河原男子を考える
今月の別マは「素敵な彼氏」がお休みなので、
代わりに河原作品の男子について考えてみます。

河原和音先生の生み出したメンズは、
三十路男から見るとどうなのか?

おヒマでしたらご一読ください(・ω・)ノシ

◎桐山直也(登場作品:素敵な彼氏)
クール度 ★★★★★
エスコート度 ★★★★★
ミステリアス度 ★★★★★★★★★★

現在連載中の「素敵な彼氏」に登場。
まさに今が旬の河原男子。

「青空エール」から久々にラブコメに回帰した河原先生は、
相当練りに練ってこのキャラクターを生み出した、と思われる。
クールなところはヨウを思い出させつつ、
しかし、全く異なるタイプのイケメン。

一番のポイントは異性へのこなれた感じ。
そして女性経験を含めたつかみどころのなさ。

「3,4人ぐらいと付き合った」とさらっと言ってのけ、
実際女性の扱いは慣れている。
ホワイトデーのお返しに、映画館デートを提案してくるあたりは並ではない。
(前後にお買い物と喫茶店をいれており、プランも相当考えてる……はず)

その言動はヒロインの小桜ののかだけでなく、
読者をも常に翻弄する。

桐山自身のモノローグが一切ない(河原先生の作品はほぼそうですが)こともあり、
本心はサッパリわからない。
想像するしかない。

ヒロインと読者を手のひらで転がす、お釈迦様のような男。

第一印象は冷めてそうなところと、遠慮のない言動であんまり良くない。
男友達も「広く浅く」より「狭く深く」付きあうタイプなのではないかと思う。

クラスではそんなに目立ちそうにないけど、
「わかる人にはわかる」いいヤツなんじゃないでしょうか。


◎伊藤貢作(登場作品:先生!)
インドア度 ★★★★★
眼鏡度 ★★★★★
名台詞メーカー度 ★★★★★★★★★★

社会科教師(世界史だっけ?)、26歳。
生徒に手を出すイケナイ大人。

河原先生は「私の考える大人。大人の記号を詰め込む楽しさがあった」と後のインタビューで語っている。

具体的には
「車」
「タバコ」
「昔の女」
「大人の女性」(ほぼ中島)
というところでしょうか。

年上男子を描く際に、「過去」というのは重要な要素の一つでして、
ヒロインの響も、それに過剰に気にしてしまったりするわけですね。
キスやデートやxxxは経験済み、と。

女性に対しては、過去の痛手からめんどくささや恐怖感を持っている。
そこを響の直球勝負で乗り越えていくのが、「先生!」の面白さの一つ。

教師で、さらに読書好きなだけにウンチクは豊富で、
その言い回しはウィットに富んだものが多い。
河原男子屈指の知性派かつ名台詞メーカー。

と同時に、時々子どもみたいになったり、
響に独占欲を発揮したりするのも魅力の一つでしょうか。

野球とゲームも好きであり、野球がらみのたとえ話をしたり、
部屋にはテレビゲームもある。
今だったらスマホのゲームにハマってるかもしれない。


◎藤岡勇輔(登場作品:先生!)
当て馬度 ★★★★★
知性度 ★★★★★
幸せになって欲しい度 ★★★★★★★★★★

いわゆる当て馬。
作品終盤に登場し、響と伊藤先生の心をかなり揺さぶった、
ゲームでいうラスボス的存在。

見た感じ、爽やかな好青年。
でも言うことは言うし、割と響には攻めてました。
読書家で頭も良く、響の苦悩
(教師と恋愛しているのでおおっぴらにできない)
も理解していた完璧人間。

欠点は、完璧すぎるところでしょうか。
「私とは釣り合わない」とか、今後付きあう女性に言われそう。
適度にダメなところも見せると、相手は安心するかもしれないぞ
(ちょう余計なお世話)。


