ヤマシタトモコ「人の輪郭が溶けるとき」(ダ・ヴィンチ2018年2月号)感想
ダ・ヴィンチの最新号に、ヤマシタ先生のインタビュー載ってました。
計6ページ。文章:吉田大助、松井美緒。

主に最新作「違国日記」にフォーカスした内容。
KADOKAWAに怒られない程度の抜粋と、感想を。


ダ・ヴィンチ 2018年2月号


目次は
【ダ・ヴィンチ2018年2月号】目次をチェック! | ダ・ヴィンチニュース
ほかにも、おかざき真里先生など女性漫画家の特集がいくつかあります。

ブログには全然書いてませんが、
ヤマシタ先生の作品は
「ドントクライ、ガール」に始まり、ほとんど読んでます。
BLも「さんかく窓の外側は夜」など、一部は読んでます。

馬鹿馬鹿しいものから、暗いもの、真面目なものまで、
ふり幅が広いのが先生の魅力だと思いますね。
同世代という点でも注目しています。

◎インタビュー抜粋
「普段、読者の意見ってなるべく信頼しないようにと思ってるんですね。
感想をもらえると嬉しいけど、読んだら忘れる。
忘れた方がいいと思っている。
支えにもしないし乗っかりもしない」


先生の、冷めてるというか読み手と一線を引いてるところは好きです。
「読者さんからのお手紙は一生の宝物です」なんてきれいごとを言わない。
実際、いつまでもそんなものとっておけるわけがない。

「前に連載していた『花井沢町公民館便り』が正直、売れなかった。
考えてみれば『ひばりの朝』といい『white note pad』といい、
最近優しくないマンガが続いていたなと反省したんです。
だから今回(違国日記)は、自分が描きたいものを描くことに変わりないんだけれど、
読者に優しくしようと思いました。」


『花井沢町公民館便り』
未来技術で隔離され、朽ちていく町を描いたオムニバス。
最終的に町の住人は女性一人だけになる、暗い話。

『ひばりの朝』
中学生の少女を取り巻く人々のエゴを描いた話。
むき出しの善意・悪意に気が滅入る。

『white note pad』
中年男と少女の入れ替わり。
男女差、年齢差の現実を描いてて、
一般的な入れ替わりのようにコメディ要素はない。

「どんなに愛し合っても憎み合っても、
100%分かり合えることは絶対にない。
でも、そこに美しさがある
それが尊いよねって思う」


ここでも「人は分かり合える」などと道徳的なことは言わない。
やっぱヤマシタ先生はいいです。

「何かに縛られている人を出して、
“こういうの嫌だよね”って描けば、
きっと“分かる分かる”とは言ってもらえるけど、
それってお互いしんどくないかと思ったんです」


縛られている=何歳までに結婚とか、出産とか、家族の関係とか

その手のコンプレックスを題材にした作品は山ほどありますね。
共感は得やすい。
しかし、コンプレックスのある人々が苦しんでるのを見るのは、
共感して読みやすい一方で、読み手もしんどいのは確か。

とはいえ「違国日記」は、キャラクターを単に甘やかしているわけではないです。
「日常のちょっとした喜び」を描いてる作品だと思いますね。

1巻で餃子を作って食べるシーンがあります。
そこに極端なお話の山や谷はない。
作って食べるだけといえば、だけ。
でも作ってる時間は楽しそうだし、食べてるところは美味しそう。

これで面白さを描くのは、
確かに呪縛や苦悩を解消する話よりも難しい。

先生の挑戦を、読んでいきたいと思います。
| 漫画・本 | 19:29 | comments (0) | trackback (0) |
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