2015,06,08, Monday
2013年7月、秋田書店発行。
イラストレーター・池田暁子(いけだ・きょうこ)さんのコミックエッセイ。
タイトル通り、旦那さんの「うつ」がテーマ。
思ってたウツとちがう! 「新型ウツ」うちの夫の場合
◎あらすじ
結婚して約2年、夫が仕事疲れからか「うつ」になった。
会社を休養させたものの、世にいう「うつ」と少し違う……。
旅行やゲームしているときは、すごく楽しそう。
穏やかな性格が一転攻撃的になり、奥さんの仕事にダメ出しの嵐。
このままだと2人ともおかしくなる!
離婚もやむなし?
夫婦は危機を乗り越えられるのか?
池田暁子さんの作品の感想は、カテゴリからご覧ください。
特に「うっかり結婚生活 一緒に暮らす二人のルール8」を事前に読んでおくと、
いっそう楽しめます……単純に楽しい話じゃないけど。
◎初出
「エレガンスイブ」2012年8月号~2013年5月号に連載された
『夫は自宅警備隊』を改題し、加筆・修正したもの。
◎感想でなく、ご注意(長いです)
まず、この本はあまりおすすめできません。
うつについて知りたい方の参考にはなりません。
特にうつを患っている方は、読まないことをおすすめします。
理由。
(1)旦那さんのうつは、発行の時点で治療中
「ツレがうつになりまして。」や「わたしは働くうつウーマン」のように、
寛解(状態が落ち着く事)してから描かれたものではない。
(2)奥さん(池田さん)も冷静に振り返られていない(ように思える)
旦那さんと衝突し、負の感情をそのまま描き殴ったような場面もある。
76ページの「とりこまれる! 逃げよう!」等。
(3)「新型うつ」という、医学用語でないただの造語をタイトルに使っている
「うつにもいろいろあるんです。」の感想でも書いたが、
「新型うつ」はマスコミや不勉強な医者が広めた造語。
「ない」と言い切るお医者さんもいる。
⇒細川貂々&大野裕「ツレと貂々、うつの先生に会いに行く」
従来のうつに当てはまらない「非定型うつ」というのは存在する。
「うつ」「非定型うつ」も厳格な診断基準(DSM-IV,DSM-V)があるが、
「新型うつ」は、基準も何もないタダの流行語。
一番おすすめできない理由は、(3)です。
2012年ごろ、メディアで流行した「新型うつ」。
それをタイトルに使った方がキャッチーで売れるのはわかる。
でも、このタイトル、「うつの方への配慮が足りない」です。
池田さんか、秋田書店編集のK城さんか、どちらが考えたのか知りませんが。
「うつ」の人は、ただでさえ自責の念が強い傾向にある。
傍目にはわがままに見えても、内面では苦しんでいる。
働けない、普通に社会生活できないことにたいして、「すみません」と思っている。
「新型うつ」は、「若い世代のなまけ病」「サボリの口実」という意味合いで使われることもある。
まずうつの方がこのタイトルを目にしたら、傷つきます。
「やっぱり自分はなまけ者なのか」と。
「面倒くさっ!」と思うでしょうが、「うつ」とはそういう病気です。
さらに読んでしまったら、ダメな旦那の姿を見て
自分が責められているように感じてしまいます。
回復するどころか、落ち込みます。
だから、「うつ」の方がこの本を読もうとしたら、
家族は燃やしてでも止めるべきです。
秋田書店さんのK城さんや池田さんに言いたい。
本が売れればそれでいいんか?
あんたらの飯のタネになったら、病気で苦しむ人が傷ついても構わんのか?
造語をばらまいて偏見を助長しても、お金になったらそれでいいんか?
タイトルの「ウツ」を「ハゲ」に置き換えてみればいい。
どれだけ、不特定多数の人を傷つけかねないかがわかる。
◎悪趣味な女性編集者
123ページでは、
旦那のうつに目をキラキラさせているK城さん、
メディアファクトリーの松田紀子さんが出てくる。
「女性編集者たちにネタとしてモテモテの夫」というキャプションつきで。
編集としては有能かもしれないけど、悪趣味すぎるだろ。
松葉づえで歩いてる人をみて、「あの人歩き方変なのー」と言うガキと同レベルやぞ。
ちなみにK城さんは144ページでも「やっぱダンナさん面白いです!(キャッキャ)」だって。
旦那さんは珍獣かなにかですか?
◎まとめ
池田さんとしては、「ツレうつ。」のように
ユーモラスなうつのコミックエッセイ目指して描かれたかもしれませんが、
残念ながら不愉快な要素が多い。
旦那さんのうつにつき合って、相当苦労されたと思う。
治療のために多くの本も読まれたようだ(下記)。
ただ、それを本にするには早かったと思う。
寛解してから描けば、練られた良いものになったのかもしれないのに。
タイトルに「うちの夫の場合」とつけ、
各話の冒頭でそのつど「※このマンガは私の体験談です」と念押ししているのは、
うつの方へのせめてもの配慮でしょう。
ないよりマシな程度の配慮ですが。
◎この本が役立つとすれば
巻末の参考資料リストは、役に立つかもしれません。
「うつ」「非定型うつ」に関する代表的な本がリストアップされてます。
私のかかりつけの先生が言っていた、「うつ」の本を選ぶ際のポイント。
・なるべく発行年の新しい本がよい
・専門家(医学博士や教授)が書いた本がよい
・「新型うつ」をタイトルにした本は読まない方がよい
つまり、この本自体は参考にならない。してはいけない。
「ブラックジョーク」としてなら、楽しめるかもしれない。
旦那さんの精神攻撃に激怒する寸前の絵柄は、ムンクの叫びのような狂気を感じる。
イラストレーター・池田暁子(いけだ・きょうこ)さんのコミックエッセイ。
タイトル通り、旦那さんの「うつ」がテーマ。
思ってたウツとちがう! 「新型ウツ」うちの夫の場合
◎あらすじ
結婚して約2年、夫が仕事疲れからか「うつ」になった。
会社を休養させたものの、世にいう「うつ」と少し違う……。
旅行やゲームしているときは、すごく楽しそう。
穏やかな性格が一転攻撃的になり、奥さんの仕事にダメ出しの嵐。
このままだと2人ともおかしくなる!
