。
第10話「ディープな世界」
滝本とその仲間たちは、いわゆる「常連組」と呼ばれるグループだった。
春夏の甲子園を毎年バックネット裏で見る高校野球フリークの集まりなのだという。
30年以上甲子園を見て来た滝本は、「甲子園には甲子園の戦い方、勝ち方がある」と断言する。
第11話「甲子園の勝ち方」
甲子園の勝ち方。それは、関西の人たちに好かれるチームになること。
なぜなら、甲子園にやって来ているのは大半が関西人だから。
関西人が好きなチームを応援する時、球場は“宇宙空間”となってチームを勝たせる。
そうなれば初出場でも優勝できる、と滝本は語る。
第12話「甲子園の宇宙空間」
宇宙空間とは何か? それは観客の願望が作る甲子園の雰囲気。
こんなチームが活躍して欲しい、というファンの気持ちの通りに大会は進み、決まったチームが優勝する。
高校野球は筋書きのないドラマというが、実際はファンが完成させたストーリーのもとに進むのだ。
その中でチームが勝つには、選手が筋書きの通りに、つまりファンの望むプレーをしなければならない。
第13話「甲子園ノート」
滝本は言う。高校野球は結局監督のものだと。
選手は毎年変わるが監督は変わらない。自然と監督のカラーがチームカラーになる。
常連組の見るところ、樫野のガーソは「動かれへん人」。
手を打つべき時に打てず、試合では地蔵のように固まったままのダメ監督だという。
七嶋は監督に頼らないチーム作りを決心する。
第14話「謀反」
9月に入り、センバツ出場のかかった秋の大会が始まった。
初戦、先攻後攻を決めるジャンケンに勝った七嶋は、ガーソに逆らって先攻を選ぶ。
第15話「先制攻撃」
1回表、七嶋は1番打者の志熊に監督と違うサインを出し、出塁させる。
その後、4番七嶋は自ら二塁打を放って先制点を奪う。
七嶋がガーソに逆らった理由、それは少ない得点チャンスを確実にモノにするためだった。
第16話「不協和音」
ガーソ監督は自分のサインが無視されたことに腹を立てたが、1回裏に七嶋が三者三振を奪うと一転して上機嫌に。
その態度にあきれる七嶋だったが、勝つために監督の機嫌を取ることを悟る。
第17話「キャプテン」
チームをまとめるために必要なこと。それは誰からも好かれ、信頼されるキャプテンになること。
七嶋は高校野球を終えるまで、完璧なキャプテンを演じることを決意する。
ピッチングも完璧なまま試合は終盤に進み、9回のピンチも三振を奪って試合終了。
エースと4番の役割を果たした七嶋は、部員の心をつかむことに成功する。
第18話「汚れた俺」
試合後、ピッチャーは次の試合に備えてOB浜田のマッサージを受ける決まりだった。
だが、七嶋はマネージャーのすすめでプロも通う小さな整体院を選ぶ。
その費用を払うため、再びトクさんのお金に手をつけることに。
罪悪感にかられる七嶋だったが、甲子園のために汚れた人間になることを決意する。
*
巻末企画「甲子園研究所」第2回
スポーツライターの田尻賢誉氏によるコラム。
テーマは「バックネット裏の常連たち」。
滝本さんたち常連組の実態について語る。
*
2巻から本格的な三田ワールドが展開!
高校野球のお約束を次々否定していきます。
「高校野球は筋書きのないドラマ」→「高校野球には筋書きがある」
「高校野球は選手のもの」→「高校野球は監督のもの」
「野球がうまければ勝てる」→「スタンドの力を借りなければ勝てない」
甲子園に行った人なら体感していると思うのですが、確かに甲子園には独特の雰囲気があります。
選手を包み込む5万人の思い。それが一つにまとまったとしたら? 何が起こっても不思議ではありません。
この漠然とした空気をここまで詳細に語った漫画が他にあるでしょうか。
*
と、野球のディテールは大満足なのですが……、正直マネージャーとの恋愛はいらない気が。
現役の野球部員向けにこういう要素も入れてるんでしょうが、三田さんの絵だと正直ときめかない。
そういうのは「みなみけ」とか「熱いぞ!猫ヶ谷!!」に任せておけばいいんですよ。
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