今週の砂の栄冠 第138話「使命」
（週刊ヤングマガジン2013年5月13日／24号）
打てばサク越え、投げれば剛球、歩く姿はおかわり君。
86キロの新戦力、中村豪史（たけし）に期待が高まる。
が、七嶋は波乱も予感していた。
＊
豪史の父・中村コーチとガーソは不仲である。
ガーソは当初、中村氏のコーチ就任に反対していた。
一方、中村氏も豪史の兄・優樹（ゆうき）を3年次に酷使されたことに不満があるはず。
先週号では優樹（まさき）ってルビふってなかったっけ？ 見間違いかな。
＊
しかし、中村コーチは弟の豪史を入学させ、母校である樫野との関係を断とうとはしなかった。
そこに何か目的がある……と七嶋は考えていた。
さすがに黒い主将の読みは深い。
はっきりしているのは、夏に向けてチームを仕上げるためにガーソは役に立たないこと。
七嶋は自らチームを作ることを決意。
＊
練習後のミーティングで、ガーソは毒にも薬にもならないことを言います。
そこへ七嶋も発言。
「今年はとっても力のある1年が多く入った」
「しかし野球はただ速い球を投げる ただ打球を遠くに飛ばすことではないと思う」
「野球をやるのがどういう人間か……ということだ」
＊
1年生はポカンとした表情。
「試合のたびにそれを問いかけられる」
「常に努力するのか サボらず妥協せずやりきるのか」
「誠実で人にやさしいか 騙したり裏切ったり悪口を言ったりしないか」
……ガーソに馬鹿とか死ねとか言ってなかったか？
「グラウンドはいつも選手に問いかけてくる その問いに対し自信を持って答えられる選手だけにベストプレーを提供してくれる」
＊
七嶋は選手の理想像を語ります。
そして、春のセンバツで負けたのは、問いに自信を持って答えられなかったからだ、と結論。
「だから罰を下された ケガして大勢の人に迷惑をかけた」
「夏の大会までに自分を見つめもう一度人間を磨きたい そして自信をもって答えられる人間になって甲子園に戻りたい」
「野球はまず人から！ みんな自分の人間力を鍛えよう！」
＊
「はい！」
演説で1年のハートをがっちり鷲づかみ！
彼らからみた七嶋は、スターの後光が指している。
……七嶋、野球選手だめでも塾講師でもやってけるよ。
カトキチは七嶋が1年を掌握したことを確信。
が、ガーソはめちゃくちゃ気分悪そう。
＊
七嶋、心の中でほくそ笑む。
「あんたは用済み このチームの指揮は俺がとる！ このチームは俺のものだ！」
黒い！ 甲子園から戻って黒さに磨きがかかります。
中村コーチ、何かしら思うところがある様子。
＊
なおも七嶋らは居残り練習（たぶん）。
豪史はトスバッティングをやりますが、早めに切り上げ。
そこへ七嶋がハッパをかけます。
「俺も1年で入ったばかりの頃 中村さんにトスあげてもらってたな……」
「みんな中村さんが教えてくれた すぐ手抜きする俺をちゃんと練習する選手に変えてくれた」
＊
そこで、中村コーチが豪史を入部させた意図に気づく。
「今度は俺がやる番だ……」
「中村さんの教えを豪史に渡す 次の世代を育てて歴史をつなぐ これが俺の使命なんだ」
ここはホワイト七嶋ですね。
＊
季節は流れ、4月中旬。春季大会の時期です。
樫野センバツベスト４なので、地区予選を免除され、県大会から。
さらに言えば、県大会後の関東大会も推薦出場が決まっているはず（ふつうは県大会上位チームしか行けない）。
＊
七嶋のケガは完治したものの、当面の投球練習は控えることに。
さらにトクさんもタローを連れて復帰。
練習を再び見に来るようになりました。
＊
春の県大会、最初の相手は花坂徳丸に決定。
モデルはおそらく花咲徳栄。
2003年センバツ準々決勝で、東洋大姫路との2試合にわたる延長戦で有名になったチームです。
＊
問題は先発ピッチャー。七嶋はまだ投げられない。
となれば金子、伊藤の継投しかない、と中村コーチ。
しかし、ガーソは1年のタケシを投げさせる、と決断。
ガーソ、春から早くも暴走か。以下次号。
＊
今週の三田先生
巻末コメント 高橋のぼるさん、石塚真一さんとゴルフ。石塚さん飛ぶーっ！
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