【計算対象】
関東大会
春季:第1回〜第60回(1949年〜2008年)
秋季:第1回〜第60回(1948年〜2007年) ※東京は1955年まで参加
【計算方法に関する注意】 同じ県勢の対戦は「1勝1敗」と記録します。
都道府県名 | 春季大会 | 勝率 | 秋季大会 | 勝率 | 合計 | 勝率 |
東京 | 133勝89敗 優勝14回 | 0.599 | 8勝6敗 優勝2回 | 0.571 | 141勝95敗 | 0.597 |
神奈川 | 159勝112敗 優勝11回 | 0.587 | 125勝85敗 優勝13回 | 0.595 | 284勝197敗 | 0.590 |
千葉 | 104勝107敗 優勝8回 | 0.493 | 94勝88敗 優勝10回 | 0.517 | 198勝195敗 | 0.504 |
山梨 | 79勝111敗 優勝4回 | 0.416 | 80勝93敗 優勝2回 | 0.462 | 159勝204敗 | 0.438 |
埼玉 | 125勝107敗 優勝8回 | 0.539 | 78勝91敗 優勝6回 | 0.462 | 203勝198敗 | 0.506 |
栃木 | 89勝111敗 優勝6回 | 0.445 | 85勝89敗 優勝9回 | 0.489 | 174勝200敗 | 0.465 |
茨城 | 81勝112敗 優勝3回 | 0.420 | 89勝94敗 優勝5回 | 0.486 | 170勝206敗 | 0.452 |
群馬 | 85勝106敗 優勝6回 | 0.445 | 78勝91敗 優勝8回 | 0.462 | 163勝197敗 | 0.453 |
春・秋とも神奈川が抜きん出ているのがわかる。春季大会での勝率と優勝回数こそ東京に劣るが、それ以外ではダントツ。どの年代でも勝率が4割5分を切ることがなく、総じて平均以上の数値を示す。法政二、東海大相模、横浜、桐蔭学園と、全国優勝レベルのチームが間断なく誕生し、時代によってムラがないのが強みだ。
また、関東大会決勝が神奈川県勢同士というケースが春4度、秋5度もある。これもまた、複数のチームが高い実力を持つことの証明だろう。全国屈指の激戦区にふさわしい戦績になった。
その神奈川を追う東京について見てみよう。常々「甲子園に関係ない春に出場するくせに、センバツのかかる秋に出場しないのは勝てる自信がないからだ」と揶揄されることがある。しかし、春季大会の戦績を見れば、他の関東7県に何ら劣るところはないと思われる。
春の優勝回数14と、勝率0.599は7県1都中トップ。ただ、高い勝率を維持できる理由がある。春季関東大会は開催地が4校、他県が2校出場して行うが、東京は開催地にならないので、毎年2校しか出場しない(センバツ4強で推薦されるとしても最大4校)。4校とも早々に敗退して勝率を大幅に下げる可能性がないわけだ。
次に埼玉について。春は0.539で3位、秋は0.462でワーストと、なぜか肝心の秋に弱い傾向がある。もっとも、これは初期(1948〜57年の秋)の成績が2勝10敗と悪すぎるためで、それ以降の年代では中程度の順位をキープしている。
埼玉といえば神奈川や千葉と並ぶ激戦区なのだが、全国制覇は昭和43年春の大宮工のたった1度。対外的に結果がなかなか出せない傾向があるのかもしれない。浦和学院や春日部共栄、聖望学園や花咲徳栄などの実力チームがその壁を打ち破るのはいつの日か。
千葉は春は0.493で4位、秋は0.517で2位。総じて高い戦績を保っている。最初の20年間は低調だったものの、銚子商、習志野、印旛などの活躍で勝ち星を荒稼ぎし、合計勝率では神奈川、埼玉に次ぐ位置にある。
関東大会の出場経験チームが43校と多彩なのがこの県の特徴で、それだけ一般的な強豪以外にも油断できない存在が多いということだろうか(茨城も44校が関東大会を経験。逆に最も少ないのは26校の山梨)。
茨城は埼玉とは全く逆で、秋にそこそこ強く(0.486で4位)春に弱い(0.420で7位)傾向を示す。各年代で見ると勝率で4割弱〜5割間をはみ出すことがなく、低迷することもないが目覚ましい躍進もしない、というポジションにある。ただし1998〜2007年の秋は0.583と、神奈川に次ぐ健闘を見せている。2001年春・2003年夏と全国制覇を果たした常総学院の影響が大きいのだろう。
山梨も、茨城と同様春は弱いが秋はそこそこ、という成績を残している。年代別の勝率はV字を描いており、1968年秋〜78年春の低迷期(0.211)を境に上位に食い込むようになっている。東海大甲府が甲子園で活躍したのをきっかけに、県のレベルが上がっているようである。
栃木は春6位(0.445)、秋3位(0.489)。何といっても作新学院(春3回、秋4回優勝)の存在が大きいのだが、その作新の全盛期が終わると同時に関東でも勝率が低下し始める。国学院栃木、佐野日大、文星芸大付といった私学の強豪に期待がかかる。
群馬は春(0.445)・秋(0.462)ともに6位で華々しい印象はない。こちらも栃木と同じで、現在に近づくほど勝率が低下する傾向にある。戦前から県勢を引っ張った桐生が衰え、前橋商、前橋工、東農大二といった強豪が台頭するも桐生に代わるほどの活躍をしていない。桐生一が1999年に県勢初の悲願を果たしたが、県全体の向上までには至っていないのか。