2015,06,15, Monday
2010年1月、三笠書房発行。
「ツレがうつになりまして。」で知られる、細川貂々さんのコミックエッセイ。
「十牛禅図」をもとに、自身の迷いやマイナス思考を克服し、
前向きで楽に生きられるようになるまでを描いている。
てんてんの大丈夫、きっとうまくいく。
「十牛禅図」とは、禅宗の修行で使われるもの。
悟りの段階を「牛を探す人」にたとえた10枚つづりの絵のこと。
分類上「仏教」の本なので、
「ツレうつ。」のような一般のエッセイとはぜんぜん別の書棚に置かれている場合もあります。
探される際はご注意を。
細川貂々さん・望月昭さんご夫妻の関連作品の感想は、カテゴリからご覧ください。
◎十牛禅図について
中国、宋の時代の廓庵(かくあん)というお坊さん描いたものが有名。「十牛図」ともいう。
日本には鎌倉時代に伝わった。
「牛」とは自分の心であり、「十牛禅図」は自分探しの旅を絵にしたもの、らしい。
絵だけなので、解釈は人によって異なる。
(詳しいことは、要所で入るツレさんのコラムを読んでください)
1.尋牛(じんぎゅう) 牛(自分)探しの旅に出発
2.見跡(けんせき) 牛の足跡を発見、自分を知るきっかけをつかむ
3.見牛(けんぎゅう) 牛の姿を見つける、自分自身と向き合う
4.得牛(とくぎゅう) 牛と格闘する。自分とは何なのか、悩み迷う
5.牧牛(ぼくぎゅう) 牛を手なずける。自分自身を知る
6.騎牛帰家(きぎゅうきか) 牛の背中に乗る。自分に自信がつき、自分の居場所へ戻る
7.忘牛存人(ぼうぎゅうそんじん) 牛のことを一旦忘れ、のんびりする
8.人牛倶忘(じんぎゅうぐぼう) 牛も何もかも忘れ、心を真っ白にする
9.返本還源(へんぽんげんげん) 自然(今まで見落としていたもの)の美しさに、改めて気づく
10.入廛垂手(にってんすいしゅ) 日常に戻る。旅で得たものを、周りの人に分け与える
※入廛垂手の「てん」は本来「鄽」と書くようだが、本書では「廛」
常用漢字?でないためか。HTML上では「鄽」と書けば漢字に変換できる。
◎内容
貂々さん自身の足跡を、「十牛禅図」にあてはめて振り返っています。
漫画家として売れずに苦労した時代を、どう乗り越えたか。
どうやって、不安やマイナス思考に陥らないようになったか。
「十牛禅図」の10個のステップのように、
階段を一歩ずつ登るように強くなっていった様子が描かれています。
おすすめしたい理由。
・コミックなので読みやすい
・宗教の話だけど、難しくない。ツレさんが現代風解釈を加え、わかりやすくしてくれている
・説教くさくないし、押し付けがましくない
・上から目線じゃない
悩み・迷いから抜け出す方法を書いた、自己啓発本というのは沢山あります。
一時期、その手の本を読み漁ったこともあった。
ただ、どれも
「負け組になりたくなかったら、俺様/あたくしを見習いなさい」
「20代/30代までに●●ができなきゃ生き残れません。お先真っ暗です」
「成功のヒケツを、特別に教えてやるよ。ありがたく思え」
と文脈が上から目線ばかりで、素直に頭に入ってこなかった
(自分が、いらんプライドを持ってるせいもあるけど)。
だいたい、成功のメソッドは書いてる本人に有効でも、読み手に有効とは限らないし。
本書の場合、そういう押し付けがましさがないです。
苦しい時には「大丈夫、うまくいく」と唱える。
繰り返し唱えると、だんだん強くなる。
タイトルの由来は、これ。
本の要点も、これだけ。シンプル。
それと、嫌なことは考えず、楽しいことを考える。
この2つだけなら、自分でもできるかな、と思えます。
◎生きにくい時代に
最後に、ツレさんの解説の中で印象的なくだりを引用します。
今の時代は、生きにくい時代になっていると言われます。
「希望がない」とか「頑張っても報われない」とか「どうしていいのか、わからない」とすら思えてくる。
絶望していることすら自覚しにくい絶望感が満ちているとも言えます。
こんなとき、前の世代の言うことはアテにはなりません。
たぶん、心の中に持っているモノサシみたいなものが、前の時代に使っていたものとぜんぜん別になってしまったのでしょう。
それで相棒も僕もいろいろなことを考えて、新しい時代のモノサシにたどり着くヒントを探してみました。
その一つが、千年近く前から伝わる「十牛禅図」だったというわけです。
これは2010年の本ですが、2015年の今も、状況は変わっていないように思えます。
親や上司のアドバイスが役に立つとは限らないわけです
(特に、親には助言を求めるべきでない、とすら思う……子供に対して客観的な判断ができないから)。
じゃあどうするかというと、メソッドは自分で見つけるしかないわけで。
そのとっかかりに「十牛禅図」がなるかもしれないし、ならないかもしれない。
さっと読める本なので、ご興味があればおすすめします。
