早稲田大学オープンカレッジ「マインドフルネスからマインドフルライフへ。そしてマインドフル社会へ(2)」受講後の感想
早稲田大学エクステンションセンター主催のオープンカレッジ
「マインドフルネスからマインドフルライフへ。そしてマインドフル社会へ(2)」を、
2016年秋に受講しました。

受講して思ったこと、各回で印象に残ったくだりを書いてみます。

ご注意
・各回の内容は間違っている可能性あり。自分のメモから書き起こしたもの

◆概要
計10回、27216円
2016年10月04日 ~ 12月06日 10:40~12:10
マインドフルネスからマインドフルライフへ。そしてマインドフル社会へ(2) | 町田 和彦 | 早稲田大学エクステンションセンター


◆総評
率直に書けば、おすすめできない。

座学中心。
講師が回ごとに異なるので、内容がバラバラ。
よく言えばバラエティに富んでいて、悪く言えば関連性がない。

講師によっては準備・やる気にかなり差がある。
資料を用意する方・しない方、
用意しても時間配分を考えておらず、ごく一部を話しただけで終わる方、
資料に非常にボリュームがあって専門用語が多く、結果難解なものになっている方、等。

大学備え付けのPCに不慣れで、時間を浪費するケースもあり
(大学も基本的には講師1人を放置しており、PC操作に慣れたスタッフを待機させたりしない)。

単なる自慢話になっている時もしばしば……。
(講師は大学の名誉教授が中心であり、ある程度は仕方ないのかもしれない)。

講師の著書や、私的なワークショップの宣伝目的ではないか、と
思うような回もあった。

参考となる内容となるかどうかは人次第だが、
ならない可能性は高い。

個人的には、値段相応の価値はない講座。


◆第1回
「マインドフルライフと日本人(町田 和彦)」

・マインドフルネス(やわらかな心、気づき)の定義は人によって違って良い
・日本の独特の国民性は、マインドフルネスと近いところもある
 仏教、神道、自然信仰、儒教の混合=懐の広さ
 協調するのが基本の文化
・西洋の体系化したマインドフルネスに頼るより、自身に合ったものを探すべき
・おすすめの書籍「ハーバード大学教授が語る『老い』に負けない生き方」エレン・ランガー/桜田直美/(株)アスペクト
⇒実際に読んでみましたが、簡単に言うなら
 「老いた」と思い込めば老ける。「若さ」は気の持ちよう
 という内容のことが研究結果とともに書いてある
・エレン・ランガー教授の5つの提言
1)ものごとを自分で決める人は長生きする
2)自分の体の声に耳を傾ける人は長生きする
3)楽観的な人は長生きする
4)思い込みにとらわれない人は長生きする
5)あきらめない人は長生きする


◆第2回
「心理学の流れと枠組みについて(中町 芙佐子)」

・マインドフルネス=西洋で発展した禅を逆輸入したもの
・妬み=painful emotion=痛みを伴う感情、脳の痛みを司る部分を使い回している
・迅速な情報処理⇒マンネリ化、ステレオタイプ化、他人への思い込み、融通の利かなさ、錯視、錯覚
・必要な情報の抽出……たとえば、窓の外の音を選別する感覚
・マインドフルである=健康な心、こだわりに囚われない、幸福も不幸も受け入れる
・ストレス/内向き/エネルギーを奪う⇔自己コントロール/外向き/行動的
・ストレスをなくすことはできないが、軽減はできる
・思い込みの一例
 混んだデパートで募金のお願いをしていたところ、ある女性が高額の寄付をした
 この女性は①気前が良い人である ②寄付せざるを得ない状況だった(お金をすぐ処分しなければいけない等)
 多くの人は①と想像する
 では、自分が女性の立場だとしたら? ②を想像する
 専門用語的に言うと、
 他者の場合は人格特性の原因的影響を過大評価しがち、状況的・環境的要因を過小評価しがち
 自己の場合はその逆
・マインドフルな状態とは、健康な心をもっているということ
 経験にまとまりがあり、
 関係性があり、
 同調がとれ、
 受容的で、
 認知的で、
 共感的
・妬みを解消する方法
 広い視野、長期的なビジョンをもつ
 引き出しを沢山もつ
 サブカテゴリー(トータルでは勝てないが、ある局面、ある戦法では負けないなど、自分の良さを見出す)


