漫画「砂の栄冠」単行本10巻感想

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砂の栄冠　10巻感想

（週刊ヤングマガジン2012年21・22号〜2012年31号）

4月6日に発売された単行本10巻の内容を紹介します。
ストーリーはセンバツ２回戦序盤〜２回戦決着まで。

実はこれ、とっくに11巻の出た2013年3月に書いてます。
あんまり意味ないのでさらっと。

それにしても、この表紙を見た人は「砂の栄冠」を野球漫画と思うのだろうか？
もう表紙で買わせる気なんかさらさらないようだ。
だがそれがいい。

今回のエピソードをざっと紹介。

＊

第89話「監督対決」
２回表終了後、ガーソは突然レフト黄川田に代えて背番号13の田中を出場させる。
帝城の前川監督が選手を代えているのを見て、真似したくなったのだ。

第90話「甲子園の神様達」
急遽出場にも関わらず、無事にレフト守備をこなす田中。
直後に樫野に得点チャンスがやってくるが、ガーソの珍采配で無得点。

第91話「エースの投げ合い」
七嶋、甲子園を見守る神様の機嫌を損ねないようなプレーを心がける。
６回裏、樫野ピンチでガーソ采配発動。キャッチャー小泉に交代。

第92話「自信」
樫野ナインはキャッチャー交代の動揺も見せず、1失点で攻撃を切り抜ける。
七嶋は、ガーソに「さっさと死んでください」と祈るのだった。

第93話「魔物」
七嶋、帝城のリリーフからソロホームラン。２点差に突き放す。
緩みかけたナインに檄を飛ばし、魔物を入り込ませないようにする。

第94話「9回の表」
9回裏、帝城の攻撃は１死一塁。
バッターの打球はセカンドの低いライナー。二塁手清水がはじきながらも併殺打に仕留め、ゲームセットかと思われたが……。

第95話「故意落球」
清水のプレーは故意落球とみなされ、２死一塁でゲーム再開。
試合終了と思ったナインは動揺収まらず、守備の乱れで１点を失う。

第96話「ブラックホール」
２死満塁まで追いつめられた樫野。
七嶋は、あえてバッターに速球だけで挑もうとする。

第97話「名勝負」
速球オンリーの理由は、歴史に残る名勝負を演じて、流れを樫野に呼び戻すため。
バッターも粘るが、七嶋のアウトコースについに三振、ゲームセット。

第98話「ベスト8進出」
ライター茅刈は、七嶋とのインタビューで彼の腹黒さを見抜き、興味を持つ。
七嶋は体をケアするためプールで泳ぐことに。それを見た荒川は……。

＊

今回の目玉は「暴走機関車ガーソ」じゃなくて「蝕」……じゃなくて「甲子園の魔物」ですね。
ネットが普及するずっと前から「甲子園には魔物がいる」と言われてきました。
思わぬ大逆転、番狂わせの影に魔物がいる、と。
一般的には「技術が未熟ゆえのミス、メンタルが脆いゆえに普段通りのプレーできなくなる」のが魔物の正体とされます。
それをこんなはっきりしたビジュアルで描いた漫画は初めてでしょうね。
しかもおどろおどろしい。
樫野の皆さん、想像力ありすぎだろ。

＊

巻末企画「甲子園研究所」第10回
スポーツライターの田尻賢誉氏によるコラム。
今回のテーマは「監督いろいろ」。
甲子園に出てくる監督だって人間だ、ダメな人もいればあせって采配ミスする人もいるんだ、という内容。
今回も田尻氏のペンは軽快。「大阪の風俗通いが楽しみの監督」「飲み屋のネーちゃんにもててウハウハの監督」だのがいるそうで。
世間一般で言われているほど、監督さんも人格者じゃないってことですね。
じゃあ中学生がいい監督を選ぶにはどうするか？　は11巻に描いてます。

＊

帯：「このマンガが黒い！　2012年度第1位！！」
「このマンガがすごい！」のパクりですね。
面白ーい（棒読み）。

＊

帯の裏面にはグラゼニとのタイアップ企画「ゼニの栄冠」の応募方法が載ってました。
グラゼニ1巻と8巻、砂の栄冠1巻と10巻についてる応募券すべてを送ると、抽選で現金一万円がプレゼントされるという企画。どのぐらいの競争率だったんでしょーか。