藤臣柊子「そううつ(躁鬱)なんです、私。」
2013年2月、ポプラ社発行。
藤臣柊子(ふじおみ・しゅうこ)さんはうつ闘病歴20年の漫画家、エッセイスト。
うつ病に関する著書は多数あるそうですが、この本もその一つ。

躁鬱なんです、私。

「ツレがうつになりまして。」「わたしは働くうつウーマン」同様、
コミック形式で読みやすい「うつ」の本。

巻末に精神科医・大野裕さんとの対談あり。
藤臣さんは、大野さんの著書「最新版『うつ』を治す」のイラストを担当するなど、
古くから親交があるそうです。

◎概要
もとは「うつのち晴れ」というタイトルで連載(連載誌は不明。記載なし)。

うつ病の付き合い方・考え方について、漫画でわかりやすく説明する
というコンセプトで始まったそうです。
が、途中で藤臣さんの病名が「そううつ病(双極性障害II型)」に変更。

「うつ」と「そううつ」は明確に違う病気です。処方される薬も違います。
読む際は、その点ご注意ください。


◎内容
「ツレがうつになりまして。」や「私は働くうつウーマン」と決定的に違うのは、
「うつ病患者本人の書いたうつ/そううつ体験漫画」であるということ。

「ツレがうつになりまして。」は、夫のうつを奥さんが漫画にしたもの。
「わたしは働くうつウーマン」は、本文担当がうつ、漫画担当は別の方。

「そううつなんです~」は、うつ本人が、苦しみや痛みの精神世界を漫画にしている。
その点に読む価値があると思います。

「うつ」も「そううつ」も見た目は健康な人と変わりません。
社会から理解を得にくいのはそのためです。

働きたくても動けない。気力が湧かない。
そのくせ頭は回る。回るけれども負の思考で自分を苦しめてしまう。
果ては、のたうち回ることもできん苦しみ(9p)に襲われることも。
でも、他人からは「なまけ」「甘え」としか見えない。

たまりませんね。
その「たまらなさ」を漫画にしています。

芸術作品は、説明ぬきに見る人にインパクトを与えます。
それと同じで、「そううつなんです~」は、
絵からダイレクトにうつ患者の苦しみを垣間見られます。

うつの病状は人によって異なるものですが、
「体や心が思い通りにならないままならさ」は共通。
その葛藤が、伝わってきます。

藤臣さんの場合、果ては臨死体験まで味わっています。
「全身の血液が沸騰するような感覚」だそうです。
臨死体験が味わえる漫画も、そうそうないですよ。

文字読むのが面倒くせえ、という人は絵の部分だけでも流し読みしてみてください。
何かしら、残るものがあると思います。


◎印象的なフレーズ
地球上誰一人としておんなじ人がいないように、心の悩みだってバラバラです。
バラバラでいいと思うんです。
無理やり型にはめる必要なんてないんです。
(7p)

傷ついても それを乗り越えられたら何でもないじゃん なんて事に気づくまで
何十年もかけてしまいましたよ と
でも全て無駄ではないから
(136p)

旅の荷物は軽い方が楽だしさ
でもまあ ついついいろいろ 持ってってしまうから
時折捨てつつ なるべく 身軽に
そんで気軽に 面白い事いっぱいやりたいと思っちょります
(137p)

なんも言いたくない場合はちょっと深めの呼吸でもいいらしい。
深呼吸じゃなくていいからふーって言って、後は寝ちゃえばいいそうです。
そうやって吐き出す事で、自分の中にたまっていた、
どろどろ重いモノみたいなのが去って安眠できたりする。
(149-150p)
| 漫画・本 | 23:59 | comments (0) | trackback (0) |
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