0対122 けっぱれ! 深浦高校野球部
（川井龍介/講談社）

[購入]
amazon 楽天 発売：2001/11

1998年夏の高校野球青森予選。甲子園を目指す東奥義塾と、未経験者もいる深浦（現・木造高等学校深浦校舎）が対戦した。試合は序盤から東奥義塾が一方的に攻めまくる。よくある強豪と弱小の対決だ。
だが、点差がみるみる積み重なり、最終的に122対0になったところで、ただの試合ではなく大ニュースになっていた。
今も有名な、史上最多得点を記録した試合をテーマにしたノンフィクション。

道徳の教材にもなった試合だが、本書では選手たちを美談化せず、ありのままを描いている。
例えば、深浦が試合放棄せず戦った理由。教材では「野球にうちこんでいたから、応援してくれる人がいるから」となっているが、実際は「雰囲気、何となく」だという。
それでも、当時の１年生は非力なりに２年後まで野球を続けた。作者の書いている通り、この点こそ賞賛されるところだと思う。

当時のメディアの反応も詳しく書かれており、社会現象としての「122対0」もよくわかる。
ちなみに、本書が出版された01年時点では夏の勝利はならなかったが、その後04年にその壁が破られている。
同年に「122対0の青春　深浦高校野球部物語」と改題されて文庫化。

☆主な登場人物（肩書きは当時）
工藤慶憲（深浦高監督）
小笠原一（東奥義塾高監督）
金沢成奉（光星学院高監督）