中川淳一郎「縁の切り方 絆と孤独を考える」
2014年12月、小学館発行。
著者はネットニュース編集者。
著作に「ウェブはバカと暇人のもの(光文社新書)」など。

縁の切り方 Kindle版

この方は常に本音の文体が特徴で、
本書でも遠慮なく「縁」「他人とのつながり」についてぶった切っています。
一言でまとめると「不要な人間とは縁を切るべし」です。

◎構成
序章 「分かり合えるはずの人」と「分かり合えないはずの人」
第1章 ネットで生まれた「絆」はなぜこんなに弱いのか
第2章 うまく縁を切らないと人はこんなに不幸になる
第3章 不要な人間関係を整理するための「キレる覚悟」
第4章 人間関係への「諦念」と避けようのない「死別」
終章 孤独と正対することで人間は成長する


◎内容
2011年の東日本大震災をきっかけに、「今年の漢字」にもなった「絆」。
でも、「絆」なんてどこまで確かなものなのか?
SNS上で「つながり」がしばしばアピールされるが、
「つながる」ことは本当に幸せなのか?

そんな疑問の追究から、人間関係の「整理」について語っています。

本書の主旨を抜き出してみると、だいたい下記のようになります。

・分かり合えない人は、必ずいる
・不幸をもたらす出会いは、しばしばある
・人を見る目を養って、分かり合えない、不幸をもたらす人とはつき合わない
・「自分にとって不要な人間」と冷静に見極めたなら、「キレて」縁を切ってよい
・お互い気持ちのいい時間を過ごせる人とだけ、なるべく会うようにする
・大事にできる人間は限られている。今、そばにいる人を大事にしよう

すべては幸せな人生を過ごすため
晩年、「いい人生だった」と振り返られるようにするため。
つまり自分の人生のため。

何よりも大切なのは自分なのだから、自分と、自分の人生を大切にしよう。
自分の幸せは、「日本人1億30000万人の幸せ」よりも圧倒的に自分にとっては重要なことだから。(253p)

ごく当たり前のようでいて、難しいのは確か。
なにせ、「若い頃の苦労は買ってでもしろ」と言われ、「忍耐」を刷り込まれているのが日本人。

でも、こうも書かれています。
誰もが年長者から「我慢すれば何とかなる」などと諭されては疑問を持たぬよう強いられてきた。
だが、個々人が抱く違和感というものは、
その後の人生をより良い方向に導く判断力を身につけるために大事にしなくてはいけない。
(14p)

我慢ばかりするな、ストレスを溜めるばかりでなく、時には怒れ。
というのも、主旨の一つかもしれません。


◎中川淳一郎、という人間
もう一つ、本書では著者の過去について詳しく知ることができます。

「ウェブはバカと暇人のもの」にて、
「ネットは素晴らしくもなんともなく、しょーもないもの(=だから現実を大事にしよう)」と一刀両断し、
有名になった中川氏。

読んだ当時、「偉そうだけど的を得たことを書いてるこのオッサン、何者なんだろう」と思いました。

この本では著者の様々な体験を赤裸々に書いており、
どのようにして会社員からフリーになったか、
いかにして今のような価値観を持つに至ったか、がわかります。

わかって何かトクをするかはさておき、興味ある方にはおすすめです。

特に、婚約者がうつ病をきっかけに自殺するくだりは壮絶。
この件で中川氏は決定的な「孤独」を感じ、現在のような諦観を持つにいたった、との事です。
| 漫画・本 | 20:15 | comments (0) | trackback (0) |
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