三田紀房「砂の栄冠」111話感想（週刊ヤングマガジン連載）

総合コンテンツ

クロカン関連

砂の栄冠関連

その他

2chスレッド集
連載当時のスレ

mixiコミュニティリンク

ロゴで遊んでみた

今週の砂の栄冠　第111話「裁判」

（週刊ヤングマガジン2012年10月6日／45号）

10月6,7,8日と三連休だから、ヤンマガ最新号は6日土曜発売です。
みんな見逃さないように。
さて、今週の砂の栄冠ですが……、すごく解釈に困る内容です。
ではレビューいってみましょう。無駄に長いのでご注意。

＊

センバツ準決勝当日の未明。
七嶋は、夢の中で手錠をはめられていました。
そこへまぶしい光が……。
「被告人は……所属チームと名前を言いなさい」
前方には長机と、三人の男。顔は逆光で見えません。

＊

「か…樫野高校の　な…七嶋裕之です」
戸惑いながらもそう答えると、真ん中に位置するハゲがいきなり激昂。
「樫野の七嶋なんて知らん！　そんなヤツは呼んでない！
ワシは花湧東（はなわきひがし）の大月投手が見たかったんじゃあ！」

元ネタは花巻東の大谷投手ですね。
160キロを記録する豪腕、かつ左バッターとしても一発のある大物です。
今夏、惜しくも甲子園を逃したスター選手ですが……この名前が、なぜここで出てくる？
このハゲ親父は高校野球ファンの心の声を代弁しているのか。
あるいは、三田さん自身の声だったりして。岩手大会観戦してるし。

……と、しばらく考えたのですが、実はアノ人のアノ発言を皮肉っているんだとわかりました。
参考：大谷投手を見たかった高野連会長
そういえばビジュアルも同じハ○だ。

＊

「裁判長！」
「七嶋なんかどうでもいい　ワシは大月投手が…」
「ここは堪えてください」
ハゲ親父は裁判長らしい。
七嶋は理解不能。読者もわけがわからん。

＊

そこへ、大阪杏蔭のテラモンこと寺門監督がやってきて、七嶋の手錠を外します。
「あ…あの　これは」
「勝手に発言するな　裁判が不利になるぞ」
と言ったのはカトキチ。おなじみ学ラン姿です。

＊

「原告は起訴状の朗読を」
「原告は当法廷において被告人七嶋裕之が　樫野高校野球部のキャプテンという地位を悪用し」
なんと、原告はガーソ。
うろたえる七嶋をよそに、ガーソは起訴状を読み続けます。
「自らの富と名声を得ることを目的に数々の不法行為を犯し　学校の名誉を汚しチームに多大な損害を与えたことは明白であり　よって厳しく罰することを求めるものである」
セリフ長え。打つのが面倒になってくるな。
しかし、本物はこんなよどみなく長いセリフをしゃべれるキャラではない。

以下、ガーソが七嶋の「犯罪」を指摘。
（１）小沢部長に対する恐喝、詐欺　※25話
（２）監督をバカにした侮辱罪　※90話他多数
（３）監督に「死ね」と命じた殺人予備罪　※74話
（４）相手のチームや選手を見下す態度は名誉毀損　※102話
（５）監督の指示を無視した作戦は業務命令違反　※73話
（６）怪我してチームに迷惑をかけた職務怠慢　※ここ最近の展開
得られた結論は……

　　　　＿＿＿＿
　　　／　＿　＼
　　／　／∩＼　＼
　　｜　(⊂○⊃) 　｜
　　｜　＿＼∪／＿　｜
　　＼|0工二二工0|／
　　　Ｖヽ＿＿ノＶ
　　　(d ･⊃　･⊃ b)
　　 <／　 (＿)　＼ﾌ
　　 / ＠　｜　＠ﾍ
　　｜　　　　　　　｜
　　((-――～～――-))
　　＼∩＿＿＿∩＿／
　　 ⊆ﾖヽノ⊂ﾆ |ヽ
　／／￣＼　ﾋヽ|
　｜｜　　ヽヽノ＼
　＼人＿　 /-イ｜○｜
　　ヽヽ　｜　ﾚ｜o ｜
　　　|-|- /　　￣￣
　　　( ( ｜
　　　 LﾉLﾉ
死刑！

「極刑をもって断罪する以外ありません！」

うーん、この展開、どう解釈したらいいでしょう。
裁判が七嶋の見ている夢なのは間違いない。
だとすると、七嶋は上記のような行為に罪悪感を感じている、ということか？
ガーソに「死ね」「バカ」と言ってるのも、心の底では申し訳ないと思っているのだろうか。

＊

ここで、おそらく弁護士にあたるカトキチが反論開始。
「原告が述べたことはすべて客観的物証に乏しく　個人的憶測と感情に基づくものであり　容認できません
よって　無罪を主張します」

