井上秀人「毒父家族 親支配からの旅立ち」
2015年5月、さくら舎発行。
著者は心理カウンセラー、全米NLP協会認定プラクティショナー。

毒父家族 親支配からの旅立ち

自らの「毒父」に苦しんだ体験をもとに、
父親の支配と呪縛から脱出し、次世代へ「毒」を伝えないためにどうするか、を説いた一冊。

「毒親」の中でも「毒父」に特化した、貴重な本。
生きづらさを抱え、父に苦い思い出のある方におすすめします。

◎構成
第一章 親に支配される家族
第二章 「他人から嫌われたくない」症候群
第三章 毒父への怒り
第四章 いびつな夫婦関係
第五章 アルコールという「力」への依存
第六章 負の家族連鎖を断ち切る
第七章 毒親を乗り越えて、自分の人生を生きる方法


◎内容
著者は、第一章から第七章まで、長い分量をかけて
「父親からどれほど精神的に支配されていたか」
「そこからどう決別し、自分の人生を歩めるようになったか」
を赤裸々に語っています。

まず、本書は下記のような方に有効です。

・父親が支配的であり、妻や子どもの主張を認めなかった
・父親が日常的に怒鳴り、恐怖を感じることがたびたびあった
・大人になってからも、自分の主張ができない、自分の意見が湧いてこない
・感情をうまく出すことができない
・周囲の人間の評価を必要以上に気にする
・周囲に気にいられようと、頑張りすぎる
・他人の要求や依頼を断れない
・心の底に、父親への怒りがある

苦しんでいるのは自分だけではない、と救いになると思います。
実際、著者の親御さんと私の父親は多くの点で似ており、
「毒父」は少なくないのだな、と少し気が楽になりました。

さて、「毒父」への思いをどう昇華すればいいのでしょうか?
力ずくで復讐することは簡単です。
「毒父」も、老いれば腕力では息子にかないませんから。
それでは親殺しの事件になるだけで、救いにはなりません。

直接怒りをぶつけるのも、あまり効果はないでしょう。
「毒父」は「何不自由なく育ててやった」としか、思っていません。
息子が怒りを長年抱えているとは全く思ってないでしょう。
双方かみ合わず、お互い不幸になるだけです。

各章末尾にある「ワーク」で、自分の思いを書き出してみましょう。
負の思いを書き出す事で、父との関係や人生を見つめ直せます。
大人になってからも続く、父の精神的支配から脱する第一歩になります。
この方法は、「毒父」がすでに亡くなった方でも有効です。

著者は大量のワークに取り組み、500以上の質問に答えたそうです。
そこで、様々な気付きを得ることができた、と書いています。

この本は、読むだけでは半分しか活用していません。
各章の「ワーク」を、1つだけでも試してみましょう。
父への手紙(190p)を書いてみましょう。
文章化することで、思いを整理できます。

著者はまた、自らが「毒父」になることを防ぐことができた、
次の世代に怒りを持ちこさずに済んだ、と語っています。
これもまた重要です。
教育や親子関係というのは連鎖しがちですが、
負の連鎖を断ち切るのは非常に難しい。

自分自身の人生を生きるため、そして次世代のために。
「ワーク」を1つでも実践できるなら、大きな意味があります。
トライしてみましょう。私もトライしてみます。


◎NLPとは?
「Nuero Linguistic Programming(神経言語プログラミング)」の略。
別名「脳の取り扱い説明書」とも呼ばれる、最先端の心理学。
一般にも受講でき、資格を取得すれば人に教えることも可能。(184pより)
| 漫画・本 | 23:59 | comments (0) | trackback (0) |
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