河原和音「青空エール」59話感想(別冊マーガレット2014年3月号)
毎月恒例、「青空エール」の感想です。



先週の土曜(8日)、今日(14日)と東京では珍しく2週連続の雪が降りました。
数センチの積雪、北国の方からすればなんてことないでしょうが、
普段備えのない東京は電車が遅れるわ道路がまともに歩けないわで大混乱。

「青空エール」の舞台は北海道なので、登場人物は慣れっこなんだろうなと。
テレビに映る都会の騒ぎっぷりは滑稽に見えるのかな、と。
そんなことを思いました。


<前号の嘘あらすじ ジョジョ第3部風>
杉村先生「自由曲は『神話』で……次回の吹奏楽コンクールに挑戦したいが…」

杉村先生「教師生命を! 賭けよう!」 ※実際はそこまで言ってません

真木先生「グッド」

水島「つまりこういうことか? 『俺たちは全国大会で金賞を取らないかぎり先輩方へ顔向けできない………』」

真木先生「Exactly(そのとおりでございます)」


まともなあらすじはカテゴリをご覧ください。

<ストーリーと感想>
前回、部室につばさにあこがれる1年生女子が登場。


「まさかの“つばさファン”、登場!?
…いやいや。何かのまちがい…だよね?」

アオリにまで突っ込まれる始末。

そして瀬名は「名前間違えてない?」
「失礼だけどこの人のどこに!?」
「3年の女子だから!? しつこいから? それ以外に思いつかない
となぜか執拗に確認するのだった。

そんな先輩に、合奏で不安だからってんでハグしてたのはどこの誰でしたっけねえ……。

ともかく、もじゃもじゃ頭の女子がつばさに憧れているのは間違いないらしく、
しかもどこかじゃなく「全部」だという。

Tp経験なし、「初心者大歓迎」というウソじゃないが実態を隠したチラシを見てやってきた少女。
当然、小野先輩が面倒見ることになりました。

名前は葛西心愛(ここあ)。
うん、まあ、ギリギリDQNじゃない名前だ。

2年前のつばさと同様、初心者は一箇所に集められて基礎トレを行います。
その後1週間してからオーディションがあり、先生が最適のパートを選びます。
つまりTpをやれるかどうかはまだわからない、ということです。

おそらくどんな部活でもそうですが、
厳しいところほど、「希望するポジション」はもらえません。

野球でいえばピッチャーばかりいても試合にならんので、
ピッチャー希望の何人かは競争に負けて野手に回るわけです。

吹奏楽でも適切な楽器数の構成というのがあるので、
希望がかなわない、という話はザラにあります。

中学の1年後輩は打楽器志望でしたが、人数の関係でユーフォニアムをやってもらいました。
その人が打楽器をできたのは高校から。3年間よく辛抱したと思います。

まして白翔は全国大会を目指すトップレベルの部なわけで。


案の定、基礎トレでフラフラになる葛西さん。

つばさはアンブシュアから始まる、Tpの基礎を教えます。
2年前、森先輩に教わったことを思い出しながら。

あの頃は先輩もまわりもみんなすごいと思ったなぁ
この子も 私のことそう思ってるんだろうな
全然違うのに

期待 うらぎりたくないなぁ
がっかりされたくない


指導終了。

帰る葛西さんを見送るつばさ、今までにない表情。
なんというか、「仕事わかってきたのよ」って感じの2年目OLみたいなツラです。
腰に手なんかあててるし。

「先輩づらしてるね」
水島、的確です。後ろから見てるのに。
それにしても、本当に連載始まって以来したことのない顔つきなんで気になる方はどうぞ。

「なめられないようにとは言ったけど 見栄を晴れとは言ってない」
そう、つばさは初めて後輩目線を意識しているのだった。
つまり。背伸びしたくなるわけで。

その後、2,3年生は自由曲「神話」について調べることに。

「吹奏楽のための神話」は、日本神話で有名な「天の岩戸」のエピソードをモチーフにした曲です。


「冒頭の『タリラリラリ』ってピッコロとフルートとクラのメロディと、『ダカダン!』ってティンパニは
岩戸が閉まって世界が真っ暗になった様子を表現してるんだよね」

「小野さんの今の演奏じゃ アマテラス出てこないからね」

水島のセリフ、吹奏楽知らない人だと笑ってしまうかもしれませんが、
こういう「曲のバックボーンを知る、ストーリーを想像する」というのは、大事です。

その方がより音楽に味わいが出てくる。
抽象的な話ですが、これが重要です。
ただ楽譜に書かれた音符通りに吹いたとしても、それは心を動かす演奏にはなりません。
演劇で台本通りにしゃべっても楽しくないのと同じです。