＊

ガーソは証人を申請。登場したのは小沢部長。
マッサージの先生を替える際、七嶋から脅しを受け恫喝されたと証言します。
このあたりの話は、25話を参照。
ちょうどレビューを始めた頃ですね。

＊

さらに、第２の証人として３番サードのグンが登場。
七嶋が「監督はバカだ」としょっちゅう口にしていたと証言。
が、カトキチは
「証人　あなたは原告側から被告に不利な証言をする見返りとして　慶応への推薦を受けられる条件を提示されませんでしたか？」
うろたえるグン。図星らしい。
しかし、これはあくまでも七嶋の夢……とすると、七嶋の中では、グンは慶応の推薦に値しない選手ってことになるのか？　甲子園では活躍してるんだし、もうちょっと評価してあげても。
ともかく、「証言は利益供与によって導き出されたもので全く信用できない」とカトキチ。
（七嶋の）夢の中でも冴えてるなあ。

＊

ガーソは、最後のカードを切ります。
「被告人の更なる重大犯罪を明らかにします
七嶋裕之は……
大量の現金を隠し持ち　それを私的に乱用している！」
傍聴席には驚くチームメート、荒川さん、荒川ママ。
そして顔を伏せる七嶋母。
ガーソに言わせれば、
（７）野球部への寄付として学校に報告を怠り私的に利用した、業務上横領窃盗罪
（８）夜中学校に忍び込んで掘り出す行為は住居侵入

これまでのような言いがかりと違い、トクさんの１千万円だけは現実にも問題になる可能性があります。
窃盗などじゃなく、贈与税払ってないのが多分まずい。
参考：贈与税がかかる場合｜贈与税｜国税庁

＊

カトキチは、証人トクさんを呼びます。
車いすに座り、遠藤マネに付き添われながらトクさんとタローが登場。
しかし、眠っていて証言できない。というか、吉本の井上竜夫みたく眠ったまま死にそう。

＊

と、そこへ、
「俺は知ってるぜ」
ノックマン！　実に65話以来、約１年ぶりの再登場……と言っていいのか、これは。
ともかく、ノックマンは１点を指差します。
「七嶋が金を隠している場所は……あそこだあっ！」
指差した先には、なぜか夜の樫野グラウンドの光景が。
そして、グラウンドを掘っている男が一人。
正体は七嶋の親父。だが、顔が黒すぎて面相がよくわかりません。

＊

金を掘り出した親父は、上空のヘリコプターから下ろされた縄梯子を使い、空中へと脱出！
「やめろっ！」
「アッハッハッハッ」
「やめてくれぇっ！」
七嶋の叫びも空しく、闇に消える怪盗オヤジ。

＊

金は持ち去られ、七嶋はありとあらゆるキャラから非難され、見離されるのでした。
カトキチ「諦めろ　裁判は負けだ」
七嶋母「罪を償って更正して！」
唐木部長「俺は関係ないからな」
ガーソ「思い知ったか！　俺に逆らうとこうなるんだよ！」
エンドラン「ツメが甘いからよ　ホントバカなんだから」
荒川「ガッカリ　もういらなーい」
荒川ママ「次はブラバンの唐木さんにしなさい」
小沢部長「厄介払いできて清々した」
ライター茅刈「プロ入りはなくなったわ　取材する価値ナシ」
滝本さん他常連組「このコはもうアカン」
ノックマン「金　出したら助けてやる」

……ノックマンだけは、今までと変わらない気がする。
あと、七嶋は荒川ママが唐木に目をつけたこといつの間に知ってんの？　まあいいか。

さらに、無数の黒い影が七嶋を糾弾しまくる。
「七嶋ってこんなヤツだったんだ　嘘つき　腹黒　傲慢　金の亡者」
「有罪だ！　有罪だ！　有罪だ！」

＊

七嶋は必死に抗弁。
「聞いてくれ！　俺はチームのために　みんなのために頑張って……
ちがうんだ！　ちがう……」
そこで、七嶋はカトキチに揺り起こされました。
「さあ　起きて　行こうか……」
もちろん、球場へ。
その前にテーピングの魔術師のもとへ。以下次号。

＊

今回を１行でまとめると、「夢オチ」。
世にも奇妙な物語ですと、最後のコマでカトキチが
「さあ　起きて　行こうか……裁判所へ」
と黒ーい顔で行ってくれるでしょうが、あくまでも夢です。
あまりムダな事は書かない三田先生の事だから、これも今後の伏線だと思います。
が、ここからどういう展開を予想すればいいのか。
わからん。フツーに考えれば１千万円発覚だけど。
ともかく、七嶋は１千万円を使っている事に罪悪感があるのは間違いない。
「バレてはいけない」という気持ちと「バレてすっきりしたい」という気持ちが入り交じって、こんな夢を見たのでしょう。