2015,07,01, Wednesday
著者は漫画家・故人。
1987年、「ヤングマガジン」で漫画家デビュー。
人間の偽善や暗部をテーマに世の中の矛盾を問う作風で、カリスマ的人気を得る。
1992年、投身自殺。享年24歳。
(プロフィールより抜粋)
自殺直前日記 改
彼女が自殺直前までつづっていた日記は、
父親が私家版「山田花子日記」として編集。
本書は、私家版をもとに太田出版から2度刊行された
「自殺直前日記(96年)」、「自殺直前日記・完全版(98年)」を復元したもの。
復元にあたり、オリジナル原著を可能な限り忠実に再現。
百か所あまりのこぼれた部分を追加、再構成している。
日記に書かれた膨大な世界・皮肉・毒は、没後20年以上たっても色あせていない。
漫画家・山田花子を知らない人でも興味深く読める内容。
◎内容
一部だけを引用して紹介。
パンチの効いた彼女の名言は、毒も含まれてるが、それだけに心をえぐり込んでくる。
特に、236pからの「花の寸言・名言集」はどれもボディブローのようである。
私は日常生活の普通の会話を描きたい。
私にとっては面白い。危険がいっぱい。スリルがある。
弱者が油断すると直ぐ食べられてしまう。(131p)
一見不器用そうで、おとなしい奴でも、それなりの処世術持ってんだよ。
心配したらバカみるよ。(146p)
コンサートに来てくれた友達に「どーだった」と聞いてしまい、
当然のように「よかったよ」と言われて、こんなこと聞かなきゃよかったと思った。
その言葉の裏には「良くなかったなんて言えるわけねーだろ。
いちいちそんなこと聞くんじゃないの」っていうのがあるような気がした。(200p)
※妹と組んでバンド活動をしていた時の事と思われる
よく「神様が見守ってくれるから」とか言うが、神様は辛い目に合わせるだけで、
その試練に耐えても心の幸福与えてくれるわけではない。
世間は人間社会の外に「神」がいると思わせることで
「社会の掟」を守らせるように「洗脳」しようとしているのだ。(203-204p)
意思と人格を持った「神様」は実在しない。
「神様」とは人間の救って欲しいor救われたい気持ち(依存心)が生み出したもの。
「神様」は自分の心の一部。(236p)
よく「意志」が強いとか「自分を持ってる」とかいわれてる人がいるけど、
ただ思い込みが激しいだけ、強引なだけではないのか。(236-237p)
どんなに着飾って高級レストランで豪華な食事をしても
動物がエサ食ってるのと同じなんだぜ!(238p)
他人から「いい人」「やさしい人」といわれる人。
実はそいつにとって都合のいい人ってことなの。(240p)
[宮沢りえ][サンタフェ]のワナ
バック(外国)でゴージャスに見せてるだけ。本人は自己陶酔でうっとり! 芸術のつもり。
バックがなかったらただのハダカじゃん。あんたは単なる商品なの。
自己顕示欲丸だし=奥ゆかしさがない&オスのオモチャにされても平気。(250-251p)
⇒当時、かなりの話題になったヌード写真集ですね。懐かしい。
そんな宮沢さん、今でもたくましく女優で生き残ってます。
◎感想
全編、毒に満ち満ちた内容です。
信頼、友情、愛情、仲間、夢、J-POPの歌詞に出てくるようなものは、全て偽善と切り捨てています。
やっぱり、漫画家や作家になる人は心の中に膨大な世界を持っているのだな、と感じます。
しかし、毒があまりに強すぎて、自分をもむしばんでしまったのでしょうか。
責任編集の赤田祐一氏が書いているように「こころの地獄に押しつぶされ」、
彼女は自ら死を選んでしまいました。
生きづらさを感じながらの24年間だったのだと思います。
日記には自身の不器用さに苦しむ描写があちこちに見られますが、
読むにつけ、いつの時代も集団に交わることが難しい人がいるのだな、と思いました。
世間で「普通」と言われることができない。
友達とつき合えない、仕事がうまくできない、常に孤独感につきまとわれる。
そういった苦しみと闘いつつ、彼女の遺した作品と日記は、
今もこうして生きています。
山田花子さんが去って23年。
社会は、不器用な人間・弱い人間がはじかれる傾向が強くなっているようにも感じます。
生活保護がたびたび話題になるくらいですから。
コストカットや合理化の名目で、
足並みを乱す人間やスローペースな人間は排除されます。
どーすればいいのか?