◎川合浩介(登場作品:先生!)
ロンゲ度 ★★★★★
遊んでそう度 ★★★★★
男友達がいるのかどうか疑問度 ★★★★★★★★★★

ロンゲに時代を感じる男。
千草と並ぶ賑やかし要員。
「先生!」はヒロインの響が考え込む方なので、
とにかく動いてくれる彼の存在は貴重です。

モテ男であり、本人もそれを自覚。
なおかつ、東大を志望するくらいに学力もある。

作中では中島先生にお熱でしたが、
この先もひとすじとはちょっと思えず(若いしな)、
周りの女性も放っておかないだろうし……。

つまり、中島先生は気苦労が絶えないんじゃないでしょうか。
どんどん老けていくしなぁ。


◎渡辺渚(登場作品:先生!)
年下度 ★★★★★
賑やかし度 ★★★★★
千草と仲良くね度 ★★★★★★★★★★

響たちの2学年下。
途中からレギュラーメンバーに。

いわゆる「後輩・年下の男」。

等身大の男子って感じですね。
極端にモテるわけでもないけど、奥手なわけでもない。

浩介と男子トークしてたときの
「(やれる時は)やります」というセリフがシンプルで好き。


◎山田大介(登場作品:青空エール)
坊主度 ★★★★★
捕手度 ★★★★★
ナイスガイ度 ★★★★★★★★★★

札幌白翔高校野球部、捕手。
3年時は主将で4番。

ビジュアルは坊主。
まずこの点を評価したい。
坊主の時点で女子人気はかなり不利なのですが(オシャレのさせようがない)、
あえてリアル路線を貫いた河原先生に拍手。

性格はナイスガイの一言に尽きる。

序盤は

・ヒロインの小野つばさが吹奏楽部の厳しさに泣く
・山田が励ます
・つばさのやる気スイッチON

の繰り返しであり、山田の面倒見の良さはオカン級。

つばさのピンチは大体駆けつけ、
距離的に無理なときはメールか電話。
ヒロインが寂しい時・辛い時は必ず助けるのが河原男子です。

野球部でも前向きにチームメートを引っ張り、
最上級生では当然のようにキャプテンに。

途中は結構つらいこともありましたが、
基本的に前だけ見ている姿は立派ですね。
どんな育て方をしたら、こんな立派なお子さんが育つんでしょうか。

試合ではキャッチャーマスクに顔が隠れてしまいますが、
その姿は実に凛々しいので、
終盤の3年になったところまで是非読んでみてください。


◎城戸保志(登場作品:青空エール)
三枚目度 ★★★★★
眼鏡度 ★★★★
三年になってからはまあまあ格好いい度 ★★★★★★★★★★

山田の中学からのチームメート。ピッチャー。
眼鏡の三枚目。

ピッチャーの割にゆるい感じであり、
「行くぜ甲子園」という熱いキャラではなかったのですが、
途中からぐっと真剣味が出て格好良くなります。

3年でエースナンバー1番を背負った夏の大会は、
主役級の活躍です。

エースなんだから多少は女子人気が出そうなもんだけど、
城戸はそんな感じしないなぁ(ひどい)。
ファンレターとか来てたのかな。


◎水島亜希(登場作品:青空エール)
偉そう度 ★★★★★
ヨウと似すぎ度 ★★★★★
まるちゃんとは結局どうなったの度 ★★★★★★★★★★

吹奏楽部、Tp(トランペット)パート。
途中からパートリーダーに。

演奏技術は文句なしですが、いまいち協調性に欠ける男。
音楽に関しては妥協しないが、その性格ゆえに孤立しがち。

初心者のつばさとの交流や、
リーダーをつとめることで精神的に成長していく。

初登場時はつばさに女子と間違われるくらい幼かったですが、
時間の経過とともに背が伸びて男らしくなりました。

イケメンの部類ではありますが、
つばさと色っぽい展開にはならず。
個人的には、これで良かったと思っています。

山田やまるちゃんを交えた三角・四角関係もありえたかもしれませんが、
そういうのは「青空エール」に求めてなかったので。


◎瀬名俊行(登場作品:青空エール)
自信家度 ★★★★★
ガラスのハート度 ★★★★★
終盤影薄かったね度 ★★★★★★★★★★

ヘタレ。


◎小宮山ヨウ(登場作品:高校デビュー)
ツッコミのキレ度 ★★★★★
