三田紀房「砂の栄冠」105話感想（週刊ヤングマガジン連載）

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今週の砂の栄冠　第105話「クロスプレー」

（週刊ヤングマガジン2012年8月27日／39号）

春の甲子園準々決勝、兼六学館戦の４回裏。
１死一、三塁で打席には５番・ズッキ。
ズッキはヒッティングでサードゴロ。
三塁ランナーのグンはホームへ突っ込む！　というのが前号まで。

＊

クロスプレーの結果はアウト！
が、その間に無人の三塁ベースに七嶋がスライディング。
サードがゴロをさばくために前進した場合、ベースカバーにはショートが入ります。
しかし能力の高さに任せて基本がおろそかな兼六学館、ミスが出てしまいました。
あわててショートが三塁へ向かい、キャッチャーが送球。
これが悪送球になり、ボールは外野まで転がってしまいます。
七嶋ゆうゆうと生還、１点先制！

＊

解説は「兼六の守備の甘さをついた曽我部監督の采配でしょう」などと分析しますが、当の本人はネジが吹っ飛んでサインが滅茶苦茶でした。
まさに棚ぼたの１点です。
ちなみに、グンはサインを「スクイズ」、ズッキは「普通に打て」と解釈していました。
ズッキ久しぶりにしゃべったなあ。次はいつだろう。

＊

兼六ベンチは責任のなすりつけあい。
キャッチが「カバー入れや」と言えば、ショートは「あの送球はあかんて」と、まとまらない。
そこへ仲裁に入ったのが、キャプテン風谷。
我の強い兼六にあって、どこか大人しそうな容姿ですが、言うべきはキッチリ言ってその場を治めました。
風谷は控え背番号ですが、まとめ役としてベンチ入りしている模様。
何せ、彼以外は自分のことしか考えていない一匹狼です。

＊

一方の樫野は、兼六の釘谷監督いわく「羊の皮をかぶった狼一匹が、他の羊を飼いならしている」状態。
七嶋は化け猫なのか狼なのか、どっちなんだよ。

兼六ベンチの中で唯一の爽やか系である風谷ですが、関西の餓狼球児をまとめるほどの男です。
次回あたり、ジキル博士とハイド氏ばりの黒い一面が見えるかもしれません。

＊

さて、アルプススタンド奥の通路では、荒川ママが娘を励ましていました。
試合中に七嶋母と仲良くなった荒川ママは、「高校生活がいかに大事か」を語ります。
「樫野には６００人の男子がいるけど、大勢の同世代から男をじっくり見極めて選べるのは高校時代だけ」
荒川ママも、高校時代にパパを見極めてゲットし、教育したらしい。
大学だって大勢の男と会える……と思いましたが、バイトやらやってると交友関係限られるかも。
それとも、荒川ママは高卒か女子大卒なのか。
「その中でも七嶋君はひときわ輝いている。何としてもモノにしなさい」

言ってる事は黒いかもしれませんが、「何かを手に入れるために知恵を絞る」のはいいことです。特に三田漫画では。
七嶋、もしかすると本当に遠藤じゃなく荒川とくっつくかもしれん。

＊

試合は５回表、中盤に入ります。
七嶋、女たちの陰謀が渦巻いてるとも知らず、ピッチング練習開始。以下次号。

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