◆第3回
「マインドフルネスの日常活用(武田 吉康)」

・自分の価値は何か、やるべきことは何か、を再確認
・マインドフルネス=正念(仏教用語「八正」のひとつ)の訳=観察すること
・意志作用≠自分自身。もっと奥深くに自分自身の働きがある
・意志作用⇒思考作用⇒感覚・感情(内部知覚)⇒感情・内臓感覚
          ⇒見る・聞く(外部知覚)⇒物・音
        深い|浅い
・自分をコントロールするおおもとの意志作用から変えないと、うつ病は治らない(らしい)


◆第4回
「日本的マインドフルネス(大田 健次郎)」

・近代から現代に続く学校教育は、「平均的な人間の育成」を目的にしている
 工場の機械労働者を生産するために、画一的な知識を与えている
 今の時代にはマッチしない
・西欧近代科学をベースにした教育は、ゆきづまっている
・釈迦の説く仏教は、人生の「苦」(ストレス)を解決する、自己トレーニングシステム
 2600年かけて洗練された技法
・仏教の中でも参考になるのは「阿含経」。お釈迦様の生の言葉を記録したもの。原始仏教
・マインドフルネスとは
 外部の情報に振り回されることをやめ、自分の内側に注意を向ける
 自分を取り戻す訓練
・マインドフルネスとは
 過去や未来について思い煩うことがないよう、「今」「ここ」に意識を集中すること
・ヒトの心は頻繁にさまようもの
 心がさまよっているとき、ヒトの幸福感は低い
 何をしているかより、そのことに熱中・集中しているかのほうが、その人の幸福感を正確に反映する
・自分の身体と呼吸に意識を集中するのは、目をつぶって瞑想しなくてもできること
・マインドフルネスの訓練
 気が散っていることに気づいたら、すぐにやるべきことに集中を戻す
 筋肉の運動のように、精神の運動をすること
 瞑想しなくても、日常の動作の中(家事等)でできる
・マインドフルネス
 自分の内面を観察し制御することにより、人生を意味あるものにしようということ
 持てる財産には限りがあるが、心は無限に開拓し、豊かにすることができる
・腹が立つ=自分の心の反応。相手は関係ない
 怒りをあらわにするのは、相手に支配されること
・眠くなるためには、思考よりも自分の肉体と呼吸に意識を戻す
 考えると目が冴えてしまう


◆第5回
「マインドフルネス セラピ ーー 本当の自分に出会うーー(福田 京子)」

・ネガティブな感覚は、いのちの力
 嫌なことに対して、いのちが「NO」と言っている
 大事な「自分」へのメッセージ
・ネガティブな感覚を追い出す必要はない
 使い方を間違えれば争いの元となるが、対応のしかたによってカバーできる
・ネガティブな感覚があるとき
 1)自分を責めない
 2)他人にぶつけない
 3)しっかり受け止めてもらえる安全なフィールドで表現する
 4)表現するだけで次のプロセスへ移行する
・いろいろな自分……頭の中の自分、腹の中にいる自分、奥底にいる自分
・頭で感じる⇒頭の中を感情が支配する
 体で感じる⇒間をとることができる
 ネガティブな感覚を、頭から体に落とし、お腹に感じることで緩和できる(かもしれない)