山田さんは、気力を絞って漫画を描きました。
誰しも、何かしら生み出す力があるかもしれない……そんな風にも思います。
◎余談
本書の底本である「自殺直前日記(96年)」「自殺直前日記・完全版(98年)」は
太田出版より刊行され、ベストセラーとなったそうです。
太田出版といえば、社会問題にもなった「バトルロワイヤル」。
赤田祐一は同作品の編集者でもあります。
最近では、元少年Aによる「絶歌」で、またまた物議をかもしながらベストセラーに。
こうしてみると、「ヨソが避ける作品をあえて出版する」姿勢は昔からなんですね。
良いか悪いかはさておき、ぶれない会社だと言えます。
1987年、「ヤングマガジン」で漫画家デビュー。
人間の偽善や暗部をテーマに世の中の矛盾を問う作風で、カリスマ的人気を得る。
1992年、投身自殺。享年24歳。
(プロフィールより抜粋)
自殺直前日記 改
彼女が自殺直前までつづっていた日記は、
父親が私家版「山田花子日記」として編集。
本書は、私家版をもとに太田出版から2度刊行された
「自殺直前日記(96年)」、「自殺直前日記・完全版(98年)」を復元したもの。
復元にあたり、オリジナル原著を可能な限り忠実に再現。
百か所あまりのこぼれた部分を追加、再構成している。
日記に書かれた膨大な世界・皮肉・毒は、没後20年以上たっても色あせていない。
漫画家・山田花子を知らない人でも興味深く読める内容。
◎内容
一部だけを引用して紹介。
パンチの効いた彼女の名言は、毒も含まれてるが、それだけに心をえぐり込んでくる。
特に、236pからの「花の寸言・名言集」はどれもボディブローのようである。
私は日常生活の普通の会話を描きたい。
私にとっては面白い。危険がいっぱい。スリルがある。
弱者が油断すると直ぐ食べられてしまう。(131p)
一見不器用そうで、おとなしい奴でも、それなりの処世術持ってんだよ。
心配したらバカみるよ。(146p)
コンサートに来てくれた友達に「どーだった」と聞いてしまい、
当然のように「よかったよ」と言われて、こんなこと聞かなきゃよかったと思った。
その言葉の裏には「良くなかったなんて言えるわけねーだろ。
いちいちそんなこと聞くんじゃないの」っていうのがあるような気がした。(200p)
※妹と組んでバンド活動をしていた時の事と思われる
よく「神様が見守ってくれるから」とか言うが、神様は辛い目に合わせるだけで、
その試練に耐えても心の幸福与えてくれるわけではない。
世間は人間社会の外に「神」がいると思わせることで
「社会の掟」を守らせるように「洗脳」しようとしているのだ。(203-204p)
意思と人格を持った「神様」は実在しない。
「神様」とは人間の救って欲しいor救われたい気持ち(依存心)が生み出したもの。
「神様」は自分の心の一部。(236p)
よく「意志」が強いとか「自分を持ってる」とかいわれてる人がいるけど、
ただ思い込みが激しいだけ、強引なだけではないのか。(236-237p)
どんなに着飾って高級レストランで豪華な食事をしても
動物がエサ食ってるのと同じなんだぜ!(238p)
他人から「いい人」「やさしい人」といわれる人。
実はそいつにとって都合のいい人ってことなの。(240p)
[宮沢りえ][サンタフェ]のワナ
バック(外国)でゴージャスに見せてるだけ。本人は自己陶酔でうっとり! 芸術のつもり。
バックがなかったらただのハダカじゃん。あんたは単なる商品なの。
自己顕示欲丸だし=奥ゆかしさがない&オスのオモチャにされても平気。(250-251p)
⇒当時、かなりの話題になったヌード写真集ですね。懐かしい。
そんな宮沢さん、今でもたくましく女優で生き残ってます。
◎感想
全編、毒に満ち満ちた内容です。
信頼、友情、愛情、仲間、夢、J-POPの歌詞に出てくるようなものは、全て偽善と切り捨てています。
やっぱり、漫画家や作家になる人は心の中に膨大な世界を持っているのだな、と感じます。
しかし、毒があまりに強すぎて、自分をもむしばんでしまったのでしょうか。
責任編集の赤田祐一氏が書いているように「こころの地獄に押しつぶされ」、
彼女は自ら死を選んでしまいました。
生きづらさを感じながらの24年間だったのだと思います。
日記には自身の不器用さに苦しむ描写があちこちに見られますが、
読むにつけ、いつの時代も集団に交わることが難しい人がいるのだな、と思いました。
世間で「普通」と言われることができない。
友達とつき合えない、仕事がうまくできない、常に孤独感につきまとわれる。
そういった苦しみと闘いつつ、彼女の遺した作品と日記は、
今もこうして生きています。
山田花子さんが去って23年。
社会は、不器用な人間・弱い人間がはじかれる傾向が強くなっているようにも感じます。
生活保護がたびたび話題になるくらいですから。
コストカットや合理化の名目で、
足並みを乱す人間やスローペースな人間は排除されます。
どーすればいいのか?
山田さんは、気力を絞って漫画を描きました。
誰しも、何かしら生み出す力があるかもしれない……そんな風にも思います。
◎余談
本書の底本である「自殺直前日記(96年)」「自殺直前日記・完全版(98年)」は
太田出版より刊行され、ベストセラーとなったそうです。
太田出版といえば、社会問題にもなった「バトルロワイヤル」。
赤田祐一は同作品の編集者でもあります。
最近では、元少年Aによる「絶歌」で、またまた物議をかもしながらベストセラーに。
こうしてみると、「ヨソが避ける作品をあえて出版する」姿勢は昔からなんですね。
良いか悪いかはさておき、ぶれない会社だと言えます。
コメント
コメントする
コメント受付を停止します。海外からスパム投稿が多いため。
この記事のトラックバックURL
http://kodawari.sakura.ne.jp/blogn/tb.php/962
トラックバック
Tweet |
TOP PAGE △