離婚もやむなし?
夫婦は危機を乗り越えられるのか?
池田暁子さんの作品の感想は、カテゴリからご覧ください。
特に「うっかり結婚生活 一緒に暮らす二人のルール8」を事前に読んでおくと、
いっそう楽しめます……単純に楽しい話じゃないけど。
◎初出
「エレガンスイブ」2012年8月号~2013年5月号に連載された
『夫は自宅警備隊』を改題し、加筆・修正したもの。
◎感想でなく、ご注意(長いです)
まず、この本はあまりおすすめできません。
うつについて知りたい方の参考にはなりません。
特にうつを患っている方は、読まないことをおすすめします。
理由。
(1)旦那さんのうつは、発行の時点で治療中
「ツレがうつになりまして。」や「わたしは働くうつウーマン」のように、
寛解(状態が落ち着く事)してから描かれたものではない。
(2)奥さん(池田さん)も冷静に振り返られていない(ように思える)
旦那さんと衝突し、負の感情をそのまま描き殴ったような場面もある。
76ページの「とりこまれる! 逃げよう!」等。
(3)「新型うつ」という、医学用語でないただの造語をタイトルに使っている
「うつにもいろいろあるんです。」の感想でも書いたが、
「新型うつ」はマスコミや不勉強な医者が広めた造語。
「ない」と言い切るお医者さんもいる。
⇒細川貂々&大野裕「ツレと貂々、うつの先生に会いに行く」
従来のうつに当てはまらない「非定型うつ」というのは存在する。
「うつ」「非定型うつ」も厳格な診断基準(DSM-IV,DSM-V)があるが、
「新型うつ」は、基準も何もないタダの流行語。
一番おすすめできない理由は、(3)です。
2012年ごろ、メディアで流行した「新型うつ」。
それをタイトルに使った方がキャッチーで売れるのはわかる。
でも、このタイトル、「うつの方への配慮が足りない」です。
池田さんか、秋田書店編集のK城さんか、どちらが考えたのか知りませんが。
「うつ」の人は、ただでさえ自責の念が強い傾向にある。
傍目にはわがままに見えても、内面では苦しんでいる。
働けない、普通に社会生活できないことにたいして、「すみません」と思っている。
「新型うつ」は、「若い世代のなまけ病」「サボリの口実」という意味合いで使われることもある。
まずうつの方がこのタイトルを目にしたら、傷つきます。
「やっぱり自分はなまけ者なのか」と。
「面倒くさっ!」と思うでしょうが、「うつ」とはそういう病気です。
さらに読んでしまったら、ダメな旦那の姿を見て
自分が責められているように感じてしまいます。
回復するどころか、落ち込みます。
だから、「うつ」の方がこの本を読もうとしたら、
家族は燃やしてでも止めるべきです。
秋田書店さんのK城さんや池田さんに言いたい。
本が売れればそれでいいんか?
あんたらの飯のタネになったら、病気で苦しむ人が傷ついても構わんのか?
造語をばらまいて偏見を助長しても、お金になったらそれでいいんか?
タイトルの「ウツ」を「ハゲ」に置き換えてみればいい。
どれだけ、不特定多数の人を傷つけかねないかがわかる。
◎悪趣味な女性編集者
123ページでは、
旦那のうつに目をキラキラさせているK城さん、
メディアファクトリーの松田紀子さんが出てくる。
「女性編集者たちにネタとしてモテモテの夫」というキャプションつきで。
編集としては有能かもしれないけど、悪趣味すぎるだろ。
松葉づえで歩いてる人をみて、「あの人歩き方変なのー」と言うガキと同レベルやぞ。
ちなみにK城さんは144ページでも「やっぱダンナさん面白いです!(キャッキャ)」だって。
旦那さんは珍獣かなにかですか?
◎まとめ
池田さんとしては、「ツレうつ。」のように
ユーモラスなうつのコミックエッセイ目指して描かれたかもしれませんが、
残念ながら不愉快な要素が多い。
旦那さんのうつにつき合って、相当苦労されたと思う。
治療のために多くの本も読まれたようだ(下記)。
ただ、それを本にするには早かったと思う。
寛解してから描けば、練られた良いものになったのかもしれないのに。
タイトルに「うちの夫の場合」とつけ、
各話の冒頭でそのつど「※このマンガは私の体験談です」と念押ししているのは、
うつの方へのせめてもの配慮でしょう。
ないよりマシな程度の配慮ですが。
◎この本が役立つとすれば
巻末の参考資料リストは、役に立つかもしれません。
「うつ」「非定型うつ」に関する代表的な本がリストアップされてます。
私のかかりつけの先生が言っていた、「うつ」の本を選ぶ際のポイント。
・なるべく発行年の新しい本がよい
・専門家(医学博士や教授)が書いた本がよい
・「新型うつ」をタイトルにした本は読まない方がよい
つまり、この本自体は参考にならない。してはいけない。
「ブラックジョーク」としてなら、楽しめるかもしれない。
旦那さんの精神攻撃に激怒する寸前の絵柄は、ムンクの叫びのような狂気を感じる。
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