NHKドラマ「ツレがうつになりまして。」
同名のコミックエッセイをドラマ化したもの。
2009年5月29日・6月5日・6月12日の3話にわたって放送されました。


NHKドラマ ツレがうつになりまして。 [DVD]


もし あなたの家族や 大事な友達が
突然 別人のように変わってしまったら。
あなたはどうしますか?


藤原紀香さんが、売れない漫画家兼ダメ主婦、
原田泰造さんが、うつ病になる夫(通称ツレ)を演じています。

ここでは、原作や映画版と比べて感想を書いてみます。

原作本の感想は下記。
細川貂々「ツレがうつになりまして。」
細川貂々「その後のツレがうつになりまして。」

2011年秋公開の映画(主演:宮崎あおい・堺雅人)の感想は下記。
映画「ツレがうつになりまして。」

◎あらすじ
早川典子は売れない漫画家。
連載は打ち切りになり、レジ打ちのパートも「合ってない」と早々とやめてしまう。
外資系IT企業につとめる夫(ツレ)に愚痴る毎日だった。

しかし、いつも典子を励ましてくれたツレの様子が最近おかしい。
仕事の負担と重圧から、「うつ」になってしまったのだ。

一家の危機、夫婦の危機を、二人はどう乗り越えるのか。


◎感想
映画版同様、原作に沿った、丁寧な作りのドラマです。
会社の勤務風景など、どこかドキュメンタリータッチなのは、やっぱりNHKドラマだからでしょうか。

ストーリーの大筋は、原作や映画と変わりません。
イグアナも登場(DVDのパッケージにも出てくる)。

映画との最大の違いは役者さん。当たり前か。

個人的には、堺雅人さんのツレより、原田泰造さんのツレがはまっていると思う。
ウツのときのこけた頬、うつろな目線、家事も何もできない。
奥さんに「どうせ俺なんかいらないと思ってんだろ!」と八つ当たりする情けなさ。
うつ状態の演技が完璧。

あんまり情けないので、思わず私はDVDの再生止めました。
うつがひどい時の自分を見せられてるみたいで、いたたまれなくて。
それだけ、原田さんの演技がうまいのですね。
さすが、前世で大久保利通、来世で近藤勇を演じられるお方(大河ドラマネタ)。

映画の堺さんも弱々しい様子が見事でしたが、
この方の場合、どんな役をされてもどことなく「品」がある。
そのため、うつになってもあまり情けなく見えない。

その点、原田さんのうつ演技は負のオーラ全開。
これは演技のうまい下手の問題じゃなく、私個人の好みの話です。

それだけに、第3話、ちょっとだけ回復したツレが、
講演でたどたどしく苦しい日々を振り返る様子は、ほろりとさせられます。

藤原紀香さんも、宮崎あおいさんとは違った「てんてん」の味がある。
所帯じみた感じは藤原さんのが上。個人的に。
宮崎さんは、まず「かわいい」印象なんですよねぇ。どちらも現実に結婚されてますが。

上でえんえん原田さんのダメ演技の見事さに触れましたが、
序盤の藤原さん演じる典子もダメダメっぷりがいい。
化粧っ気もないし、本当に冴えない主婦にしか見えない。

2人とも見事に演じられてます。

モデルになった細川貂々さん・望月昭さん夫妻が、ドラマを見終わった後泣いた、
というのもわかる。


◎他の役者さん
駿河太郎
ツレの会社の同僚。なごみ系。
後に大河ドラマ「平清盛」で、清盛の存在感の薄い弟・経盛を演じる。

設楽統(バナナマン)
ツレの会社の同僚。
トイレでツレの陰口を言う、ちょっと嫌な役回り。
でも、会社ってそんなもん。仲良しクラブじゃないし。
たまに見る顔だと思ったら、バナナマンの頭が丸くない方だった。

濱田マリ
典子の昔からの友人。元うつの夫(演:小木茂光)と、ペットショップを経営。
モデルは、細川貂々さんのエッセイにたまに出てくる親友「ぐーす」さんなのかもしれない。

黒川芽以
典子のスーパーのバイトの同期。高校生だけどよく働く。
劇中では「頑張ってるからガンちゃん」というあだ名をつけられるが、
原作では「ガングロだからガンちゃん」と心の中で呼んでいた。

伊勢志摩
典子のスーパーのバイトの指導役。
主夫になったツレを見て「あーいうのを髪結いの亭主って言うのよ」と、
本人の前でずけずけと言い放つ。
「髪結いの亭主」とは、奥さんに養ってもらってる旦那のこと。「ヒモ」と同じか。

中村麻美
典子の妹役。
「うつって心の弱い人がなるんでしょ?」と、世間一般のうつ病への認識を代弁している。
ちなみに、細川貂々さんは一人っ子です。

風吹ジュン
ツレのかかりつけの心療内科医。
ロードバイクでさっそうと通勤する。これは原作からの引用と思われる。
大物らしく、要所を締めてくださってます。

アベディーンモハメッド
なんと、あのTRICKのジャーミー君も出演してました(同姓同名の別人じゃなければ)。
第1話で、ツレが会社で本社の重役に叱責される場面でほんの一瞬登場します。
残念なことに台詞はない。


◎裏話
「7年目のツレがうつになりまして。」(2011年発行)や
「育児ばかりでスミマセン。」(2010年発行)で、
ドラマの裏話が色々読めます(「7年目~」には映画版の話もある)。

それによると、
・脚本は映画版の方が先にできていたが、完成はドラマ版の方が先
・当初のドラマ版の脚本は「ただのいい話」になっており、望月昭さんはリテイクを要求
とのこと。
NHKに物申すなんて、望月さんも骨のある方だなと思う。

また、劇中で典子が漫画を描くシーンは、実際に執筆してるのは細川貂々さん。
貂々さんは手から先だけ出演、あとは藤原さんの演技の組み合わせ、だそうです。
この手法は映画でも同様。


◎カメオ出演?
細川貂々さん・望月昭さん夫妻は映画版でカメオ出演してますが、ドラマ版でもしている。
ただ、はっきりクレジットされてないし本にも書いてないので、断言できない。

場面は第3話の終盤。
原田さんが講演で話し始める前、風吹ジュンさんの後ろに映っている二人がご夫妻なのではないかと。


◎音楽
BGMは「G線上のアリア」がちょくちょくかかってたような。
クラシック好きな望月昭さんのリクエスト?

他、印象的だったのが吉松隆さんの「4つの小さな夢の歌 : 1 春 - 5月の夢の歌」。
これも望月さんのリクエストかも。尊敬する作曲家さんの一人らしいので。

「五月の夢の歌」は、大河ドラマ「平清盛」でもしばしば使われました。
吉松さんは同作品の音楽担当です。
気になる方は、サントラや外囿祥一郎氏によるユーフォニアム版を聴いてみてください。


NHK大河ドラマ《平清盛》オリジナル・サウンドトラック 其の二



平清盛×吉松隆:音楽全仕事 NHK大河ドラマ《平清盛》オリジナル・サウンドトラック



ユーフォニアム・ドリーム



◎DVD特典映像
「見どころNHK(2009年5月28日放送)」にて、細川貂々さん・望月昭さん夫妻がインタビューに答えています。
貂々さんは明らかにガチガチ。あらぬ1点を見ながら質問に答えている。
どこかで「講演なんか絶対できない」と書いてたのは、謙遜でもなんでもなかったんだな、と思いました。

息子さんの「ちーと君」も、望月さんに抱っこされてます。
1歳くらいか。かわいい。
| 漫画・本::細川貂々/望月昭 | 13:38 | comments (0) | trackback (0) |
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