2011,12,11, Sunday
ユーフォは中学校時代から愛用する楽器ですが(約10年ブランクあるけど)、よく考えるとこの楽器についてあまり知らない。
この楽器向けの楽譜には「バリトン」と書かれていることも多いが、その違いもよく知らない。
佐伯茂樹さん著「楽器から見る 吹奏楽の世界」やwikiを参考に、ユーフォについてまとめてみました。
この本は、吹奏楽を編成する楽器が現在の姿になるまでをわかりやすく書いているので、歴史に興味ある方はおすすめです。
演奏のテクニックは全く書いてないのでご注意。
2011.12.31追記
三浦徹さんの「うまくなろう! ユーフォニアム」を参考に加筆修正。
続きは以下で。
<ユーフォニアムの誕生>
19世紀後半、イギリスのブラスバンド向けにユーフォニアムが開発される。
語源はウィーンで開発された「オイフォニオン(ギリシャ語で良い響き、の意)」という低音金管楽器の名を借用したもの。
それまで、金管の低音域はオフィクレイド(サックスと金管楽器を合わせたような楽器。キーの開閉で音を変える)が担当していたが、ユーフォニアムに切り替わる。
※wikiでは「ゾンマーが1843年に開発したゾンメロフォンを起源とする」と書いているのだが、「楽器から見る 吹奏楽の世界」は開発者について触れていない。裏付けとなる資料が見つからなかったので言及を裂けたのかもしれない。
<バリトンとは>
ベルギー人のアドルフ・サックスがパリで1840年代に開発した、ソプラノからバスまでの金管楽器群(サクソルン属)の一つ。
名前は担当する音域のバリトン(テナーとバスの中間)から。
ユーフォと同じようにピストンで音を変えるB♭楽器だが、管がユーフォより細く音が明るい。
というわけでユーフォニアムとは明確な別物。
バリトンの写真:http://jp.yamaha.com/products/musical-instruments/winds/baritones/ybh-621s/?mode=model
イギリスのホルストが1909年に作曲した「ミリタリーバンドのための組曲第1番 Op.28-1」では、バリトンとユーフォニアム1人ずつ、という編成が想定されている。
<各国のユーフォニアム、バリトン事情>
ユーフォニアムやバリトンに相当する楽器は、各国ごとに試行錯誤の中で進化している。
名前が同じでも楽器の性質は違う。
ここが話をややこしくしている。
例えばアメリカ。
20世紀初頭、ユーフォニアムはマーチ王スーザの結成したバンドで活躍していた。
しかし、イギリスのユーフォニアムとは違い、管が細く明るい音のするバリトンだった。
また、音色が単調になるのを避けるため、本来のベル以外に、トロンボーンの小型のベルを装着した「ダブルベルユーフォニアム」も使用された。
ダブルベルユーフォニアムの写真(下の方):http://homepage1.nifty.com/saka_euph/gakki.htm
ドイツの楽団にもバリトンが登場するが、見た目が卵形でヴァルヴシステムのロータリーを持つ。
チューバやトロンボーンと組んで低音を担当する。
チェコのチェルヴェニーが開発したと言われる。
ドイツ式バリトン:http://www.amazon.co.jp/dp/B005F1691S
<ユーフォニアムと似た楽器>
・テノールホルン
ドイツやオーストリアの楽団で使用される。
上記のドイツ式バリトンと同じく卵形で音域も同じだが、管が細い。
ただし、テノールホルンは高音域でオブリガートを吹く。
・テナーホーン
Es管。ブラスバンドで用いられる楽器(ブラスバンドと吹奏楽は楽器編成が違います)。
コルネットと低音楽器をつなぐ役割を持つ。
小口径のマウスピースなら澄んだ明るい音を出すが、大口径はまた異なる。
アルトホルンと呼ばれることもあってややこしいため、E♭を頭につけることも。
・バリトンホーン
ユーフォニアムと同じB管の低音楽器。
テナーホーンを一回り大きくしたもので、同じくブラスバンドで使用。
ユーフォより管が細くベルの開き方が狭いので、明るい音がする。
上で書いたバリトンとは別物。
ややこしいですね。私もそう思います。
もちろん、ピッチャーがボブ・フェラーを知らなくてもスライダーが放れるように、楽器の歴史など知らなくても演奏はできます。
しかし、楽器は大事なパートナー。歴史を知っておくとより愛着が増すのではないでしょうか。
もう一つ豆知識を。
<コンペンセイティングシステム>
低音域の音程を補正するシステム。
4番ヴァルヴを押してF管の長さになった時に、B管用の長さの抜き差し管をF管用にするために、もう一度ヴァルヴに管を通して延長する仕組み。
余分に管を通すことで音が低くなり、適切な音程になる。
イギリス人D.ブレイクリーが、ギュスターヴ・ベッソンの開発したヴァルヴシステムを改良して生み出した。
ユーフォの右手をかける棒がある側を後ろ、反対を前とします。
各ピストンの前側についているのが本来の管。
後ろ側についているのが、コンペンセイティングシステム用の管。
