細川貂々「またまた どーすんの? 私」
2010年3月、小学館発行。現在は文庫版あり。
「ツレがうつになりまして。」シリーズで知られる、細川貂々さんのコミックエッセイ。
「どーすんの? 私」の続編にあたる。

またまた どーすんの? 私 またまた どーすんの? 私(小学館文庫)

◎あらすじ
高校卒業後、将来を決められなくて仕事も長続きしない「てん子」。
ようやく見つけたのは、絵の専門学校。

そこは才能のある人、個性のある人ばかり。
自分の「個性」は何だろう、とてん子はまた悩み始める。

若い頃の迷い道を振り返った、貂々さんの自伝漫画。

細川貂々さん・望月昭さんご夫妻の関連作品の感想は、
カテゴリからご覧ください。

◎内容
貂々さんの「セツ・モードセミナー」時代のお話。
ただ、作中では「カツ・モードセミナー」に変更されています。
そういえば映画版「ツレがうつになりまして。」でもそうなってたな。

絵の専門学校というのは想像しかできませんが、
美大なら少しわかります。
知り合いが通っていて、大学祭に行ったことがあるので。

美大というのは、「個性」「才能」の集まりに見えました。
とにかく、一癖ある人・他人をひきつける何かを持った人ばかり。
「カツ・モードセミナー」も、そのような場所ではないかと思います。

そんな人たちの中と比べ、「自分に絵の才能はない」と気付いたてん子。
「絵本作家」「漫画家」と専門学校の友人が夢を語る中、
「絵の仕事をしたい」と言い出すこともできません。

デッサンや水彩画、学友との交流で過ぎていく日々。
慣れてきた頃にはもう卒業。
個展やコンクールにチャレンジしていく同級生。
「で、自分はどーすんの?」と自問するてん子。

親友の「ぐーすちゃん」が言います。
「この先はまだ考えてないよ
目標がなければ生きていけないと思わない
生活してる中でおもしろいことがみつかったらやればいいし
流れるままっていうのが理想」
(124p)

もう一人の友人「モッチー」は、
「自分に合った場所を探すことが
自分のかっこいい生き方!!
この学校に来て これから自分がどんな風に生きていけばいいのか
わかったんだ
だから ココに来ただけで満足してる」
(132-133p)

二人に背中を押されて、てん子は「漫画家目指します」と口に出して決意。

いろんな人がいて いろんな答えがあって
それでいいんだよね
答えはひとつじゃない
(141p)

てん子は、自分なりの回答を見つけ、次の道を歩き始めるのでした。


◎感想
「いろんな答えがあっていい」と思えるまでに、長い時間がかかる。
私も同じように悩んだ覚えがあります。
今も悩んでいるかもしれない。

大学を卒業し、企業に就職して定年まで働き、家庭をつくって子育てする。
そのレールから外れると、「ダメな人」と思われる風潮があり、
本人も後ろめたさを感じる。

そんな考えが、いまだに主流な気がします。
ここ数十年だけのスタイルなのにね。

人より迷う時間が長くても、悩んで答えが出なくても、恥じることはないんじゃないか。
「普通」なんて重石がとれれば、ずっと楽になれる。

そんなことを思いました。
| 漫画・本::細川貂々/望月昭 | 13:15 | comments (0) | trackback (0) |
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