「いつかは、この国たった100人足らずの希少な職業に取り組む男たちの人となりを、じっくり腰を据えて伝えたい、そう願っていた」
「流しのブルペンキャッチャー」で有名な安倍昌彦氏の本。雑誌「アマチュア野球」の連載記事をまとめたもので、11人のスカウトへのインタビューで構成される(元スカウトの方も含まれる)。
アマチュア選手への評価が単純な「スピード、強さ」にとどまらず、個性的な表現になる安倍氏。当然スカウトたちも「獲得した選手」という切り口だけじゃなく、生い立ちや信条、意外な趣味と色々な面から描写されている。中にはプロ経験なしにスカウトに転身した大渕さん、菊地さんのような方も。
とはいえ、メインテーマはやはり選手獲得のエピソード。各スカウトがどんな考えを経て指名にまで至ったか、あるいは指名しないことを決断したか、多彩な人間ドラマが楽しめる。
昔のことはよくわからないが、かつてスカウトは「人買い」と呼ばれ、怪しげな商売だった時代があったらしい。けれども、この本に登場する方々は選手の人生を左右する責任感をもって日々各地を歩いている。そう感じました。
☆構成
第1章 中村和久(巨人)
第2章 山田正雄(日ハムGM)
第3章 大渕隆(日ハム)
第4章 苑田聡彦(広島)
第5章 中田宗男(中日)
第6章 鈴木皖武(ロッテ)
第7章 高浦己佐緒(横浜)
第8章 菊地敏幸(阪神)
第9章 岡林洋一(ヤクルト)
第10章 山森雅文(ロッテ)
第11章 稲川誠(横浜寮長)
長嶋茂雄 最後の日。1974.10.14(鷲田康/文藝春秋)
人生賭けて 〜苦しみの後には必ず成長があった〜(金本知憲/小学館)
中継ぎ投手 荒れたマウンドのエースたち(澤宮優/河出書房新社)
決めて断つ(黒田博樹/KKベストセラーズ)
采配(落合博満/ダイヤモンド社)
野球にときめいて 王貞治、半生を語る(王貞治/中央公論社)
プロ野球スカウトの眼はすべて「節穴」である(片岡宏雄/双葉社)
伝える わたしが見てきた野球80年(杉下茂/中日新聞社)
愛甲猛のプロ野球ガチンコ観戦ノート(愛甲猛/オークラ出版)
野球を学問する(桑田真澄、平田竹男/新潮社)
スカウト プロ野球の輪郭をふちどってきた男たち(安倍昌彦/日刊スポーツ出版社)
球界の野良犬(愛甲猛/宝島社)
PL学園OBはなぜプロ野球で成功するのか?(橋本清/ぴあ)
絆 冬は必ず春となる(岩隈久志/潮出版社)
133キロ怪速球(山本昌/ベースボール・マガジン社)
投手・桑田真澄の青春(石川好/シンコーミュージック・エンタテイメント)
私の履歴書 プロ野球伝説の名将(鶴岡一人・川上哲治・西本幸雄・稲尾和久/日本経済新聞出版社)
アンダースロー論(渡辺俊介/光文社)
魂のフルスイング(小笠原道大/KKロングセラーズ)
甲子園への遺言 伝説の打撃コーチ高畠導宏の生涯(門田隆将/講談社)
スト決行 プロ野球が消えた2日間(朝日新聞スポーツ部/朝日新聞社)
野球肩・野球ひじを治す本(川島堅/マキノ出版)
背番号三桁「僕達も胴上げに参加していいんですか?」(矢崎良一ほか/竹書房)
もうひとつのフィールド・オブ・ドリームス 伝説のエース 小川健太郎物語(中村素至/新風舎)
左腕の誇り 江夏豊自伝(江夏豊/構成・波多野勝/草思社)
忘れられた名投手-北井正雄と野球のぼせモンたち-(高井正秀/文芸社)
サイレントK 沈黙のマウンド(石井裕也/日本文芸社)
松坂大輔「証明」(降籏学・日刊ゲンダイ写真部/PHP研究所)
友情 オレと仲間のジャイアンツ・グラフィティ(水野雄仁/ザ・マサダ)
巨怪伝-正力松太郎と影武者たちの一世紀(佐野眞一/文藝春秋)