北海道から九州まで、全国10地区から代表校が集って行われる明治神宮大会。各地区がどれだけの戦績を残しているか、集計してみました。果たして、「秋の全国大会」で強い地区はどこなのか? また、センバツや選手権と違った傾向は出てくるでしょうか?
集計対象※関東地区に東京は含まない
春夏の全国大会、いわゆる甲子園大会(センバツと選手権)の地区別戦績と比較しながら分析してみようと思う。
まず東京地区が勝利数・勝率の高さが目立つ。これはホームグラウンド(神宮、神宮第二)で戦うことができ、単独で出場枠を確保しているのだから当然の結果といえる。特に第14回(昭和58)から第26回(平成7)までは、中止となった第19回(昭和63)を挟んで12大会連続決勝進出、うち8回優勝という快挙。ただし神宮大会の注目度の低さから、全く取り上げられることのない記録である。近年は苦戦が続いているが、東京有利な状況は変わらないのではないだろうか。
次に、春夏の全国大会(つまり甲子園)で高い勝率を誇りながら、神宮大会でふるわない地区があるのがわかる。
関東、近畿の2地区は、全国的に知名度のある高校をいくつも持ち、何度となく優勝しているのに、神宮大会ではいずれも勝率が5割以下と苦戦している。四国、東海もわずかに上回る程度の勝率しかない。
逆に、甲子園ではなかなか勝てなくても、神宮大会で好成績を収めているのが、東北、北信越の2地区。
これらの逆転現象はどうして生じるかというと、代表校の性質の違いにあるのだと思う。神宮大会は現在でこそ各地区の秋季大会優勝校が出場するが、過去にはその選出基準がまちまちな時期があった。特に、東海、関東、近畿、中国、九州は地区大会に出場できなかった県大会の上位校を神宮大会に出場させることが多かった。
それに対し、北海道、東北、北信越、東京はほぼ一貫して地区優勝校を神宮に出場させている。センバツをかけた戦いを勝ち抜いて経験を積んだチームと、すでにセンバツの可能性のなくなったチームの差が、数字に表れたのではないだろうか。
四国の場合はまた別の事情がある。秋季四国地区大会は長らく神宮大会の後に日程が組まれており、大会の途中で勝ち残った高校から推薦出場させていたのだ。センバツをかけた戦いの前、あるいはその途中で東京へ遠征させられるとしたら、チームは疲労するし士気も上がらないだろう。
2000年以降は、四国大会が神宮大会前に開催されるようになるが、それ以前に「神宮大会に出場し、かつ秋季四国大会を制覇」というケースは1度だけしかない(1997年の明徳義塾)。
現在ではそのような選出基準のばらつきもなくなり、表に示したような傾向も徐々になくなってくると思われる。