「ツレがうつになりまして。」で知られる、細川貂々さんのコミックエッセイ。
「十牛禅図」をもとに、自身の迷いやマイナス思考を克服し、
前向きで楽に生きられるようになるまでを描いている。
てんてんの大丈夫、きっとうまくいく。
「十牛禅図」とは、禅宗の修行で使われるもの。
悟りの段階を「牛を探す人」にたとえた10枚つづりの絵のこと。
分類上「仏教」の本なので、
「ツレうつ。」のような一般のエッセイとはぜんぜん別の書棚に置かれている場合もあります。
探される際はご注意を。
細川貂々さん・望月昭さんご夫妻の関連作品の感想は、カテゴリからご覧ください。
◎十牛禅図について
中国、宋の時代の廓庵(かくあん)というお坊さん描いたものが有名。「十牛図」ともいう。
日本には鎌倉時代に伝わった。
「牛」とは自分の心であり、「十牛禅図」は自分探しの旅を絵にしたもの、らしい。
絵だけなので、解釈は人によって異なる。
(詳しいことは、要所で入るツレさんのコラムを読んでください)
1.尋牛(じんぎゅう) 牛(自分)探しの旅に出発
2.見跡(けんせき) 牛の足跡を発見、自分を知るきっかけをつかむ
3.見牛(けんぎゅう) 牛の姿を見つける、自分自身と向き合う
4.得牛(とくぎゅう) 牛と格闘する。自分とは何なのか、悩み迷う
5.牧牛(ぼくぎゅう) 牛を手なずける。自分自身を知る
6.騎牛帰家(きぎゅうきか) 牛の背中に乗る。自分に自信がつき、自分の居場所へ戻る
7.忘牛存人(ぼうぎゅうそんじん) 牛のことを一旦忘れ、のんびりする
8.人牛倶忘(じんぎゅうぐぼう) 牛も何もかも忘れ、心を真っ白にする
9.返本還源(へんぽんげんげん) 自然(今まで見落としていたもの)の美しさに、改めて気づく
10.入廛垂手(にってんすいしゅ) 日常に戻る。旅で得たものを、周りの人に分け与える
※入廛垂手の「てん」は本来「鄽」と書くようだが、本書では「廛」
常用漢字?でないためか。HTML上では「鄽」と書けば漢字に変換できる。
◎内容
貂々さん自身の足跡を、「十牛禅図」にあてはめて振り返っています。
漫画家として売れずに苦労した時代を、どう乗り越えたか。
どうやって、不安やマイナス思考に陥らないようになったか。
「十牛禅図」の10個のステップのように、
階段を一歩ずつ登るように強くなっていった様子が描かれています。
おすすめしたい理由。
・コミックなので読みやすい
・宗教の話だけど、難しくない。ツレさんが現代風解釈を加え、わかりやすくしてくれている
・説教くさくないし、押し付けがましくない
・上から目線じゃない
悩み・迷いから抜け出す方法を書いた、自己啓発本というのは沢山あります。
一時期、その手の本を読み漁ったこともあった。
ただ、どれも
「負け組になりたくなかったら、俺様/あたくしを見習いなさい」
「20代/30代までに●●ができなきゃ生き残れません。お先真っ暗です」
「成功のヒケツを、特別に教えてやるよ。ありがたく思え」
と文脈が上から目線ばかりで、素直に頭に入ってこなかった
(自分が、いらんプライドを持ってるせいもあるけど)。
だいたい、成功のメソッドは書いてる本人に有効でも、読み手に有効とは限らないし。
本書の場合、そういう押し付けがましさがないです。
苦しい時には「大丈夫、うまくいく」と唱える。
繰り返し唱えると、だんだん強くなる。
タイトルの由来は、これ。
本の要点も、これだけ。シンプル。
それと、嫌なことは考えず、楽しいことを考える。
この2つだけなら、自分でもできるかな、と思えます。
◎生きにくい時代に
最後に、ツレさんの解説の中で印象的なくだりを引用します。
今の時代は、生きにくい時代になっていると言われます。
「希望がない」とか「頑張っても報われない」とか「どうしていいのか、わからない」とすら思えてくる。
絶望していることすら自覚しにくい絶望感が満ちているとも言えます。
こんなとき、前の世代の言うことはアテにはなりません。
たぶん、心の中に持っているモノサシみたいなものが、前の時代に使っていたものとぜんぜん別になってしまったのでしょう。
それで相棒も僕もいろいろなことを考えて、新しい時代のモノサシにたどり着くヒントを探してみました。
その一つが、千年近く前から伝わる「十牛禅図」だったというわけです。
これは2010年の本ですが、2015年の今も、状況は変わっていないように思えます。
親や上司のアドバイスが役に立つとは限らないわけです
(特に、親には助言を求めるべきでない、とすら思う……子供に対して客観的な判断ができないから)。
じゃあどうするかというと、メソッドは自分で見つけるしかないわけで。
そのとっかかりに「十牛禅図」がなるかもしれないし、ならないかもしれない。
さっと読める本なので、ご興味があればおすすめします。
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