青空エール37話感想(別冊マーガレット2012年4月号)
河原和音「青空エール」37話感想(別冊マーガレット2012年4月号掲載)



<ジョジョ風前号のあらすじ>
「今井先輩ッ 君がッ B♭を合わせるまでッ 音合わせを止めない!」

「『自分のレベルもあげる』『先輩も面倒も見る』
『両方』やらなくっちゃあならないってのが『パーリー』のつらいところだな
覚悟はいいか?
オレはできてる」

まともなあらすじは、これまでの感想からどうぞ。

ちなみに、山田に色々ある9巻は3月23日発売予定です。


表紙前の「これまでのお話」によると、今は11月らしい。
とっくに野球部の秋季大会は終わってますが、結果はどうだったんでしょう。

「1年と2年で仲良くしよう」と約束しておきながら、どちらも先輩に「大嫌い」と言われたつばさと山田。
朝、顔を合わせて「だめだった」と報告。

しかしあきらめない男・山田は「1年も2年も団結したいいチームにして絶対甲子園行くんだ!!」とくじけません。
普通下級生が考えることじゃないよ。立派すぎる。
当然、つばさもあきらめない。
このタフさというか純というか、ある種の鈍感さはうらやましい。

放課後、部活。
吹奏楽部はアルフレッド・リードのギャロップに取り組むことに。
調べてみると、このギャロップというのは「第一組曲」の中の一曲のようです。

すげー速い。28秒あたりの連符は悶絶しそうだ。
色んなCDに収録されていると思いますが、私の手持ちでは「吹奏楽決定版101」のDisc6で聴けます。

水島いわく、新メンバーになった白翔吹奏楽部は、この曲で腕試しするのが伝統らしい。

水島はペットパートの編成を決めます。

1st 香織先輩
2nd 桜沢先輩、みち先輩
3rd 小野、今井先輩

水島は当然1stを吹くんでしょう。

人数の多いトランペットやクラリネットは、メンバーごとに違う楽譜を吹くことがあります。
3種類あると1st、2nd、3rdとなる。
ユーフォ吹きの私にはあまり縁のない言葉です。

それぞれの役割は、今週号の青空通信によると以下のとおり。
1st 高い技術を求められるリーダー的存在
2nd 1stのサポート役
3rd 全体のアンサンブルをまとめるベース的ポジション

1stは通称トップとも言って、音域は最も高い。
逆に3rdは低い(ベースとあるのは、比較的低音域を吹くからでしょう)。
つばさや、B♭より高音のピッチが狂っている今井先輩が割り振られるのは当然。

楽譜を渡されるが早いか、今井先輩以下4人は教室を出ていってしまいます。

つばさは止せばいいのに呼び止める。
「どこがキライなんですか? 悪いとこ直します 言って下さい!!」

「アンタ 先輩に向かって 何 その口のききかた 最近調子乗ってんじゃないの!? 何 その頭!!」
香織先輩はのびた髪が気にいらないわけではなく、たまたま目についただけでしょう。
人間、誰かがキライな理由なんて「なんとなく」です。

つばさは「そんなんでいんならすぐ直せる!!」と超ポジティブ。

山田も山田で須藤先輩に「オレの何がキライなんスか!?」と聞いて
「全部だ!!」と返される。

翌日、つばさは三つ編みにして登校。
教室にて脇田さんから「大介と並ぶとそこだけ『戦時中』みたいな…」と指摘される。
大介は学徒動員、つばさは工場あたりで働いてそうな。
今回、彼女の出番ここだけ。
しかし城戸よりはまし。

結果は、
香織「アンタ それさあ あてつけてんの!? 髪!?」
須藤「話しかけんなよ!! いるだけでムカツくんだよ!!」
撃沈。
でも教室で、並んでうなだれる二人が面白い。

さすがの二人も愚痴吐きタイム。
吐ける相手がいるのは良いことです。いなけりゃ鬱になるところだ。

2年には入部初日から怒られた、と山田。
「なんで2年はなんもしてないのにオレらをキライなの?」

ひとつには、ポジションを争う可能性が高いからですね。
もうひとつは、去年自分たちがしごかれた分、1年生をしつけないとって意識が働くから。

私個人は1つ上と仲が悪い記憶はありません。
むしろ中学1年のときの3年との方がうまくいかなかった。
部活中に遊んだりする、だらしない人たちだったんで。
引退したときはほっとしました。

ともかく、つばさはまだ2年と団結するつもりでした。

水島はそんなつもりは欠片もなく、
「先輩 今日パート練習なんですけどB♭から上大丈夫ですか?」と今井先輩に爆弾を落とす。

怒った2年生はまたまた個人練習へ。

つばさは「もうちょっと言い方があるんじゃ」
そのとおり。
水島は「物の言い方とかね そういうのって音楽に関係あんの!?」
音楽には関係ないけど、人を動かすには関係ある。
どんな下手クソでもプライドがあります。それを傷つけたら、言う事は聞いてくれません。
やっぱリーダーをわかってないな。

つばさも追い出した水島は、春日先輩から託されたパーリーノートを開きます。
そこには
「反省 パートのみんなにうまく伝える」
「倍音 純粋で美しいハーモニー」
「第1音と第5音 第3音の人はよくきいて」

