安田佳生「私、社長ではなくなりました。ワイキューブとの7435日」
2012年3月、プレジデント社発行。


私、社長ではなくなりました。 ワイキューブとの7435日


人材採用関連の事業などを手がけた、ワイキューブ社社長の手記。
リクルートを25歳で退社して起業し、20年間の経営の末にたたむまで、をつづっている。

安田氏は社長業を振り返って、
「こどものように夢見て会社を作り、
むちゃくちゃな経営をし、
そして破綻させた」

と語っている。

その経営は王道や理屈ではない。
「やりたいからやる」という一点に尽きる。

ビルの1階にバーを作る。
新卒を規模に合わないほど大量に採る。
ネットが普及しきっていない時代に、動画をふんだんに使った就職情報サイトを作る。

役員が反対しようが去ろうが関係なく、やりたいことをやった。
自分の思うように会社を作り、動かし、育てて、最後には倒産させた。
その様子は「子どもが砂の城を作って壊すまで」に似ている。

起業したそもそもの動機も、
「満員電車の通勤がイヤ、上司のいうことがきけない、営業ができない」
という子どもじみたものだった。

「社長には不向きな人間だったが、20年間を後悔はしていない」という。

安田氏を「会社を倒産させたダメな人」とみるか、「20年間会社を経営できたからスゴイ人」とみるか?
どちらも一面的な見方だと思う。

もともと、人間は理屈よりも欲求の生き物である。
氏の場合は「自分の会社を作りたい」というのが一番の欲求で、それに忠実であった、というだけのこと。
だから「後悔はしていない」のだと思う。

見習うかどうかは別にして、安田氏の社長道は波乱万丈であり、
ワガママを最後まで貫いたところはうらやましくもある。
「会社をつくって後始末をするまで」の体験談として、単純に面白い。

会社が倒産した場合、社長は自己破産する場合としない場合があるそうだが、
安田氏は自己破産してきっちり清算する道を選んでいる。
ワガママはしたが、ツケは払っている。逃げていないのは好感が持てる。
| 漫画・本 | 18:25 | comments (0) | trackback (0) |
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