曲に込められたストーリーを描いて、それに合わせて演奏することで、よい音楽が生まれます。
それは作曲家の意図と合っていなくてもいい。自分なりに想像することが大事です。

自分も最近日本神話をモチーフにした曲を演奏しましたが、
作曲した人は「そんなんじゃ神が降りてこない」とまじめにダメ出ししていたものでした。

水島が熱く語っているところに、葛西さん登場。

水島くんに言われてるの見られたかな かっこわるいな

あ、悪い傾向だ。

そんな見栄っ張り先輩と1年の指導は2日目に突入。
つばさのTpを吹かせてもらえた葛西さん、感激してます。
ますます「実はダメなんです」といいづらい雰囲気に。

そんな中、たまたま練習中の山田とすれ違います。
なんでもすごい1年が入ったらしい。
「マジで甲子園行くから」とまで言います。

実際、高校野球でラストイヤーの3年より1,2年がのびのび活躍するってことは珍しくないんだなー。
2013年、エースの子が2年で優勝した前橋育英みたいに。

そして、話題はつばさに憧れる葛西さんの話に。

「うれしいけどプレッシャーなの~ 『たいしたことないな』ってがっかりされたらどうしようって思って……」
「そんなん 見栄張ってもしょーがねえよ いずれバレるんだから」
その通り。

しかし、つばさは憧れの対象になるのが初めてで、感情をうまくあしらえないのだった。

「で その子は小野のどこらへんに憧れてんの」
「『全部』って言うんだよー 全部とかないよねー」
「いやいや オレも小野のことはけっこうぜんぶ好きだよ

くぁwせdrfgtyふじこlp(意味不明)

息を吐くように殺し文句をいいやがった!
これで彼女じゃないと周囲に言い張る男、山田。

シーンは再び部室へ。

つばさは「神話」の難所を練習していましたが、そこへ葛西さん。

さりげなく、教本(音階とか、練習用の短いフレーズが沢山書いてある本)に切り替えるつばさ。
水島、それを見逃しません。

「『神話』できないんでしょ? 途中で違う練習に変えないで ある程度食らいつかないと」
「水島… その話あとで…」
「1年気にしてないで集中して! 見栄ばっかり張って練習になると思ってんの!?」

ここは水島が100%正しいですね~。
それにしても水島、注意するべきタイミングを見誤らない。
いいリーダーになったもんだ。

「小野さんが今まで2年間やってきたことははずかしいことなの!?
見栄なんか中身ないから張るもんでしょ 小野さんは今まで吹部で何もしてこなかったの!?
先輩や俺たちとやってきたことは人に言えないようなことなの!?」


このセリフすごいなー。大人でもここまで言えないよ。
情がこもっていて、なおかつ理がある。

気持ちを切り替えて、練習に戻るつばさ。
グラウンドを見ると、ランニング中にうずくまる葛西さんが。

かけつけたつばさは、とりあえず木陰に行きます。

「自分の話していいですか……」

小中と合唱部だった葛西さん、音はわかるが発声すると違う音になる、「謎の音痴」だったらしい。
そのせいで中学はずっと口パク。

吹奏楽部をあつかった津原泰水氏の小説「ブラバン」で、ずっと吹きマネだけしていた部員が出てきますが……
いくらなんでも周りが何か言いそうに思うけど。
その程度の仲だったということか。



「ブラバン」の表紙。左が通常版、右が文庫版。
余談ですが、吹奏楽部を扱った小説では自分の中で一番です。
40代の主人公が、高校時代を振り返る形式なので、大人の方が楽しめるかも。


