永遠の一球 甲子園優勝投手のその後
（松永多佳倫、田沢健一郎/河出書房新社）

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amazon 楽天 発売：2011/06

６人の夏の甲子園優勝投手の「その後」を追った一冊。
最後に「特別章」として、1992年夏準優勝の沖縄水産・大野倫を取り上げている。

高校３年で頂点を極めた彼らだが、その後の足取りは様々。
共通しているのは、周りから何年経っても「優勝投手」という特別な目で見られてしまうこと。
そのギャップに苦しむ時もあるし、バネにする人もいる。

銚子商を優勝させ、現在は保険の代理店を営む土屋正勝さんはこう語る。
「毎年夏に“あの人は今”的な企画で取材に来て、また仕事変えてんのか！？　と思われたくない一心でここまで来ましたね」

桐生一のエースだった正田樹さんは、日本・台湾で戦力外通告を受けつつも、野球の道を諦めない。
「プレーできる場所が見つからなかったら、一年練習してまた探せばいいんです。辞める時というのは自分がここで終わりだと納得できた時」

プロで大成しなかったとしても、彼らは間違いなく非凡でタフだと感じた。

最後の特別章の大野倫さんだけは、他と毛色が違う。
決勝まで全試合完投。773球を投げて「破壊されてしまった」肘は当時問題になったという。
準優勝と右腕を引き換えにした大野さん本人は、登板を命じた栽監督を恨んでいない。むしろ交代させた方が恨んでいただろうと語る。
改めて、監督と選手の関係は第三者には立ち入れないものだと感じる。

◇登場する人物
第一章　横浜高校・愛甲猛
第二章　銚子商業高校・土屋正勝
第三章　帝京高校・吉岡雄二
第四章　池田高校・畠山準
第五章　桐生第一高校・正田樹
第六章　取手第二高校・石田文樹
特別章　沖縄水産高校・大野倫