たまゆら(あさのあつこ)感想
あさのあつこさんの「たまゆら」の感想。



小説新潮に連載されていた作品。2011年5月出版。
「バッテリー」では少年の心を描いたあさのさんですが、今作品では「女の情念」を濃厚に描いています。

<あらすじ>
雪深い花粧山(かしょうざん)、人が住めるぎりぎりに居を構える老夫婦がいた。
理由あって山を訪れる者は、老夫婦の家につかの間滞在し、山奥へと消えて行く。

老夫婦たちにとっても、冬の花粧山は未知の領域だった。
だがある時、山に人探しにやってきた少女とともに、二人は山へ分け入ることに。

「肌をくっつけ、身体を重ね、わたしは蕩けていくのです。
伊久男だけがわたしを融かせられるのです」
「男を知れば、女の指は変わる。どこか淫靡な色を潜めながら清々としら艶を帯びる」

野球少年の爽やかな小説のイメージしかなかったので、↑のような官能的な文章にはまあ驚きました。
直接的なシーンはありませんが、子供向けではない。

この本は、狂おしいほど男を愛した二人の女の物語です。

山に消えた想い人を捜す少女・真帆子。
彼女を助ける老夫婦もまた、道に外れた恋に落ちた過去がありました。
破滅的な恋に狂うこともある、理屈ではどうにもならない心を描いています。

また雪山の描写もいい。
「山は人を癒しはしない」というのは、寒冷な岡山県北生まれのあさのさんならではの文章かと思います。
| 漫画・本 | 00:10 | comments (0) | trackback (0) |
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