細川貂々「ツレがうつになりまして。」
細川貂々さんの、夫(通称ツレ)のうつ病をテーマにしたコミックエッセイ。
ドラマ化、映画化もされました。
通称、「ツレうつ」。シリーズ化され、現在までに3冊出版されています。

昨年、自分が「うつ病」と診断されたこともあり(最初は適応障害と言われたが)、
先輩はどう乗り切ったのか、知りたくて読んでみました。

今回は、第1弾の感想を書いてみます。

細川貂々さん・望月昭さんご夫妻の関連作品の感想は、
カテゴリからご覧ください。

◎内容
2006年3月発行。現在は、文庫版が入手しやすい。
ツレがうつになりまして。 ツレがうつになりまして。 (幻冬舎文庫)

2004年1月、外資系IT企業に勤めるツレ(望月昭さん)が、ある日「死にたい」と発言。
病院に行ったところ、診断結果は「うつ病」。
そこから夫婦の奮闘の日々が始まります。

あとがきにもありますが、貂々さんの訴えたかったことは
・うつは誰でもかかる病気であり、治療すれば治る
・心が強い、弱いは関係ない。後ろめたい思いをする必要はない
・かかったら「心の夏休み」だと思って、あせらず休む
・休んでいる時間は、自分と向き合う時間と考える
です。
実際、この通りだと思います。

ツレさんの治癒には1年半かかったそうです。
本書は、その後に出版されたものです。
厳密には、ツレさんの状態は「寛解(症状が表に出なくなっただけ)」だそうですが、
大きく考えれば治るうちにいれていいでしょう。

その他、自分とツレさんが一致すると思った点。

「自分はゴミより価値がない人間だ」と考えるようになる
⇒ゴミじゃないが、生きてても意味がない・役に立たないと思ったのは確か。

仕事の失敗が多くなった
⇒今度は失敗しないようにと自分でプレッシャーをかけ、より失敗しやすくなる。悪循環

調子の良い時と悪い時を繰り返しながら回復する
⇒「波のように上下しながら治る」と、かかりつけの先生に言われた

ちょっとした、乱暴な言葉に傷つく
⇒自分の父は典型的昭和オヤジで、ささいな事でしょっちゅう怒鳴る。これが結構きつい。

本や新聞が読めない
⇒新聞はOKだが、なぜか小説は読めなくなった。作り話を楽しめる心境じゃない、と理解している。

理想の40歳像と、現状の自分を比べて落ち込む
⇒バリバリ仕事し、子供は2人、家持ち、がツレさんの理想。
 「自分にはあれがない、これがない」と悲観して、自分を追い込んでしまう。
 持ってるものも沢山あるのにね。
 一人者からしてみれば、ツレさんは奥さんがいるだけで充分幸せ者だと思う。
 結婚でストレスを溜める事も、多々あるだろうが。


余談:卵や大豆はうつ病に良いか?
ツレに卵の白身、納豆(大豆)、バナナ、牛乳を食べさせるくだりがある。
これは、2011年秋の映画にも取り入れられた。⇒映画版の感想

うつ病は神経の伝達物質セロトニンの減少で起こるが、
上記の食品はセロトニンの原料となるアミノ酸のトリプトファンが含まれている。

だから卵などはうつ病によい……という理屈なのですが、
効果ははっきりしない、というお医者さんもいます。

卵などでセロトニンは摂取できますが、それが脳内に運ばれるかははっきりしていない、そうです。
少なくとも、私のかかりつけの心療内科の先生はそう言ってました。

嫌いなら無理に食べる必要はない、というのがその先生の見解です。
もちろん、一医者の見解なので、食べてみるのもよしだと思います。
体に悪いものじゃないし。プラシーボ効果っていうのもあるし。
| 漫画・本::細川貂々/望月昭 | 23:45 | comments (0) | trackback (0) |
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