と、過去のパーリーの考えが書かれていました。

<解説タイム>
(1)倍音とは
手持ちの教本によると、「ある音を楽器で演奏すると、その音の整数倍の音が同時に発生する事」。
今のところ、音を倍するというのが私にはよくわからんので、
B♭の音を出すと、同時にF、上のB♭も発生する、という乱暴な解釈をしています。
B♭、F、上のB♭はユーフォニアムだと全て0番(3つ又は4つあるピストンを全て押さない状態)で出します。
これはトランペットも同じはず。

同様に、2番ピストン押してAを出すと、他の2番ピストンのみで出せるE、上のAの音が発生します。
これを響きとして感じるのが大事なのですが、私はまだ感じられない段階です。

(2)「第1音と第5音 第3音の人はよくきいて」の意味
美しく響く音の組み合わせを「和音」と言い、作曲家もこの組み合わせを意識して曲を作ります。
例えばC(ド)・E(ミ)・G(ソ)(もっと色々組み合わせがありますが、割愛)。
3つの音のうち、一番低いものを第1音(根音とも言う)、真ん中を第3音、一番高いものを第5音と呼びます。
ドミソならドが第1音、ミが第3音、ソが第5音。

第3音には、第1音が第5音が重なると自然と発生するという性質があります。
第3音を担当する演奏者は、上下のパートの重なりから聞こえてくる第3音を感じ取って吹く必要があります。
「第3音の人はよくきいて」とあるのはそういう意味でしょう。

解説終了。

長いこと教室に残っている水島に、1年の学年代表男子が話しかけます。
先代部長に劣らぬ結構なイケメンですが、名前不明。
彼は胃薬を常備しているらしい。
全国目指す吹奏楽部ってそんなにきついのか。

翌日?

2年生4人にも変化が。
みち先輩(てっぺんお団子頭の人)はパー練に出ることを決意。
するとウェーブの桜沢先輩も同調。

香織先輩も方針変換しますが、理由は「うちらが抜けたら人数のせいで小野がレギュラーになるから」

どうしてここまで嫌いなのか。
「小野なんかさあ ケータイのストラップみたいなもんじゃん?」
「なんもできないじゃん なのに3年にかわいがられて」
「なのに!! ストラップのくせに こいつしゃべる!! みたいな!!」

この場面、香織先輩がちょっと可愛い。
深刻な話のはずなのに、セリフ回しで笑える。

香織先輩は3年に目つきが悪いとたびたび注意されていたらしく、
無条件でかわいがられるつばさが気に入らなかったようです。
彼女は彼女で1つ上とうまくいっていなかったんですね。

ともあれ、パート練習開始。
水島は、今井先輩に「ピッチ僕に合わせてください」と指示。ちょっと進歩した。
2年生は最後まで参加したものの、曲自体は非常にまずい出来。

山田は、須藤がわざと散らかしたボールの球拾い。
碓井先輩がそっと声をかけます。
「毎年こんなもんだ おまえのやりたいことはおまえの代でやれ」
この人も色々あったんだ……と思わせる、重いセリフです。

吹奏楽部は初めての合奏。
つばさでもわかるほどバラバラの演奏。
杉村先生は「最初はみんなこんなもん」と特に呆れた様子なし。
アマチュアの集まりですから、メンバー代われば力はぐっと落ちます。

「トランペット立ちなさい」
「この6本は同じ楽器です でもみんなちょっとずつ違うんです 音も違う ピッチも違う クセも違う」
「合わせなきゃ音楽にならない よく聴いてお互いに合わせることが大事」

いいこと言う。
なんか、今までの杉村先生っぽくない物言いだ。

「……って先生も 吹部のとき えらい先生に言われました」
やっぱり。
この人自身、自分が誰かに合わせるってことをあまりせずに生きてきたように見える。
サイフを握ってる教頭をハゲ呼ばわりですしね。
貫禄はあっても28。先生としてはまだまだ。

さておき、吹奏楽は合奏なので、バランスを考えた音が大事なのです。
そしてメンバー同士は歩み寄ること。
水島は、下手な先輩の気持ちを察しないといけないし、2年生は1年のパーリーに協力しないといけない。

ペットパートはひたすらパート練習。
水島はタテ(メンバー間の音符・休符のタイミング)が合わないことが納得できない。
特につばさを集中攻撃。それを見て「いい気味」といわんばかりの香織先輩。

仲良くなる道のりは長いですが、それでもあきらめないつばさ。
山田も「そーゆーのはおれらの代でやれって言われたけど 全然 今の代もあきらめらんねぇ」

どこまでもくじけない二人でした。
以下次号。

前号からどう解決するかと思ったら、「あきらめない」というシンプルなやり方でした。
現実はこうはいかないよ……と思いつつ、こういう清々しさがうらやましい。

今回は、恋愛要素が少なく読みやすかった。
毎号こうだと助かります。

……2年と1年、最終的には認め合うような仲になるのか?
それともこじれたままコンクールを迎えるのか?

気になるのは来年の新入生。
どんな面子がトランペットパートに入るんでしょうか。

<青空通信>
読者コーナー。
ここで2年生4人が紹介されてるが、香織先輩はここでも「香織先輩」のまま。
苗字つけましょうよ……。

<今月の河原先生>
携帯をそろそろ買い換えないと、充電すぐなくなるので、スリリングすぎます。
| 漫画・本::河原和音「青空エール」 | 23:32 | comments (0) | trackback (0) |
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