この楽器向けの楽譜には「バリトン」と書かれていることも多いが、その違いもよく知らない。
佐伯茂樹さん著「楽器から見る 吹奏楽の世界」やwikiを参考に、ユーフォについてまとめてみました。
この本は、吹奏楽を編成する楽器が現在の姿になるまでをわかりやすく書いているので、歴史に興味ある方はおすすめです。
演奏のテクニックは全く書いてないのでご注意。
2011.12.31追記
三浦徹さんの「うまくなろう! ユーフォニアム」を参考に加筆修正。
続きは以下で。
<ユーフォニアムの誕生>
19世紀後半、イギリスのブラスバンド向けにユーフォニアムが開発される。
語源はウィーンで開発された「オイフォニオン(ギリシャ語で良い響き、の意)」という低音金管楽器の名を借用したもの。
それまで、金管の低音域はオフィクレイド(サックスと金管楽器を合わせたような楽器。キーの開閉で音を変える)が担当していたが、ユーフォニアムに切り替わる。
※wikiでは「ゾンマーが1843年に開発したゾンメロフォンを起源とする」と書いているのだが、「楽器から見る 吹奏楽の世界」は開発者について触れていない。裏付けとなる資料が見つからなかったので言及を裂けたのかもしれない。
<バリトンとは>
ベルギー人のアドルフ・サックスがパリで1840年代に開発した、ソプラノからバスまでの金管楽器群(サクソルン属)の一つ。
名前は担当する音域のバリトン(テナーとバスの中間)から。
ユーフォと同じようにピストンで音を変えるB♭楽器だが、管がユーフォより細く音が明るい。
というわけでユーフォニアムとは明確な別物。
バリトンの写真:http://jp.yamaha.com/products/musical-instruments/winds/baritones/ybh-621s/?mode=model
イギリスのホルストが1909年に作曲した「ミリタリーバンドのための組曲第1番 Op.28-1」では、バリトンとユーフォニアム1人ずつ、という編成が想定されている。
<各国のユーフォニアム、バリトン事情>
ユーフォニアムやバリトンに相当する楽器は、各国ごとに試行錯誤の中で進化している。
名前が同じでも楽器の性質は違う。
ここが話をややこしくしている。
例えばアメリカ。
20世紀初頭、ユーフォニアムはマーチ王スーザの結成したバンドで活躍していた。
しかし、イギリスのユーフォニアムとは違い、管が細く明るい音のするバリトンだった。
また、音色が単調になるのを避けるため、本来のベル以外に、トロンボーンの小型のベルを装着した「ダブルベルユーフォニアム」も使用された。
ダブルベルユーフォニアムの写真(下の方):http://homepage1.nifty.com/saka_euph/gakki.htm
ドイツの楽団にもバリトンが登場するが、見た目が卵形でヴァルヴシステムのロータリーを持つ。
チューバやトロンボーンと組んで低音を担当する。
チェコのチェルヴェニーが開発したと言われる。
ドイツ式バリトン:http://www.amazon.co.jp/dp/B005F1691S
<ユーフォニアムと似た楽器>
・テノールホルン
ドイツやオーストリアの楽団で使用される。
上記のドイツ式バリトンと同じく卵形で音域も同じだが、管が細い。
ただし、テノールホルンは高音域でオブリガートを吹く。
・テナーホーン
Es管。ブラスバンドで用いられる楽器(ブラスバンドと吹奏楽は楽器編成が違います)。
コルネットと低音楽器をつなぐ役割を持つ。
小口径のマウスピースなら澄んだ明るい音を出すが、大口径はまた異なる。
アルトホルンと呼ばれることもあってややこしいため、E♭を頭につけることも。
・バリトンホーン
ユーフォニアムと同じB管の低音楽器。
テナーホーンを一回り大きくしたもので、同じくブラスバンドで使用。
ユーフォより管が細くベルの開き方が狭いので、明るい音がする。
上で書いたバリトンとは別物。
ややこしいですね。私もそう思います。
もちろん、ピッチャーがボブ・フェラーを知らなくてもスライダーが放れるように、楽器の歴史など知らなくても演奏はできます。
しかし、楽器は大事なパートナー。歴史を知っておくとより愛着が増すのではないでしょうか。
もう一つ豆知識を。
<コンペンセイティングシステム>
低音域の音程を補正するシステム。
4番ヴァルヴを押してF管の長さになった時に、B管用の長さの抜き差し管をF管用にするために、もう一度ヴァルヴに管を通して延長する仕組み。
余分に管を通すことで音が低くなり、適切な音程になる。
イギリス人D.ブレイクリーが、ギュスターヴ・ベッソンの開発したヴァルヴシステムを改良して生み出した。
ユーフォの右手をかける棒がある側を後ろ、反対を前とします。
各ピストンの前側についているのが本来の管。
後ろ側についているのが、コンペンセイティングシステム用の管。
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