三田紀房「砂の栄冠」143話感想（週刊ヤングマガジン連載）

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今週の砂の栄冠　第143話「ケンケン登板」

（週刊ヤングマガジン2013年6月17日／29号）

＊

６回表、花坂徳丸の攻撃。
リリーフしたケンケンこと金子に対し、七嶋は「ちぎっちゃ投げやってみろ」と勧めます。
「え、ここで？」
「いつやるんだ　今だろ」
と、１年経ったら元ネタが思い出せるかも怪しいキメ台詞で焚き付ける。

ついでにキャッチャーもゴンから小泉に交代。
実際には七嶋が小沢先生にジェスチャーし、小沢先生がガーソを丸め込んだものだが、
観客にはガーソの大胆采配に見える。
スタンドから褒められたガーソはご満悦。

＊

「ちぎっちゃなげ」とは、ケンケンが七嶋から密かに教わっていた投法だった。
モーションを大きくし、上体をセンターにかたむけ反動で投げるのが彼のピッチング。
しかし、これではバランスが崩しやすい。
そこで、モーションを小さくコンパクトに。
肘はたたんで、力を入れるのは振るときだけ。
「新聞紙かなにかをちぎって投げるつもりで……」

そして、投げる際は何も考えない。
代わったばかりの小泉にも、テンポを速める事を要求します。
ちなみに、「ちぎっちゃ投げ」を初めて描いたクロカン１巻では、本当に濡れた新聞紙をちぎりながら投げてました。

＊

緊迫の初球。
ちぎっちゃ投げ投法でストライク！
気を良くしたケンケンは立てつづけに２球目。
ピッチャー右へ抜けるゴロとなりますが、七嶋がシングルキャッチのスローイングでアウト！
外野の芝のあたりで守る七嶋は、守備範囲が広いのです。
もちろん肩とフィルディングに自信があるからこその守備位置です。

＊

生まれ変わったケンケン、次打者もサード後方のフライにうちとる。
七嶋が回り込んでスリーアウト。

ナイスピッチング、と声援が飛びますが、当のケンケンは浮かない顔。
全部七嶋のファインプレーなのだから無理もありません。

「最後までこのリズムでいけ」
「はい　七嶋さん……ありがとうございます」
ケンケン、七嶋とタメだったよね？　なんで敬語？

＊

ベンチに戻ったところで、カトキチが七嶋に尋ねます。
「ちぎっちゃ投げ……そんな投げ方どこで知ったの？」
「どっかでなんかチラッときいたんだよね　でも……忘れた」
一番肝心なところをボカした〜！
宮本大人さんほか、全国500人のクロカンファンが泣いてるぞ！（勝手に名前出してスイママセン）
まあ、出版社が違うから作品名出せなかったんだよ、多分。

＊

試合は1対1のまま進行。
ケンケンは７、８回も三者凡退に抑える好投。
そして、樫野は８回裏に無死満塁の大チャンス。
盛り上げにかかる七嶋ですが、ベンチは意外にも白けていた。以下次号。

＊

	１	２	３	４	５	６	７	８	９	計
花坂徳丸	０	１	０	０	０	０	０	０		１
樫野	０	１	０	０	０	０	０			１

＊

白ける理由ですが、少し前から七嶋が感じている「溝」が関係ありそう。
「七嶋は凄すぎてついていけない」と、チームメートが思ってるのかも。
もしくは、センバツで燃焼しちゃったかだな。
なんにしても今週は「ちぎっちゃ投げ」ですね。
クロカンネタが出てうれしい反面、過去ネタのリサイクルで週刊２本の影響が早くも出てきたか、という気もして心配。