しばしば「真の日本一は夏の甲子園優勝チームである」と言われる。実際、センバツ優勝チームがそのまま夏も制覇する、いわゆる春夏連覇のケースはごくわずか。2006年までに5度しか達成されていない。それどころか、センバツ優勝チームが地方大会で敗退したり、甲子園の序盤で消えることも珍しくない。
では、センバツ優勝チームの実力は一体いかほどなのか? 夏の甲子園大会で言えば何回戦進出に相当するのか? 過去の戦績から統計を出してみたいと思う。同時にセンバツ準優勝、ベスト4、ベスト8のチームも調べてみた。
センバツ戦績 | 予選突破チーム数 / 総数 |
予選突破率 | 選手権大会平均勝利数 |
優勝 | 38 / 79 | 48.1% | 1.76 |
準優勝 | 39 / 79 | 49.3% | 2.44 |
ベスト4 | 68 / 158 | 43.0% | 1.51 |
ベスト8 | 119 / 316 | 37.7% | 1.86 |
◇計算方法◇ (クリックして下さい)
(1)「センバツ優勝チーム」という肩書きからくるプレッシャー
(2)春の段階から多くの情報を露出させ、他チームに手の内をさらしてしまう
(3)センバツを制覇したことで選手が満足し、モチベーションが低下する
(4)短期間で複数試合をこなしたことで故障が発生し、それが夏に影響する
(5)優勝チームには夏のアメリカ遠征という特典が与えられるので、夏の大会は控え選手で戦うか、大会そのものを棄権せざるをえない(昭和2年〜6年のみ)
また、センバツベスト4のチームの予選突破率は約44%、ベスト8となると約38%になる。やはりセンバツで高い成績を残した方が、夏も戻れる確率は高いと見ていいだろう。
しかし、いざ本番の選手権大会でどれだけ勝ち進めるか、という観点で見ると逆転現象が起きる。
表の右端の「選手権大会平均勝ち数」がそれに当たるのだが、これは選手権大会出場チームの挙げた勝ち星の総数を、予選突破チーム数で割ったもの。初戦敗退なら0、1勝すれば1、という具合に実績を数値化→合計し、予選突破チーム数で割り算している。「選手権大会平均勝ち数」が1なら、2回戦進出に相当すると思って欲しい。
この「選手権大会平均勝ち数」、優勝チームは1.76、つまり2勝するかしないか。しかし準優勝チームは2.44、3回戦から準々決勝進出に匹敵するのだ。またベスト4で1.50、ベスト8だと1.85と、ここでも逆転現象が起きている。選手権大会で勝ち進むのは、センバツで準優勝したかベスト8に入ったチームに多いのだ。
実際、春優勝→夏優勝のケース(5度)よりも春準優勝→夏優勝(6度)は多い。準優勝に終わった悔しさをバネに強くなるということだろうか。またセンバツベスト4→夏優勝は3度なのに対し、センバツベスト8→夏優勝は9度もある。ベスト4は2チームでベスト8は4チームあるということを考えても、この数値差は不思議である。