内村鑑三「後世への最大遺物 デンマルク国の話」
「後世への最大遺物」「デンマルク国の話」、それぞれ別の話を一冊にまとめた本。
Kindle版で読みました。


後世への最大遺物・デンマルク国の話 (岩波文庫)


著者は明治時代の偉人ですが、その内容は100年以上経った今も色あせていません。

[1]後世への最大遺物
明治27(1894)年7月17・18日(日清戦争開戦直前)、
箱根にて行われた基督教青年会(YMCA)第六回夏期学校での講演を製本したもの。
明治30(1897)年6月、便利堂書店より刊行。
明治32(1899)年10月、東京独立雑誌社より再版。
大正14(1925)年2月、警醒社書店より改版。
岩波文庫本の初版は、昭和12(1937)年、『後世への最大遺物 他二篇』。

要旨。

・人間、生まれたからには何かを遺したい。お金もうけではなく、世のため人のために大きなものを成したい
・金銭、事業は運や出会いに恵まれなければ難しい
・思想、文学は誰でも書けるものではない
・教育も、誰でもできるものではない
・誰でも遺せる「後世への最大遺物」とは、「勇ましい高尚なる生涯」ではないか
 たとえ貧しくても、病気であっても、教養がなくとも、まっとうに生きようとすることはできる
 自分もそのような生涯を遺そうと思う

内村鑑三自身が病弱な娘を抱え、生活も貧しかったそうで、
他人よりも自分自身に言い聞かせる内容だったようだ。

刊行後は好評を博し、100年以上経った現在まで読み継がれている。
この講演そのものが「後世への最大遺物」になったといえる。

現代の自己啓発本を読み飽きた、自分にはなじめない、という方におすすめ。

私、バリバリ稼げませんし、さして仕事もできませんが、
よい同僚、よい隣人、よい家族になろうと目指すことは、たしかにできる気がします。


[2]デンマルク国の話
明治44(1911)年10月22日(日本の朝鮮併合翌年)、聖書研究会での講話を製本したもの。
大正2(1913)年2月、聖書研究会より刊行。

要旨。

・19世紀末、デンマークは、ドイツ・オーストリア連合軍との戦争に敗れ、領土を失った
・従軍した兵士の一人、ダルガスは、母国復興のためにユトランド半島の荒地を開拓することを決断
・長い年月をかけた灌漑と植樹によって、ユトランド半島は豊かな森林地帯に成長
・森林地帯はさまざまな価値を生み出し、デンマークは戦争以前より富んだ国になった

「戦争による痛手から、どのように回復したか」という逸話を紹介したのは、
日本の朝鮮併合が大きく影響していた、と思われる。

内村鑑三は、主権を失った朝鮮と、領土を失ったデンマークが重なって見えたのだろう。

また、帝国主義へと舵をきった世界各国・日本への危機感もあったのかもしれない。

ダルガスの行動と、ダルガスの遺志を受け継いだ息子・仲間たちの尊さ、
国のために動いた愛国心の素晴らしさ、
さまざまな教訓を含んだエピソード。
| 漫画・本 | 23:28 | comments (0) | trackback (0) |
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