サブタイトル通り、本作の主役は「公立」。
私立に比べて制約の多いことは、高校野球フリークなら基本の基本。だからこそ勝ち進めば大会が盛り上がるし、各校にコアなファンがいるのも事実。
本作では6校の都立、7校の地方の公立校が登場。
それぞれの環境での工夫や苦労を語ります。
シリーズ6作目となりますが、「原点回帰」という印象を強く感じました。
というのも、4巻、5巻あたりは甲子園で活躍するとか、優勝経験がある、という監督さんばかりで、「知名度はないけど熱心な指導者を取り上げる」初期のコンセプトが薄れてきていたからです。
それだけに、全面公立押しの6巻は非常に楽しく読めました。
一押しは第8章、石巻工の松本嘉次監督。
2012年センバツで脚光を浴びた同校ですが、2013年の新入部員はわずか6人。
まだまだ東北沿岸部は野球どころではない家庭が多くある、という実情を表しています。
松本監督も、手腕や野球観よりは「被災地に生きる一人の人間」としての姿が印象に残りました。
☆構成
第1章 有馬信夫(総合工科)
第2章 島田雅之(日野)
第3章 田河清司(紅葉川)
第4章 宮本秀樹(片倉)
第5章 森勇二(昭和)
第6章 田北和暁(町田工)
第7章 公立高校監督座談会 島修司(高嶋)、有馬信夫(総合工科)、福嶋正信(小山台)、神前俊彦(春日丘)
第8章 松本嘉次(石巻工)
第9章 深井浩司(佐渡)
第10章 川村忠義(春江工)
第11章 佐藤貴之(遠軽)
第12章 大野康哉(今治西)
第13章 藤田明宏(県岐阜商)
第14章 小林徹(習志野)
監督と甲子園6 頑張れ公立高校!(藤井利香/日刊スポーツ出版社)
海のかなたの甲子園 沖縄・本土復帰への祈りと52年目の全国制覇(市川実/双葉社)
監督と甲子園5 頂点に挑んだ男たち(藤井利香/日刊スポーツ出版社)
蔦文也と池田高校 教え子たちが綴る“攻めだるま”野球の真実(畠山準、水野雄仁、江上光治/ベースボール・マガジン社)
真実の一球-怪物・江川卓はなぜ史上最高と呼ばれるのか-(松井優史/竹書房)
北の球人 元氣、本氣、一氣、佐藤茂富の高校野球(岡崎敏/日刊スポーツ出版社)
監督と甲子園4 輝く個性を放つ指導者たち(藤井利香/日刊スポーツ出版社)
全員野球 中村良隆監督物語(山口真一/一草舎出版)
あきらめない限り、夢は続く 愛工大名電・柴田章吾の挑戦(田尻賢誉/講談社)
阿波の「攻めダルマ」蔦文也の生涯(富永俊治/アルマット)
嶋清一 戦火に散った伝説の左腕(山本暢俊/彩流社)
ハンカチ王子と老エース 奇跡を生んだ早実野球部100年物語(門田隆将/講談社)
監督と甲子園3 人を育てる。すべては未来のために(藤井利香/日刊スポーツ出版社)
Teikyo〜帝京高校野球部と前田監督〜(中里洋二朗/協力・帝京高校)
監督と甲子園2(藤井利香/日刊スポーツ出版社)
炭鉱町に咲いた原貢野球 三池工業高校・甲子園優勝までの軌跡(澤宮優/現代書館)
球聖飛田穂州伝(神門兼之/つげ書房新社)
監督と甲子園(藤井利香/日刊スポーツ出版社)
魔術師 三原脩と西鉄ライオンズ 決定版(立石泰則/小学館)
攻めダルマ 蔦さん -池田高校・蔦文也監督遠望(大川公一/アーバンプロ出版センター・街と暮らし社)
蔦文也のIKEDA行進曲(北原遼三郎/洋泉社)
落ちこぼれの甲子園 横浜高校野球部の奇跡(軍司貞則/講談社)
甲子園への挑戦 高校野球監督列伝[1](徳丸壮也/星雲社/刊々堂出版社)