なんだかんだいい人度 ★★★★★
ヨウ様度 ★★★★★★★★★★

ヒロイン晴菜のモテコーチ。のち彼氏。

河原作品屈指のイケメン
(先生はその設定ゆえに苦労したらしい……と文庫版あとがきにある)。

本人が嫌になるくらいモテて、
そのせいか、恋愛に関してはかなりネガティブ。
晴菜と接していくうちに、その辺が変わっていくのが面白いところですね。

作中ではツッコミ要員。
晴菜があまりにボケ要素が強いので、
ツッコミに回らざるを得ない、のかもしれない。

あとは、冷たい見た目に反して、かなりいい人。
でなきゃ、モテコーチなんて変なものは引き受けません。
ヒロインが危ない時は放っておかない、その辺も人気の一因でしょう。

もう一ついいのは素直なことですね。
晴菜と付き合い始めた時、
「オレはモテはわかっても恋愛のことはわからない」というセリフが印象的でしてね。
人間、知ったかぶりしないのが一番です。


◎朝丘唯(登場作品:高校デビュー)
本音見せない度 ★★★★★
真巳さんとは結局どうなの度 ★★★★★
下の名前が長いこと謎だった度 ★★★★★★★★★★

ヨウの中学からの友人。
ヨウをおちょくることに生きがいを感じている人。

何事もソツのないイケメン。

はぐらかし気味の言動が多く、本音は滅多に見せない。
ときどき晴菜のヨウの間をかきまわしたのも、
どこまで本気だったのかは不明。

そのつかみどころのなさは、
桐山にも継承されているんじゃないか、と思う。


◎田村史也(登場作品:高校デビュー)
善人度 ★★★★★
怒ると怖い度 ★★★★★
麻美と長続きしてるのはすごいね度 ★★★★★★★★★★

ヨウの中学からの友人その2。
根っからの善人。
だいたいのことを好意的解釈してしまう、
精神的にとても健康そうな人。

小悪魔なヨウの妹・麻美と流れで付きあうことになったが、
気まぐれに振り回されつつも、うまくやっている。

晴菜と並ぶ、作品の清涼剤。

ヨウ・朝丘・田村は三者三様の魅力があって、
先生の作り込みを感じますね。


◎河原先生関連記事
漫画・本 河原和音「素敵な彼氏」
漫画・本 河原和音「青空エール」
漫画・本 その他の河原和音作品
| 漫画・本::その他の河原和音作品 | 18:37 | comments (5) | trackback (0) |
コメント
>美晴さん

晴菜とヨウは、花道と流川をほうふつとさせますね。
熱血パワー系とクールなテクニシャン。
河原クール男子の源流は流川なの、か。
| 惣一郎 | EMAIL | URL | 17/11/22 10:32 | Y945Kht2 |
最近、河原先生がスラムダンクの同人をやってて
花道×流川だったと知り
「三つ子の魂百まで」って思いました・・・
| 美晴 | EMAIL | URL | 17/11/19 18:21 | .nBplGFg |
>さくらさん

瀬名は、長々と書くほどのキャラでもないので、
一言で片付けました(ひどい)。
| 惣一郎 | EMAIL | URL | 17/01/15 14:38 | akQD4RT. |
>さくらさん

最近よく読んでくださってますね(^o^)
ありがとうございます!

そう、河原先生の漫画は「B君と付き合う」展開にならないのがいい。
ヒロインはヒーローひとすじですね。
ちょっと迷うことはありますが、付きあうまでにはならない。
安心して読めます。
| 惣一郎 | EMAIL | URL | 17/01/15 14:37 | akQD4RT. |
瀬名→ヘタレw 的確です(笑)

青空エールと高校デビューしか読んでないですが、少女マンガによくある
A君が好き!→でも彼女がいるorいろいろ障害があって諦める!→自分を好きと言ってくれるB君と付き合うの!→やっぱりA君じゃないとダメー!
じゃないとこがいいですよね。
| さくら | EMAIL | URL | 17/01/14 18:52 | KVz/pxYw |
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