映画「青空エール」感想と原作漫画の思い出
※※この感想には原作ファンのボヤキ・語りが大量に含まれております※※


青空エール DVD 豪華版(2枚組)


実写映画版「青空エール」観ました。
上映中は、観る気がどうしてもしなかった。
全19巻の内容を、2時間の映画に圧縮したら、
それはもう完全に別物だと思ってたので。

実際、映画はダイジェストみたいなものでした。
でもまあ、そこを承知で観ると、まあまあいいんじゃないか、
ゴールド金賞じゃないけど銀賞くらいかな、という内容でした(何様)。
映画をきっかけに原作を読む人が、ちょっとでもいればいいと思います。

◎映画の概要
原作の1年秋、北海道吹奏楽コンクール終了後から、
一気に2年後まで飛ぶ。
そのため、原作の1年秋以降のエピソードを3年時に詰め込んでいる。
駆け足気味の印象はぬぐえませんが、
大事なところは拾ったかな、と思います。

話をわかりやすくするため、
吹奏楽や野球の特殊な事情は割愛・変更されている(後述)。


◎主な変更点など
香織先輩<●><●>と関連エピソードはカット
まあ、そうなりますよね。
代わりに香織先輩っぽいことを言う、
クラリネットの眼鏡の女子が出てきます。

原作の、
・三井さん(チューバ)……つばさが先生に特別指導を受けてると非難する人
・香織先輩
・金管をなじる木管の怖い先輩
と、
部活の苦い要素を一人で背負った、すごい人。
でも役者さんの名前がわからない。

野球の応援は南北海道大会決勝から
ようするに甲子園まであと1つ。
でも、本当はもっと前の試合から応援します。
強いところなら2,3回戦から。

北海道は広いので、夏の大会(甲子園の予選)を
・南北海道大会地区予選(白翔は札幌地区)
・南北海道大会
の2ステージに分けてるのですが、その辺は割愛。

山田の足のケガ、応援演奏は1年秋⇒3年春ごろの話に
このケガの回復に時間がかかるため、
山田は3年夏の大会、南北海道大会決勝まで出番なし。
控えのキャッチャーで決勝まで勝ち進める白翔高野球部、
選手層はかなり厚いようだ。

応援演奏は、録音ではなく山田のいる病院に出向いて吹く
いい話ではあるけど、ちょっと考えてしまう。
だって病院だよ。
いくら上手い演奏でも、耳の病気してる人、耳が敏感な人には、
ただの迷惑だ……。
とはいえ、録音するのだと絵的に映えないし。やむを得ない。

1年冬、北海道神宮のお参りはカット
絵馬のシーンに活かされてると思う。

甲子園はカット
甲子園でのエピソードは、北海道大会決勝に詰めてました。

吹奏楽コンクール、1年・2年は銀賞
ここ、経験者だと苦笑いするところ。

全国吹奏楽コンクール(全国大会)に行けるのは、
地方大会の金賞をとった学校の中で、特に優秀な学校。
金賞=全国行き決定、ではありません。

銀賞をとる学校はまず金賞を目標にするもので、
いきなり全国は夢物語です……。

結果発表で「銀賞」「ゴールド金賞」と
わざわざゴールドをつけるのは、「ぎん」と「きん」が聞き間違えやすいからです。

3年時、水島はパートリーダー兼部長
パートリーダーだけだと、
吹奏楽を知らない方には一つ重みがないから、でしょう。
実際は、パートリーダーだけでも大変な役割です。

3年の吹奏楽コンクールはエンディングでさらっと
尺的に仕方ない。

こうして振り返ると、全体的に苦しい。
やはり原作とは別物です。

ただ、原作の伝えるメッセージ

才能がなくても、目標に向かって頑張ることの大切さ
はげまし合う仲間たち
夢を追うことは、時に辛く苦しいものである事
衝突を恐れず対話する事

この辺は語っているので、
2時間でできる範囲のことはやってるかなー。


◎使用楽曲
吹奏楽曲
マーチ「ブルースカイ」(2007年吹奏楽コンクール課題曲)
ローマの祭り
シバの女王ベルキス
宝島

ローマ、ベルキス、宝島。
いずれも吹奏楽では超有名。
ローマとベルキスは全国吹奏楽コンクールで聴く機会も多い。

ベルキスは、原作だと2年時に演奏してますが、映画では3年に。
そして原作の3年で演奏した「吹奏楽のための『神話』~天の岩屋戸の物語による~」はカット。
「神話」は古い曲らしいので、難しかったのかも。

野球の応援曲
Our Boys Will Shine Tonight

夏祭り
狙いうち
さくらんぼ
Sunny Day Sunday

いずれも応援の定番です。
甲子園で聴く機会も多いです。

「Our Boys Will Shine Tonight」、
応援で、つばさが水島にソロ任された曲ですね。
原作は「必殺仕事人のテーマ」なんですが、権利関係の問題?