◆第6回
「ニューロフィードバックによるマインドのセルフケアの理論と方法(大賀 英史)」

・自律神経は、自分で律する(コントロールする)ことができない
・自律神経をコントロールするには、まず自律神経を自覚すること
 例えば宗教
・瞑想は自分を知る作業であり、マインドフルネスは瞑想で培われたものを日常の中へ還元していく回路
・瞑想の問題点もある
 1)心理的課題(親子関係等)を放置したまま、ストレス緩和法として瞑想を行おうとすると、ストレスからの回避のための至高体験を求める(具体的な意味はよくわかりません)
 2)指導者につかないグループでは、自然発生的にグルイズム(勝手に指導者を作る)が生じる危険がある
・人間関係による病理は、人間関係でしか治しにくい
・マインドフル(気づき)⇔マインドレス(気づかない)


◆第7回
「脳科学とマインドフルネス(中村 俊)」

・マインドフルネス=気づきの原点に立つ
・サルにも備わっている
(1)愛着の形成
(2)道徳性の基盤 公平、協力、共感
 檻の中の2匹のサルの一方に餌を与えると、もう一方と分ける
 餌を入れたカゴにロープをつけ、檻の近くまでのばすと、2匹で協力して引っ張る
(3)社会的葛藤の調整 求愛、社会性


◆第8回
「フランスのメディカルアロマテラピーに学ぶ病気の予防(日下部 知世子)」

・シトラス 抗不安
・ユーカリラジアタ 去痰、鼻水、鼻づまり、風邪予防
・ジュニパー 引赤(血流を一か所に集め、肩こり等に効く)
・ローズマリー 頭脳明晰、血流。夜は不向き(交感神経が活発になる)
・スコッチパイン 引赤
・サイプレス 抗ストレス、更年期、自律神経のバランス(副交感神経を活発に)
 キノコ、カボチャ、ゴボウ(繊維質)の摂取や寝る1時間前の入浴も良い
・ローズ(ダマスク) 収斂(顔のハリ)、女性ホルモン
・フランキンセンス(乳香) 炎症


◆第9回
「ヨガの実践と効用(丸岡 汪行)」

・八支則(ヨガを効率的に行うための8つのプロセス)
 1)ヤマ(禁戒)……してはならないこと
  暴力、悪口、不盗(物品・思考・時間)、他
 2)ニヤマ(勧戒)……するとよいこと、自分自身をしつけること(道徳に近い)
  満足、自分について学ぶこと、他
 3)アーサナ(座法)……ポーズ
 4)プラーナヤーマ(調気法)……呼吸法
 5)プラーティヤハラ(制感)……感覚器官のコントロール(五感)。コントロールセンターにあたるのが心
 6)ダーヤナ(一点集中)……教えないことを重視
 7)ディヤーナ(瞑想)
 8)サマーディ(悟り)……三昧:心の動きがなくなった状態
・体の柔軟性が増す⇒心が柔軟になる
・アスリートがヨガをする理由⇒余分なことを考えない練習をする
・正しい立ち方も、ヨガのポーズの1つ


◆第10回
「笑いの科学(町田 和彦)」

・中島英雄(落語家兼医師、故人)の唱える「笑いの科学」「笑い療法」が参考になる
 ※特に本が出ているわけではないようだ
・慢性的なストレス⇒不快
・運動のような一時的なストレス⇒快感
・イベント参加を通じて実験を行い、参加者を4つのグループに分けた
 1)イベント参加回数が少ない、イベントにおいては消極的
 2)イベント参加回数が多い、イベントにおいては積極的
 3)イベント参加回数が少ない、イベントにおいては積極的
 4)イベント参加回数が多い、イベントにおいては消極的
 3)4)のようなグループは矛盾群と呼ばれ、
 1)2)のグループよりもストレス耐性、幸福感どちらも悪い結果となった


◆補足
2017年秋学期も、
「マインドフルネス」「マインドフルライフ」について計10回の講義が予定されている。
2016年秋学期と同等であれば、行く価値はないです。
| 雑記 | 10:17 | comments (0) | trackback (0) |
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