さて、そんな葛西さんが白翔の定期演奏会に行ったとき、
つばさが吹くマネだけしていたのに気付いた、という。
めちゃくちゃ高性能な耳です。

「先輩のことが気になって次の年も行ったんです
そしたら先輩 超吹いてたんです
楽器だったら私も違う音にならないかもって
私も先輩みたいにやりたいって思って……」

「先輩 思ったとおりの人でした 私 Tpになりたいんです…… なれるでしょうか……」

「なれるよ! 一緒にがんばろう!」
「ハイ!」
で、泣く二人。

いいシーンだ……。
そして、女子だからこそ映えるシーンだ。
男同士はさ、好きな漫画とかゲームとかアイドルで意気投合してるよ。

そして1週間経過。
気合の入ったつばさの指導を受けた葛西さん、見事オーディションに合格。

また泣いて抱き合う二人。

「小野に聞いたんだけど耳がいいんだってね 一緒にがんばりましょう」
水島のこのセリフで「ポー」ってなる葛西さん。浮気者め(違う)。

他の4人の1年生も無事Tp加入が決まり、部室では水島ぬきでの歓迎会が開かれます。

「水島先輩って1年生の時どんな感じだったんですかー?」
「上手かったよ でも生意気だったと思うよー先輩にとっては 平気で先輩のことヘタって言ってたし
でもなんか 今より背が小さくてかわいくて女子みたいでねー……
「先輩……水島先輩 います……」

オチがついたところで以下次号。

ちなみに、つばさも山田に対してマハムドオン並のすごく恥ずかしいセリフを言うシーンがありますが、
もう書くのがしんどいのでカットします!


<俺物語17話1行感想>
猛男の母ちゃん臨月の話。ギャグとしんみりするのを交互にもってくるあたりがうまい。

<今月の河原先生>
トリビュートにわたしのこと描いて下さった先生方、ありがとうございました(T-T)
幸せにひたっていました(T-T)私も好きな漫画かけばよかったと思いました(T-T)ありがとうございました!

<宣伝>
単行本14巻、発売中。
まるちゃんの恋とか、けっこうぜんぶ面白いですよ。

| 漫画・本::河原和音「青空エール」 | 12:27 | comments (2) | trackback (0) |
コメント
ときぞうさん、いつもコメントありがとうございます。
今回の積雪はかなりインパクトありました。
地震と並んで記憶に残りそうです。。。。

まあ、相手のおられる方は励んでもらって……12月頃が楽しみですね(下種)。

あれから考えたんですが、「心愛」って名前、
今はいいけど年をくっていくごとに名乗りにくいし、呼びにくい。
ココアばあちゃんって、西洋の童話みたいになってしまう。

耳に関しては、同様のケースは聞いたことがないですね。
絶対音感よりはるかに貴重だと思います。

といいますか、これ香織先輩が憧れの対象だったと仮定すると、
「なんでそんなことわかるのよ。気持ち悪っ」とか言われかねません。
つばさで良かったですね。ほんとに。

大介は全く人タラシですね。
女子マネ、複数いるっぽいけど絶対何人か勘違いしますよ。
キャプテンとしては、いい資質なんでしょうけど。

こんな感じで感想を書くのも残りわずかと思うと、
少々残念ですね。
でもダラダラ引き延ばすよりは、作者の思う筋書き通りにスパッと終わらせて欲しい。

それでは、また。
| 惣一郎 | EMAIL | URL | 14/02/17 00:16 | gd68WmTE |
惣一郎さんこんにちは。ときぞうです。いやー関東エリアの雪、酷かったですね。数センチであれば、ニュース映像を鼻で笑って終わりですが、流石に今回は気の毒になりました。せっかくの金曜日のバレンタインなのに。あ、でも、どこぞにしけこんだカップルにとっては、降りしきる雪はロマンチックに見えてそしてエロチックな行為におよb(以下略)。

「私も大介くんのぜんぶが大好きだよ!」……このセリフ、城戸くんが聞いたら軽く死ねると思うな。このリア充な二人め!結構\声張ってたから、誰かに聞こえてたら……もう3年生だからいいのか。香織先輩もいないし。(音大だから道内にすらいないかと)

謎の後輩心愛ちゃん(私的にはややDQN)、謎の音痴って(笑)。ホールクラスの演奏会で吹き真似がワカルって凄くないですか?てかわかるの?神の耳?
とりあえず前髪切りなさい。

大介、ヒドイね(笑)。←このヒドイは北海道弁で。

私「アレは天然人たらしだわ、本人気付いてないだけで中学の時も、割にモテてたんでない?」
つばさ「…………」
私「あ、ごめんごめん。そんなつもりでないのさ。いやー気にしちゃったらごめんねぇー。」
大介「おばさん何吹き込んでるんスか!」(寄り添う二人)

妄想劇場 終

まぁ後輩も怪しい子ではなかったし、今後は定演、春季大会、そして夏の大会、ですね。楽しみなような寂しいような。

ではまた来月やって来ます



| ときぞう@道央 | EMAIL | URL | 14/02/16 15:56 | wq2E0k76 |
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