◎キャストの皆さん
堀井新太(城戸保志役)
城戸のキャラをよくわかってる。普段は三枚目、でもマウンドでは男。
私的助演男優賞。
「おせーよ」ってセリフが好き。万感こもってる。
高校まで野球経験あり。そのせいかピッチングも様になってましたね。

上野樹里(杉村容子役)
原作の真木先生の役割も兼ねている。
そのせいか、原作よりもやや柔らかくなった。
スウィングガールズ、大河ドラマの江しか知らないけど、
こんな大人の演技もされるようになったんだなぁ、と。

竹内涼真(山田大介役)
笑顔サワヤカのナイスガイ坊主。
今をときめく人気俳優さん。山田っぽさは申し分なし。
185cmあるんでキャッチャー姿がサマになります。
ペンが左手なのが違和感ありますが、
お箸やペンが左、ボール投げるのは右、は実際いるのでヨシとする
(例:岩隈久志)。

土屋太鳳(小野つばさ役)
映画では1年からいきなり3年に飛ぶんですが、
自信なさそうな感じから先輩の顔に切り替わってて、
さすが旬の女優さんだと思いました。
ただ、小柄なつばさのイメージとは合いませんね。

葉山奨之(水島亜希役)
ビジュアルが最も原作と違う人。
でも、これはいいと思う。
水島は部活での「仲間」であり、恋愛対象ではない。
だから、女の子に間違われるような美形である必要はない。

松井愛莉(脇田陽万里役)
可もなく不可もなく。
青空の下、フラれたつばさの隣にいるシーンは好き。
ここに限らず「青空」は効果的に使われている。

小島藤子(春日瞳役)
恐いけどしっかり者の先輩。
ザ・まゆげ。
オシャレできないって、部活は大変だ。

志田未来(森優花役)
森先輩に関しては、エピソードを過不足なく拾ってました。
ヒドイこと言う場面もしっかりやってて、良かったですね。

平祐奈(澤あかね役)
原作のマネージャー多能さんに当たる人。
つばさに対する言動はほぼ同じ。
役名を変える必要あったのかな……名前呼ばれる場面もないのに。

山田裕貴(碓井航太役)
大介があこがれる先輩。
見た目野球少年っぽい人。お父さんが元プロ野球選手だそうです。

黒瀬サラ(高橋マルコ役)
まるちゃんは2時間だとカットされても仕方ないですが、
一応いました。
同じトランペットパートで、大体つばさの隣にいる優しそうな子、がマルコですね。

あとは、エキストラの皆さん。
野球の応援・吹奏楽と大勢のエキストラが必要な映画でしたが、
いい仕事してました。


◎原作の思い出
長いです。
後半気持ち悪くなります。ご了承ください。

高校時代、吹奏楽部に所属し、
野球部を応援したことのある自分にとって、
「青空エール」はまさに青春にリンクする作品でした。

8巻までは単行本でしたが、それ以降は別マ本誌派。
ちょうど山田がケガするあたり。

少女漫画雑誌を手に取ったこともなかった自分が、
恐ろしいほどのめり込んでいった。
一ヵ月に1回読んで、感想を書くのを欠かさなかった。

つばさや山田、それ以外のキャラクターに、
かつての自分や同級生を重ね、成長を見ていた。

私自身は、レベルの高い吹奏楽部にいたわけでもなく、
その中でまじめにやってたわけでもない。

でも、漫画の中で描かれる苦み・達成感・部室の空気は、
確かにかつて味わったものでした。
自身の経験なし・取材だけで描ける河原和音先生はすごい、
何者だと思いました。

素晴らしい作品ではありますが、
連載中は、失礼ながら途中で終わるんじゃないか、
3年まで描かれないんじゃないかとも思っていた。

デートの場面もないし、
そもそも主役の男女が一緒にいる場面が少ない。
少女漫画としての色気がない。

加えて、ヒーローの山田は坊主頭。
貴重なイケメンの水島は、さっぱり恋愛の気配なし。

とにかく悲しく辛い場面が多く、
人気が保てているのだろうか、と。

でも、きっちり3年のコンクールまでを描ききり、
過不足なく終わらせた。
一読者ごときが心配することはなかった。

「色気」や「華」をあえて捨て、
7年間、部活漫画に徹した河原先生・編集に感謝したいです。

水島をイケメンにしたのは、
途中で恋愛に絡める可能性も考えての事でしょうが、
そういう展開にならず、本当に、本当に良かったと思う。
「仲間」という、少女漫画において貴重な男女関係を描き続けた。
これもまた作品の良さ。

河原先生といえば「先生!」や
なんといっても「高校デビュー」であり、
恋愛色の薄い「青空エール」はそんなに売れてる方じゃないと思いますが、
だとしても、自分の中では永遠の名作です。

「青空エール」がなかったら、
他の少女漫画を読んだりしてません。
今、色んな少女漫画や女性向け漫画の感想を書いてるのは、
「青空エール」が終わった喪失感を穴埋めしてるようなものです。
連載が終わって2年が経つというのに。

