第6X回全国高校野球選手権大会は、異色のチームが話題をさらっていた。T県代表の更正学園は、なんと全国の少年院から集められた元球児からなるチームだったのだ。マスコミの注目を集める中、彼らは院から与えられた仮名を名乗り、サングラスをかけて甲子園に挑む。
あらすじだけ聞くと奇想天外に思えるかもしれないが、中身はかなりまじめな小説。実際にあるかも、と思わせるだけの筆力はある。
まず少年院や院生の犯罪描写が豊富でよみごたえあり。これは著者が少年院法務教官をしていたそうで、実体験にもとづく部分が大きいのだろう。
野球はどちらかというとおまけで、たぶんサッカーでも成立した話。だが決して適当に書いているわけではない。「予選の参加チームの少ないT県なら甲子園の可能性は高い」というあたり、通でないとわからないところだ。
残念なのは、ストーリー上重要な部分がうやむやになっているところ。更正学園は政府の命令で誕生したのだが、その理由は最後までわからないままなのだ。その一点だけが惜しい作品。
ベースライン(須藤靖貴/PHP出版)
オールマイティ(本城雅人/文藝春秋)
ぐいぐいジョーはもういない(樺薫/講談社)
嗤うエース(本城雅人/幻冬舎)
スカウト・デイズ(本城雅人/PHP研究所)
どまんなか3(須藤靖貴/講談社)
県立コガネムシ高校野球部(永田俊也/文藝春秋)
大正野球娘。4(神楽坂淳/徳間書店)
どまんなか2(須藤靖貴/講談社)
どまんなか1(須藤靖貴/講談社)
僕たちのプレイボール(鬼塚忠/幻冬舎)
監獄ベースボール 知られざる北の野球史(成田智志/亜璃西社)
ラストダンス(堂場瞬一/実業之日本社)
ナイン 9つの奇跡(川上健一/PHP研究所)
ノーバディノウズ(本城雅人/文藝春秋)
帝都たこ焼き娘。大正野球娘。3(神楽坂淳/徳間書店)
偽りのスラッガー(水原秀策/双葉社)
大正野球娘。 土と埃にまみれます(神楽坂淳/徳間書店)
ひゃくはち(早見和真/集英社)
タッチアップ(田澤拓也/エクスナレッジ)
大延長(堂場瞬一/実業之日本社)
大正野球娘。(神楽坂淳/徳間書店)
1985年の奇跡(五十嵐貴久/双葉社)
熱球(重松清/徳間書店)
浪商のヤマモトじゃ!(山本集・日名子暁/南風社)
ららのいた夏(川上健一/集英社)
翼はいつまでも(川上健一/集英社)
敵手 小説 横浜高校野球部(降籏学/講談社)
ベイスボイル・ブック(井村恭一/新潮社)
同級生(東野圭吾/講談社)
パーフェクト・ブルー(宮部みゆき/東京創元社)
ダグアウト・ストーリー(梅田香子/講談社)
魔球(東野圭吾/講談社)
八月の濡れたボール(軒上泊/双葉社)
勝利投手(梅田香子/河出書房新社)
走れ!タカハシ(村上龍/講談社)
熱球爆走す(木本正次/日本経済新聞社)