著者は元ヤクルトスカウト部長。選手としては大成しなかったが、2004年まで33年間スカウトでチームに貢献した。
片岡氏は冒頭で「スカウトは“ギャンブル”だ。ただしそのギャンブルを命懸けでやっていた」と語る。
人が人を見極める。壮大なギャンブルのエピソード集。
片岡氏がスカウト時代に発掘したのは古田敦也、岩村明憲、石井一久、藤井秀悟ら早々たる面々。
他にも尾花高夫、川崎憲次郎、土橋勝征、飯田哲也、池山隆寛など数えきれない。
一方で、89年3位指名した黒須陽一郎は銀行内定を理由に断られている。氏は、黒須の真意を読めなかった自分の失態と語るが、本当に人を見るのは難しい。
片岡氏が最大の後悔と語るのは、高橋由伸獲得競争で巨人に負けたことと、長嶋一茂を大成させられなかったことだという。
自分からするとタレントのイメージしかない一茂さんだが、「第二の長嶋茂雄」になれる資質があったというから意外。
本書の柱は、90年からヤクルト監督になった野村克也との確執。
古田を指名する前、野村氏は「眼鏡のキャッチャーはいらん」と言うなど、著者と意見が合わないことが多かったらしい。
また、一茂を一軍で飼い殺しにし、やる気を失わせたのは野村氏のエリートへの嫉妬ゆえだという。
著者がどれだけ事実を書いているのかはわからないが、名将の側面なのかもしれない。
長嶋茂雄 最後の日。1974.10.14(鷲田康/文藝春秋)
人生賭けて 〜苦しみの後には必ず成長があった〜(金本知憲/小学館)
中継ぎ投手 荒れたマウンドのエースたち(澤宮優/河出書房新社)
決めて断つ(黒田博樹/KKベストセラーズ)
采配(落合博満/ダイヤモンド社)
野球にときめいて 王貞治、半生を語る(王貞治/中央公論社)
プロ野球スカウトの眼はすべて「節穴」である(片岡宏雄/双葉社)
伝える わたしが見てきた野球80年(杉下茂/中日新聞社)
愛甲猛のプロ野球ガチンコ観戦ノート(愛甲猛/オークラ出版)
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スカウト プロ野球の輪郭をふちどってきた男たち(安倍昌彦/日刊スポーツ出版社)
球界の野良犬(愛甲猛/宝島社)
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絆 冬は必ず春となる(岩隈久志/潮出版社)
133キロ怪速球(山本昌/ベースボール・マガジン社)
投手・桑田真澄の青春(石川好/シンコーミュージック・エンタテイメント)
私の履歴書 プロ野球伝説の名将(鶴岡一人・川上哲治・西本幸雄・稲尾和久/日本経済新聞出版社)
アンダースロー論(渡辺俊介/光文社)
魂のフルスイング(小笠原道大/KKロングセラーズ)
甲子園への遺言 伝説の打撃コーチ高畠導宏の生涯(門田隆将/講談社)
スト決行 プロ野球が消えた2日間(朝日新聞スポーツ部/朝日新聞社)
野球肩・野球ひじを治す本(川島堅/マキノ出版)
背番号三桁「僕達も胴上げに参加していいんですか?」(矢崎良一ほか/竹書房)
もうひとつのフィールド・オブ・ドリームス 伝説のエース 小川健太郎物語(中村素至/新風舎)
左腕の誇り 江夏豊自伝(江夏豊/構成・波多野勝/草思社)
忘れられた名投手-北井正雄と野球のぼせモンたち-(高井正秀/文芸社)
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