三田紀房「砂の栄冠」62話感想（週刊ヤングマガジン連載）

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今週の砂の栄冠　第62話「応援勝ち」

（週刊ヤングマガジン2011年10月3日／44号）

野球で鳴らした俺達樫野高校は、エースが打たれて浦秀に負けたが、準優勝に終わった。しかし、埼玉県でくすぶってるような俺たちじゃあない。筋さえ通りゃ１千万次第でなんでもやってのける命知らず。甲子園を可能にし、地蔵のガーソを粉砕する

俺達・ベースボール野郎Mチーム！

「俺はリーダーの曽我部。通称ガーソ。ドヤ顔と手のひら返しの名人。俺のような強運の持ち主でなければ、百戦錬磨の球児どものリーダーは務まらん！」

「俺は遠藤蘭、通称エンドラン。自慢のルックスに部の男はみんなイチコロさ。ハッタリかまして、ノックマンから米まで、何でもそろえてみせるぜ」

「キャチャー後藤、通称ゴン。キャッチングの天才だ。落ちるスライダーでも捕ってみせらあ！でも、母ちゃんの弁当だけは勘弁な！」

「よぉ、お待ちどう！俺様こそ伝説のノックマン。通称ミズノ。ノッカーとしての腕は天下一品！ロリコン？グラサン？だから何？？」

俺達は、私立の強い埼玉県に敢えて挑戦する、頼りになる神出鬼没の、「ベースボール野郎Mチーム」！
センバツに行きたい時は、いつでも言ってくれ！

＊

上記の文章は、今週の内容とは何ら関係ありません。

＊

「トランペット買うから野球部の応援テーマ作れ」という要求を、吹奏楽部の唐木はあっさり了承。早ッ。
しかし、何か裏事情を察したのか、「トラブルがあっても俺は一切関わらないからな」と念押しするのも忘れませんでした。
七嶋もむろん望むところ。「金の出所は一切心配するな」と、あくまでビジネスライクに交渉成立。センバツのある三月までに完成させるよう注文します。
これ高校生の会話か？

＊

ここまで七嶋が応援にこだわるのはなぜか。
それは、もちろん甲子園で勝つための布石。
ここで滝本さんの回想タイム。

「強いチームは観客のテンションが上がる応援ができる」
「甲子園には野球を良く知らない人も来るが、そういう人を引きつけるのが巧みな応援」
「観客を巻き込む応援のパワーがあれば、試合の流れも作れる」
ということだそうです。
実際、甲子園の常連チームは応援も統率されて聴く価値がありますね。

＊

ここで、私自身の思い出。
高校時代は吹奏楽部員でしたが、幸運にも在学中に野球部が甲子園に出たので、甲子園の応援も体験しました。
母校は、なんとあのPLとも対戦。
有名なパネル応援も見ました。次々切り替わる人文字が映画のスクリーンのようで、圧倒されましたね。
こちらはあくまで田舎高校の素朴な演奏で、チアも即席。応援は完敗でした。
ただ野球部は臆せず1対2と健闘しました。

＊

さて、グラウンドではいつにもましてノックマンが活発。
カトキチ曰く、これからは「攻撃的な守備を身につける」そうです。
樫野は絶対的なエースがいるチーム。１点あれば勝てる。ならば、相手に点を与えない野球を追求する。
つまり、走者を出さない。出しても次の塁に進めさせない。
攻撃的な守備とは矛盾ぽい表現ですが、積極的に走者を殺す守備と言い換えてもいいでしょう。

＊

熱心なノックマンを見て、七嶋は残りの４百万で監督もやってもらうことを思いつきます。
2chのスレッドだとさんざんガイシュツですけどね。
しかし、カトキチがそれを否定！
なんと、ガーソが退任を取り下げ、監督を続行することになったのです。

＊

「甲子園で指揮したいから残ったんだ」と結論づけた七嶋。
センバツはガーソの指揮で戦わないといけない羽目になりました。
ひょっとすると、引退する夏まで……。以下次号。

＊

七嶋はガーソの意志で転勤を取り下げたと言っていますが、もしかすると県教委かどこかが「樫野を指揮できるのは曽我部さんだけだ」と『配慮』したせいかもしれません。
それと、監督を続行するなら来年度の教頭を諦めないといけない。
ああいうポジションは条件だけじゃなくタイミングも合わないとなれません。甲子園、ガーソ的には決しておいしくないかも。

ところで、来週のアオリが「砂の栄冠初の大人の色気キャラ登場」って。
三田先生の絵で色気って、豆腐屋でタバコ注文するようなもの。
これは、期待させといておばちゃんキャラを出す気だな。