グミ・チョコレート・パイン2
大槻ケンヂの小説「グミ・チョコレート・パイン」の「チョコ編」を読む。
「グミ編」と「パイン編」の橋渡しになるストーリー。「グミ編」を読んでいない方のために、あらすじをつらつら書くのは控えようと思う。
オーケンの筆はますますノリノリ。バンド結成をしたはいいものの、右も左もわからぬ主人公たち。彼らが少しずつその世界へ足を踏み入れていく様子がじっくりと書かれている。
ライブハウス(箱とか言いますね)の生々しさ、キレまくる演奏、熱狂する観客。
バカバカしさを感じる明るさも健在。バンド名をずらっと並べたところが一番笑った。脳のどこで考えるんだ、あんなの。
そして主人公があこがれを寄せる山口美甘子は別の世界へ。一種のダブルプロット(異なるストーリーの平行)になっており、見所が増している。
オーケンのうまいところは「単純なキャラクター」がいないこと。
単純バカのことではない。
極悪人もいなければ、100%の善人もいない。軽薄なキャラも時にはっとさせるセリフを呟き、変人の理屈に激しく納得させられたりする。
作者の登場人物への愛はまんべんなく注がれている。それは当たり前のようで、そうでもない。捨て駒的キャラを作らないのはすごく難しいことだから。
青春というくくりにはまらぬ素晴らしい小説。
さあ、パイン編を読むぞ。
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