面白い漫画は沢山ありますが、
自分の中で「青空エール」に代わる作品はありません。

先生が、休まず次の連載を始めた時、
何とも寂しい気がしたものでした。
漫画家が、常に描き続けるのは、当たり前だとしても。

今描かれている「素敵な彼氏」も
漫画として充分面白いですが、寂しさを埋めるには足りません。

少女漫画に求められるのは、
格好いい男子であり、ときめき。
頑張っても報われるかどうかわからない、
努力しても涙ばかり、そういう作品が今後出てくるか?
人気を得て長期連載できるか?
難しいと思います。
やはり、「青空エール」は他に代えがたい漫画です。

「俺物語」(原作担当)が大ヒットしても、
「素敵な彼氏」の人気が出ても。

将来、先生が別マを去ることになっても、
漫画家を辞めたとしても。

私にとって河原和音先生といえばまず「青空エール」であり、
それは今後も変わらないと思います。
| 漫画・本::河原和音「青空エール」 | 21:30 | comments (4) | trackback (0) |
コメント
>hiroさん
今月はこちらにも、ありがとうございますm(_ _)m

「おお振り」は、野球を舞台でどう表現するのか、疑問がつきないですね。
実際観に行くまではしませんが……。

「ちはやふる」のように2部構成だったら最高でしたね。
1年、2年、3年で3部だったら星5つでした。

デートは夏祭りと、初詣と、
修学旅行で2人で甲子園行った時ですね。
手もろくにつながないし、まあ清いカップルでした。


>美晴さん
青空エール、展開自体は読みやすいですね。
途中をどう描くか、に着目してました。

「主人公が何かあるたびに泣くのが嫌」
「野球の応援で勝手に演奏したのが受け入れられない」
という人もいまして、それぞれもっともだと思います。
万人受けする漫画ではないですね。

美晴さんもラブ展開がキツイ方ですか……

河原先生も、キラキラした高校生描くのがうまいんで、
「耳すま」ばりに削られる感覚はわかります。


>さくらさん
ありがとうございます。タイムリーですね(^o^)
さくらさんは厳しい学校でしたか。
私は、県大会でずっと銀でした。

春日先輩と森先輩は、同じ意見の方いましたね。
ビジュアルの取り違え? そんなことあるのかな。
足りないところは多数ありますが、まとまった良作だと思います。

部活ものを3年引退まできっちり描く、というのがまず困難。
なおかつ、恋愛を主題にしない。
偉大な作品だと思いますね。
| 惣一郎 | EMAIL | URL | 17/11/21 13:43 | Y945Kht2 |
こんにちは。
映画はほとんど観ることがないので(原作ものかどうかを問わず)
青空エールの映画も観たことはないけれど…なるほどそういう改変なんですねー。
最近、おおきく振りかぶってを舞台化するみたいな無茶な話もきくんですが
部活動って長いから、2時間くらいにまとめるのって無理じゃないかって思ったりします。
なんだっけあのかるたの漫画、あれみたいに2部とかにすれば何とか…ならないか。

ところでデートなかったっけ…とか考えたんですが
初詣行ったりとかしてなかったでしたっけ。
デートに入らないですかね。
| hiro | EMAIL | URL | 17/11/20 19:25 | hP5fGcVs |
「青空エール」は、何といっても一巻の
「強くなりたい」で心わしずかみにされたんですが
長期連載というのと、スポ根ものの展開が読めるところがあって、離脱したんですよね・・・

「素敵な彼氏」6巻は、買おうかどうしようか
実はちょっと迷っていて(バレンタインと誕生日回で
かなり心を削られたっぽい)

俗に、三大鬱アニメというのがあって
「耳をすませば」「秒速5センチメートル」「時をかける少女」

鬱になる理由って
「あんな10代、自分にはなかった」ってあたりだと思うんだけど、

それいうと「青空エール」を読んで鬱になる人もいるだろうって思う。

「耳をすませば」のラストシーンって地上波放映やると、実況はいっつも阿鼻叫喚死屍累々の酷いザマになるんですが、私はあの映画の恋愛シーンよりも、セッションシーンが辛いんですよね(凄く丁寧に作画したという談話を読んだことがあります)


こんな風に音楽を楽しめたかもしれない、と。

遠い花火の記憶です。
| 美晴 | EMAIL | URL | 17/11/19 18:10 | .nBplGFg |
私も先月、レンタルして見ました。
ポスター見たとき春日先輩と森先輩は役が反対だとおもってたので、ちょっとビックリした(笑)
原作見てない人には、だいすけの気持ちの変化が伝わりにくかったのでは?2回目の告白あってもよかったんじゃ‥‥とは思いましたが、よくまとまってたとも思いました。

今までいくつも吹奏楽題材にした漫画や小説よみましたが、ここまできっちり描いてあるのは、青空エールが初めてでしたね。だいたいが恋愛9割吹奏楽1割でした(笑)

私はわりとレベル高い高校だったので、先輩との確執や、後輩にメンバーとられたり、代表とれなかった時の悔しさとか、かなり共感しました。
私も河原先生といえば「青空エール」です(^O^)

とか書いてたら読みたくなった。週末に一気読みします(笑)

| さくら | EMAIL | URL | 17/11/17 22:41 | KVz/pxYw |
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