巨怪伝-正力松太郎と影武者たちの一世紀
（佐野眞一/文藝春秋）

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amazon 楽天 発売：1994/10

プロ野球、プロゴルフ、テレビ放送、原子力発電……。数々の難事業を実現させた男・正力松太郎。だが、その功績は無名の部下の骨折りぬきには語れない。
明治・大正・昭和を生きた“怪物”と、彼の影武者に甘んじた人々の足跡を語る。

「巨怪伝」というタイトルにあるように、この本は正力松太郎を権力欲に取り憑かれた怪物のように扱っている。
大正時代、警視庁幹部にまで出世しながら、皇太子（後の昭和天皇）狙撃事件で辞任し、読売新聞社に転じた正力。倒産寸前の読売を復活させたのを皮切りに、彼はエネルギッシュに大事業を実現させていくが、それは全て総理となって権力を握るためだった、というのである。

事業実現のために奔走する忠臣たちの名を表に出さず、あくまで自分の功績とした正力。時には有能な部下にあからさまに嫉妬することもあったという。
性格は破綻していたかもしれないが、プロ野球を創始し、メディアの力で国民的娯楽に押し上げたのは間違いなくこの人。
高校野球おすすめ書籍に入れるのは迷ったが、プロ野球史には書かせない人物なので、是非おすすめしたい。

伝記としては最大級の長さ。文庫版は上巻・下巻の二巻構成。