漫画「砂の栄冠」単行本1巻感想

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砂の栄冠　１巻感想

（2010年30号〜38号）

１話から８話までのまとめ

第１話「百年の夢」
夏の甲子園、埼玉予選決勝。
初出場を目指す県立樫野高校は、エース中村の力投で決勝に進出。
強豪の浦和秀学との決勝戦、樫野は７回表に２年七嶋の三塁打でリードを奪う。
だが、マウンドの中村は疲労とプレッシャーで限界を迎えていた。
さらに監督の采配が失敗し、８回裏に逆転を許してしまう……。

第２話「百年の結果」
９回表、３点差をつけられた樫野は半ば戦意喪失。
２番、３番が凡退し、４番の中村も空振り三振で試合終了。
なぜか泣けないと感じていた２年の七嶋だったが、引退する先輩たちに声をかけようとした途端、涙があふれてしまうのだった。

第３話「101年目のスタート」
決勝の２日後、七嶋をキャプテンとして新チームがスタート。
前チームと比べて七嶋以外にいい選手がおらず、大人たちは期待していなかった。
そんなある日の朝、部の練習をいつも見ている老人・トクさんから七嶋は紙袋を手渡される。
中身は１千万円の札束だった。

第４話「トクさんの1千万円」
身寄りのないトクさんは、樫野が甲子園に出たら貯金していた１千万円を寄付するつもりだった。
だが、本来は応援団よりも予選中にこそ使うべきだった、と気づいたのだという。
大金をあつかう自信のない七嶋は、学校に預けることを提案する。
しかしトクさんは、校長も、OB会長も、監督も信用できないと拒否。
たった一人信用できる七嶋だけに、１千万円をたくすと決めていた。

第５話「嗚咽のあと」
１千万円を預かると七嶋は決断。
大金が誰にも見つからないよう、グラウンドのショートの守備位置に埋めておくことに。
隠し終わった後、七嶋は「このお金は来年夏甲子園まで埋めておく」と宣言。

第６話「金に誓う」
今までの自分は、「甲子園を目指す」と言っていたが、それは口だけだった。
トクさんの本気を受けて、七嶋も全てをかけて甲子園を目指すと誓う。

第７話「初試合」
新チーム初の練習試合、七嶋はソロホームランを打ち、投げては完封で初勝利。
好スタートに浮かれる部員たちだったが、七嶋の目から見て守備も打撃も強豪レベルではない。
何より致命的な欠点は、彼らが本気で甲子園を目指していないこと。

第８話「転機」
マネージャーの遠藤によると、監督の曽我部は来年から他校に移るという。
「自分たちに見切りをつけられた」と感じた七嶋は、自分一人でチームを変えると決心した。
そのヒントを得るべく、甲子園で全国レベルの野球を見ることに。
問題は新幹線代と宿泊費がないこと……だが、「金ならある」ことに七嶋は気づく。

＊

巻末企画「甲子園研究所」
スポーツライターの田尻賢誉氏によるコラム。
テーマは「甲子園を目指すには、ぶっちゃけいくらかかるのか？」
結論から言うと、１千万円では足りないらしい。

＊

今読み返してみると、トクさんの１千万円エピソードは３話から６話まで続いているんですね。
結構長いですが、ここで他の野球漫画と差別化するべくじっくり描いたのでしょう。
「何かを得るためには相応の代価が必要」というのは、クロカンの「金払え」につながる三田漫画の大テーマです。

「クロカン」と最大の違いは、監督が采配ダメ、人徳ナシの使えない人だということ。
七嶋は高校生の若さでチームをマネジメントしようとしますが、果たして？

もうひとつ、マネージャーの子が結構かわいく描かれています。
まあ、あくまでも三田さんの漫画にしては、ですけど（ごめんなさい！）。