ユリイカ2012年1月号 武富健治特集を読む
ユリイカ2012年1月号を読みました。
普段は読まない雑誌ですが、武富健治さんの特集「『鈴木先生』 が教えるマンガの豊饒」が載っていると聞いて。
本当は買いたいところですが、図書館で読みました(なるべく手元に残す本は絞りたいので……)。
「鈴木先生」風に言うなら「我々は雑誌を図書館で読む事が許されている」。



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一口で言うと、武富健治さんのことは何でも書いてあります。

最も多いのが代表作「鈴木先生」の記事。
伊藤剛さん、伊藤氏貴さん等によるディープな語り。

ドラマ版「鈴木先生」にも触れてます。
河合勇人監督や小川役の土屋太鳳さんのインタビュー記事があり。
(聞き役は、米澤嘉博記念図書館にて「武富健治展」を取り仕切る宮本大人さん)

想田充・三輪健太朗さんによる作品解題では、無名時代からの作品全てが紹介。

なんと永山薫さんによる18禁同人誌『江露巣主人大全』 の考察記事まであります。
※江露巣主人とは、武富さんがエロ同人を書く時の変名。

生い立ちや内面に迫る記事もあり、これ一冊あれば現時点までの武富さんのことはわかります。
ここまで勧めといて、自分で買わないですいません……。

以下、印象に残った記事の感想です。

(1)武富健治×安彦良和 対談
アニメーターで、武富さんが大きく影響を受けたという安彦との対談。
ほとんどファン視点で熱っぽく語る武富さんに対し、「読んでも、どこに影響があるかわからなかった」という安彦さん。
それだけ武富世界が独自のものになったということでしょうか。

印象に残った会話。
安彦「映像というのは流れていくものだから、ちょっとでも『えっ?』と思ったら疑問がずっと残り続けるちゃうんですね」
武富「二○代の特に前半ぐらいにマンガならではの表現ということを強く意識しました。
マンガは読み返すことのできるジャンルであり、時間軸ではなくページ数という面積単位で進んでいくものなんだから、そのあたりの特徴を考えようと思ったんです」


確かに、文章の多い「鈴木先生」は何度もめくり返した記憶が。

(2)鈴木先生にあだ名をつけてあげよう/千葉聡
歌人であり高校教師の千葉さんの記事。
自らの体験から、「壊れてしまった」山崎、足子先生のような教師は実在するか、という問いに答えています。

その答えは「実際の同僚の中に、似た一面がなかったとは言い切れない」。
誰の中にも二人の要素があるということでしょう。

そして、@人気投票のエピソードにて、鈴木先生に一つ落ち度があったと説きます。
もっと早く、山崎先生を飲みに誘うべきだった。
仕事上ではない、ただの世間話をどれくらい同僚に話しかけることができていただろうか。


そう、社会人になってみると同僚との世間話が非常に安らぐんですね。
飲み屋や作中でも出て来るタバコ部屋で、仕事と関係ないおしゃべりをすると親近感も高まるし、仕事への意欲も湧くんです。
これは教師に限った話ではないですね。大事です。

そして、足子先生乱心もまた鈴木先生に責任があると説きます。

演技指導に長けている同僚がいたら、顧問の足子先生はさぞやりにくかったろう。
なぜ鈴木先生は演劇部の顧問にならなかったのか。
二人一緒に顧問をつとめることもできたはずだ。


鈴木先生は何部の顧問だったか謎のままですが、言われてみれば演劇部は適役だったはず。
作中の1年前も、鈴木先生の担当クラスは文化祭で演劇をやっていました。
それを見てストレスを溜める足子先生は容易に想像できます。

(3)小川蘇美という歩き方/土屋太鳳[聞き手=宮本大人]
ドラマ版で小川役を演じ、好評だった土屋さんのインタビュー記事。
漫画版小川との大きな違い、特徴的なロングヘアについてこう語ります。

私は逆に切りたかった。
髪型はひとの人格をすごく表すので、ロングだと小川さんの気持ちがわからないんじゃないかというのと、原作ファンの人を裏切っちゃうんじゃないかと思いました。


あの若さで原作ファンのことまで考えているとは……。
ドラマでの存在感も納得です。
| 漫画・本::武富健治 | 16:18 | comments (0) | trackback (0) |
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