ドラマ「坂の上の雲」10回、11回にNHKの本気を見た
「坂の上の雲」10回、11回。素晴らしかった。
2009年、10年と見続けてよかったと思いました。

10回、11回は旅順攻略を描いており、主人公の秋山兄弟はさして活躍シーンがないのですが、それでも90分間目の離せないドラマでした。

感想は以下で。

秋山真之は「旅順要塞ではなく203高地を抑えよ」と陸軍に進言するのが唯一の見せ場。
あとは船上から、作戦の成否を気を揉んでいるだけ。

お江に無理矢理本能寺とかにしゃしゃり出させた今年の大河とは大違いです。

それにしても、戦闘シーンの凄まじさは圧倒的でした。
ロシア軍の砲撃の中を突撃する日本軍、それを阻む鉄条網。
渡辺謙さんのナレーションが入ると、もう「映像の世紀」さながらのドキュメンタリーのようでした。

また大河を引き合いに出しますが、生き死にの感じられない近年の合戦シーンに比べると濃密度が何倍も違います。
いかにもチャンチャンバラバラやってますよというだけの切り合い。
それに対し、戦友の死体を乗り越え歯をむき出しにして突撃する日本兵、吠えながら機関銃を撃つロシア兵の狂気じみた顔。
電話線を必死で維持しようとするシーンも地味だけど良かった。
今年の「江」と「坂の上の雲」。同じ放送局が作ってるとは思えない。

次男が戦死したと報告を受けた乃木、「そうか。それで203高地は」
この指揮官の顔に徹した表情、最高でした。
のみで削ったように硬質というか。

「乃木も私も、死するはこのときです」と語る児玉参謀。
覚悟を決めた人の顔つきでした。
実際、日露戦争後間もなく亡くなっているんですね。

勝利の後、203高地に立つ乃木。
しかし爽快感はありません。後ろには敵味方の死体が折り重なり、彼自身も息子を失いました。

戦争を賛美する内容ではないと思います。
日本が大国とケンカするにはこれだけ血を流して金を使わないといけなかったんでしょう。

しかし、何度も何度も繰り返される日本兵の突撃を見ているとやりきれませんでした。
太平洋戦争の神風特攻隊を見ているようで。
そういや現代にも、部下に「死ぬ気でやれ」って言ってふんぞり返ってるだけの上司がいるな。

とにかく気骨を感じるドラマでした。
残る2回、必ず見ます。

そういえばエンディングが演奏から歌唱バージョンに変わってます。
演奏バージョンの方が良かったという意見も聞きますが、私はなかなかいいと思います。
コーラスになる部分は「歴史は英雄じゃなく、無数の人間が作るんだ」という制作者のメッセージではないでしょうか。
| ドラマ | 22:49 | comments (0) | trackback (0) |
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