映画「風立ちぬ」(スタジオジブリ)感想
帰省中、岡山メルパにて映画「風立ちぬ」を鑑賞。
大戦中に活躍した戦闘機・零戦を開発した男と、その妻の物語です。

ネタバレ含む感想を書いてみます。


<あらすじ>
堀越二郎はイタリア人飛行機技師にあこがれ、
自らも「美しい飛行機」をつくることを志す。

上京して勉学に励むある日、汽車で移動中に関東大震災に遭遇。
名家の娘・菜穂子と怪我した女中を助けるが、二郎は名をつげることなくその場を去る。

やがて二郎は三菱内燃機製造に入社、期待の若手として飛行機づくりを任されるが、
時代は彼に戦闘機の開発を求めていく。

数年後、避暑地にて二郎は菜穂子と再会。
恋に落ちる二人だったが、菜穂子は結核に冒されていた。

<感想>
ジブリにしては珍しく、十数年?にわたる長いスパンの話です。
整理すると下記の通り。

・少年時代
・東京での学生時代、関東大震災
・三菱時代前半(入社、西欧出張)
・避暑地にて菜穂子と再会、婚約
・三菱時代後半(零戦開発、新婚生活)

実在の技師・堀越二郎(1903~1982)の前半生を追っています。
ただ、結核のくだりは肺結核で夭折した作家・堀辰雄を元にしているらしい。

そしてもう2つ珍しいのが結婚にまで至る恋愛を描いていることと、悲劇に終わること。
断言されていませんが、菜穂子は結核で亡くなった、とラストで解釈できます。
また、二郎の開発した零戦はすべて帰ってきませんでした。


で、感想ですが。
色々考えてしまう映画でした。

この場合の考えるというのは映画から投げかけられた問いに考えるというより、
消化できず思い悩むという方が正解。

悩み1
二郎は自分の開発した機体が、戦争に使われることにあまり葛藤がないように見える。
悩み2
菜穂子は結核の療養所から抜け出し、短命に終わると承知の上で二郎との新婚生活を選ぶ。


1はまあわかるのです。
二郎は明らかに研究に没頭する人間に描かれているから。
「どこと戦争するんだろう」というセリフが2度ほどあったので、
社会情勢もさほど興味はなかったのでしょう。

でも2は、正直いただけなかった。
安易に悲劇で終わらせているようで。

人間、理性で動くものではないので、いつ終わるかわからない療養生活を送るより、
死を早めるとしても、限られた時間であっても、夫婦生活を送りたい。
それはわかります。
話として美しい。

ただ観る側としては、冷めてしまう。
自分の性格上、ときめけない。10数年前の高校生ならわからないが。


でも一番大きいのは、「技師」「飛行機」「戦争」「夫婦」とキーワードがありすぎて
どういう映画なのかわかりづらかった点にあるのかもしれない。


いつも通り久石譲さんの音楽はいい(特に、ドイツの機体を見学するところ)。
大正から昭和の風景、個々のシーンはどれも面白い。
(上司・黒川が連続してオイルに汚れるところ……鉄板ですね)
イタリア人技師との語らいも、ジブリらしく幻想的でいい。

それだけに全体がぼやけたのは惜しいです。
| 映画 | 07:42 | comments (0) | trackback (0) |
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